3次元CADを使いこなせ

3次元CADを使った日々の業務と、CSAJ攻略について、3次元CADを活用するためのヒントになればと思います。

3次元CADを使った業務効率改善 CE 2

2007-02-28 00:26:31 | Weblog
CEを用いると開発期間を大幅に短縮することが出来る。らしい。
しかし、このCEは使い方を誤れば逆にコストアップとなる可能性がある。
先日、B社で行われたCADキーマン会議に出席した。
ここでは、各部門のCADに関する要望や、システム変更などの横通しを行っているのだが、その席で金型製造部門から3次元データを用いた金型製造について2つの報告があった。
その1つに、CEがらみがあったので報告する。
それは、設計から大至急金型を作製してもらいたいという要望で、設計から入手した3次元データからパネルの金型を作製していたが、後から送付されてきた紙図面が3次元データと異なっていた。
どちらが正しいのか設計に問い合わせると、紙図面を正としてくれと言われ、作製途中の金型を捨てることになった。
どうやら、設計は納期が厳しくなったため、設計途中の3次元データを渡し、金型設計を早く着手してほしかったらしい。
この手の話はあってはならないが、昔からよくある話であり、CEの実現性を考える良い例である。
CEは、3次元データが各部門に渡された時点で、その部門が後戻りをするような修正は行われないことが前提(条件)となる。
そのためには設計者が、各部門の設計や業務について熟知しておらなければならないし、各部門に影響を及ぼす変更は行えない事になる。
しかし、設計は自部門だけで完結しておらず、他部門からの要望が常に存在するため、修正しない事は不可能である。
また、最終段階になれば多くの小変更が存在してもおかしくない。
設計とは修正しながら目的の機能(性能)に近づけていくものであると私は思っている。
修正の入らない設計など、はたして存在するのか。
各部門が後戻りしないデータを設計途中に渡すことは本当に可能か疑問である。

3次元CADを使った業務効率改善 CE 1

2007-02-26 00:10:42 | Weblog
CEについて
CE(コンカレントエンジニアリング)とは、簡単にいうと製品の開発における各工程の直列作業を並列作業に変えて開発期間の短縮を図るものである。
3次元CADデータを用いてた狭義のCEとは、CAD,CAM,CAE,PDMなどのシステムを3次元データを用いて情報を共有し、製品開発に必要な材料調達,金型製造,ライン設備などのフェーズを設計部門が製品を設計中に平行して行うこのである。
例えば、ある会社が新製品を開発する場合、従来では設計部門が設計を終了した時点で、部品調達部門に図面を渡し、部品調達部門はその図面を元に各部品製造メーカから見積もりを取り決定する。
その後、部品メーカの金型作製部門は図面を見ながら金型を作製し始め、図面通りの部品を作製する。
そして、出来上がった部品を用いて、生産設計部門はラインの設計に入る。といった段階を経ていた。
しかし、CEでは設計部門の設計した部品がある程度まで形状が決まった段階で、部品調達部門は設計が作製した3次元データを各部品製造会社に渡し見積もりを取る。
金型製造部門は3次元データを用いて金型設計に入るし、生産設計部門も3次元データを用いて、ラインの設計を行う。
このように、CEは設計が図面を作製していない(形状を決定していない)段階から、製造に関わる全ての部門が同時進行で業務を遂行する。
従来では開発期間が1年間の製品の場合、設計部門が頑張って設計期間を1ヶ月短縮しても、全体の1割の短縮にもならない。
しかし、CEを用いれば各部門が同時進行することで大幅に短縮する事が可能である。といわれている。


3次元CADを使った業務効率改善 CAE 3

2007-02-23 00:25:23 | Weblog
設計者が用いるCAEは時間をかけてはならない。
板バネの設計で1週間かける設計者がいるが、暇なのか、仕事をしたくないのか疑いたくなる。
設計者は電卓のようにCAEを使えと私は言っているが、一週間も電卓をたたいている設計者はいないであろう。
CAE専任者であれば、1週間かけても問題ない。それぐらい価値のあるCAEをやっているのであろうし、それが仕事だからだ。
しかし、設計者はモノを設計するのが仕事である。手計算でやっていたものをCAEを用いて精度良く計算し、評価するのが目的だ。
板バネなどの板金部品であれば、一週間もあれば何種類もの試作(現物)が出来、評価が出来るであろう。
設計者の解析結果と、現物の測定評価結果ではどちらが信頼できるのか。
また、設計者の1週間の費用と、試作の費用とを比べたら試作の費用の方が遙かに安いと思う。
何のための、CAEか考えて欲しい。
設計者が一つの解析で1日以上かけるのは無駄である。
設計でCAEを使うのは電卓のように使ってこそ、効果が発揮する。

3次元CADを使った業務効率改善 CAE 2

2007-02-21 00:20:24 | Weblog
CAEを設計で用いる場合は電卓のように使って欲しい。と前回言った。
しかし、CAEには電卓と違い拘束条件という少しコツが必要なものが存在する。
拘束条件とは、解析する部品の何処にどのような条件で固定し、どの場所にどの方向に変位や力を与えるのかを条件付けするものである。
この条件設定を誤ればCAE結果と実機の測定結果とが大きくかけ離れる。
そのため、CAEを使用する前にはある程度のレベルまでしっかりと教育して欲しい。
3次元CADもそうであるが、購入したから使えでは無責任すぎるし、操作方法だけ覚える講習会に行かせただけではなかなか使いものにならない。
しっかりとした教育をして始めて使えるものになる。
OJTで覚えるのもいい方法である。
ある期間、CAEが分かっている人に付いて、業務でCAEの使い方を経験すると、操作方法だけでなくノウハウや状況に応じたCAEの使い方を覚える事が出来る。
その後、一人でCAEを行うとミスの少ない解析が出来る。
人を育てる場合は電子化され誰でも閲覧可能なイントラネット上のマニュアル,ノウハウ集を見せるよりも人から人への伝達が良いと思う。
所詮人間はアナログである。

