3次元CADを使いこなせ

3次元CADを使った日々の業務と、CSAJ攻略について、3次元CADを活用するためのヒントになればと思います。

モデリング力

2008-04-19 14:11:49 | Weblog
3次元CADモデリング力

最近、ベテラン設計者の間で今の設計者のモデリング力が落ちたのではないかという声が聞かれ始めた。

理由は2つあると考える。

1つは、CAD導入部門がモデリング講習に力を注がなくなったのではないか。

会社が業務効率改善の目的で、3次元CADを導入した頃は、CAD導入部門の目的は3次元CADの普及であり、そのためには2次元CADに比べ使い勝手の悪い3次元CADをどうやって普及するかを真剣に考え、あの手この手と多方面でサポートしてくれていたような気がする。
例えば十分に時間を費やした講習会や、認定試験などが一例である。

しかし、3次元CADが普及し、導入部門の役目は終えたころからは、講習会の時間を抑え、またOJTとして各部門に任せっきりにしている。

更に、多くの派遣社員が設計部門に入ってきており、講習会を受けなくても自己流でモデリング出来、流用できないその自己流モデリングを他の設計者に教え込ませている。

CAD導入部門は、現状を把握していながら見て見ぬ振りをしている。


2つめは、成果主義である。

設計者もある程度のクラスになると、CAD初心者のためにCADを一から教える時間もなく、また今の成果主義的な風潮の現場においては、教える時間は自分の成果に直結しないため、教えたがらない。

成果主義といっても、内容は給与減らしであるため、自分のスキルをわざわざ教えることもしない。

1つ目の理由でも、2つ目の理由でも共通なところが、「自分の仕事以外はしない」ところである。

会社のスキルが個人のスキルとなり、個人のスキルを伝達する環境ではない今の会社にとって、CADのモデリング力だけではない、もっと会社にとって必要不可欠な技術力さえも根絶やしにする可能性がある。

「現場力の衰退により20年後には日本はグローバル競争の蚊帳の外」と早稲田大学大学院教授の遠藤さんがおっしゃっているが、私は10年掛からないと思う。

それほど、現場のものづくりは危機的状況であると私は思う。
改善するためには、何をすべきか。技術の継承を誰でも閲覧できるように電子化する?本当にそれが出来るか。
基本に返ってみればわかる。人は何のために働くか。

会社は給与減らしを真剣に考えながら、自分の首を自分で絞めている。

3次元CADの普及

2008-04-05 13:57:03 | Weblog
ようやく3次元CADが普及し始めたような気がする。
中小の企業でも3次元データの受け渡しが出来るようになり複雑な形状の製品などは、3次元データで確認するようになった。
これは、ミッドレンジCADの普及のお陰か、或いはハイエンドCADの価格が下がったためか。
言えることは、ウインドウズベースでCADが動くようになり、ハードに費やす費用を抑えることが出来たこと。

私が初めて3次元CADを使い始めた頃はワークステーションで3次元CADが動いていた。もちろん、推奨端末があり、ハードだけでも数百万はしていた。

もともと、3次元CADが民間で使われるようになったのは、超お金持ちの企業である自動車メーカや大手電機メーカがベンダーの言うがままに導入したことから始まる。

当時の3次元CADは回転なんかしようものならマシンがうなり、動作が遅い,ぎこちないで、やるんじゃなかったと思うぐらい貧弱なものだった。もちろん、ワイヤフレームです。

ところが、ベンダーは視認性のすばらしさをアピールし、また技術誌も絶賛したため、これで業務効率が改善すると大手企業は買い始めた。

もちろん、3次元CADを購入しても先に述べたようにソフトの処理能力にハードが追いついていない状況であるし、独特のモデリングの考え方は当時の設計者には受け入れられなかった。

企業が3次元CADの導入に費やした費用は数千万ではきかない。
しかし、期待したほどの改善効果は得られない。そればかりか、使ってもくれない。

大手企業がベンダーに相談すると、ベンダーは一気通貫を提唱した。
デザイン,製品設計,金型設計,測定 に同じデータを用いる一気通貫により業務効率が上がるとベンダーは言い放った。

そこで、自動車メーカや大手電機メーカは、部品メーカに対し3次元データでのやり取りを要求した。

部品メーカは不必要だが3次元CADを購入しなければ、発注はないと高価な3次元CADを購入。

なんとも情けない話だが、日本ではこうやって3次元CADが普及し始めた。

最近では、マシンの性能も上がり、操作で違和感はなくなったし、2次元CADで設計をしたことのない設計者は抵抗無く3次元CADを受け入れことが出来た。

更に前にも述べたが、ハードの価格も下がりミッドレンジが普及したことによって、今ようやく3次元CADが普及出来る環境が整ったと思う。