3次元CADを使った業務効率改善 CAE 1

2007-02-19 00:06:20 | Weblog
CAEについて
CAE(Computer Aided Engineering)は直訳すると、「コンピューターを使った設計支援ツール」となるが、私はちょっと高級な電卓と設計者には説明している。
電卓は、方程式を用いて計算結果を得るための道具であり、設計するときには必ず使う。
せっかく3次元CADで設計を行うのであれば、電卓をCAEに置き換えて設計業務に取り入れみてはどうか。
CAE専任者でなく、設計者がCAEを行う事で、業務効率の改善になると私は思っている。
CAE専任者に解析依頼を出せば、専任者のスケジュールの都合で何時やってくれるか分からないし、説明しても分かってくれない事が多い。
また、解析結果から一部条件変更した時のような簡単な対応も即座にやってくれない時がある。
設計者が自らがCAEを行うのであれば、そのような問題は発生しないし、自分のいくつかの案を決定する(確認する)手段ともなる。
最近のCAEツールは、簡単に解析できるように自動メッシュの性能が上がったし、価格も手ごろ?になってきているため、使いやすくなっている。
CAEを導入するにあたり、設計者や管理者の中には今でもCAEを万能の道具と考えている方が多い。
私は、そういった方にはその問題(解析内容)は、電卓で計算できますか。と必ず問う。
CAEといっても所詮プログラムであるため方程式がないと解けない。
応力であれ、熱膨張であれ、流体であれ、方程式があるから解ける。
今まで設計者が一生懸命電卓をたたいていた作業を、CAEは3次元モデルからFEMを用いて計算しているにすぎない。
この事をいうと、設計者の方の中には残念そうな顔をする人がいますが・・・。
要するCAEは画像電卓である。
設計者がCAEを使う場合、今まで電卓でしていた作業をCAEに置き換える程度と考えて使ってほしい。
設計者の中には、CAEにのめり込む人がいます。ミイラ取りがミイラに・・・。
あなたの業務は設計でありCAEではありません。
私は、設計者にはいい意味でも悪い意味でもCAEを電卓のように使ってほしいと願っている。

3次元CADを使った業務効率改善 DR 2

2007-02-17 00:25:06 | Weblog
DRは関連部門を集めて多くの意見を聴く場ではあるのだが、ミニDRというものを私は薦めている。
ミニDRとは、関連部門を集めたDRとは異なり、設計部門内でCAD端末の前で行う小さなDRの事と、私は定義している。
準備は最小限とし、DR用のデータも作る必要はない。
設計部門内で行うDRだが、集まってもらう人はDRする製品に携わっていない設計者が良い。
DRを行う製品のチームメンバーであれば、その製品を見慣れていて意外な落とし穴に気づかないときがあるからである。
そこら辺にいる人を捕まえて、意見を聞かせてくれというレベルで良いと思うが、ミニDRの回数は週に1回ぐらい行ってはどうか。

設計者というものは、人の意見を聞くのがいやな人種である。
私もそうであるが、どうしても自分の設計を否定されそうな気がして身構えてしまう。
そして、人に意見を聞く前にある程度完璧なものに仕上げてないと気が済まない。
しかし、それではミニDRの意味がない。
DRはあくまで早期に不具合となる場所を発見し、後に楽をしようというフロントローディングの考えであるから、モデルを完璧にした後に指摘されたのでは後戻りが大変となり、DRした甲斐がない。
こんな形状と分かるレベルのモデルが完成したら、ミニDRを行って欲しい。
そして、効率の良い設計を進めてほしい。
3次元データを用いればそれが可能となる。

3次元CADを使った業務効率改善 DR 1

2007-02-15 22:11:34 | Weblog
DR(デザインレビュー)について
3次元CADの特徴として視認性が挙げられるが、この視認性を最大限生かしたのがDRである。
3次元CADを導入して、3次元データによるDRを行わないのは、3次元CADを活用していないといっても過言ではない。
3次元CADを導入する以前のDRでは、各部門の人が集まり試作品を見ながら意見を述べていた。
小さい製品であれば、頭をぶつけながら製品を見なければならないし、大きな製品であれば、動かすことも出来ず眺めるだけとなる。
しかし、3次元データでは現物(試作品)を作る以前にDRが出来るため、試作回数を削減できるメリットがあるし、製品の大きさに関係なく拡大、縮小して製品を見ることが出来る。
又、いろいろな角度から見ることが出来るため、意見交換が盛んに行われる事も期待できる。
3次元データを用いたDRは最も簡単で安価にして、最も業務効率改善の効果のある活動だと思う。
会議室にPCとプロジェクターをおけば、それで立派なDR用の会議室になるからだ。
ものを造る必要もなく、3次元データのみで行え、多くの意見を抽出できる。
各関連部門のエキスパートからの意見は、CAEによる評価よりも信頼できると思う。ぜひ取り入れてほしい。
最近ではAcrobat Reader 7から3Dデータが扱えるようになり、3次元CADデータをPDFに変換して、PC上でDRを行うことも出来るようななった。
もちろん、有償ソフトであるAcrobat 3Dが必要であるが、一度PDFに変換すれば、無償のAcrobat Reader 7以降がインストールされているPCであれば、何処からでも3Dデータを見ることが出来る。
(Adobe社はビューアの世界で優位に立つために、今後いろいろなことを仕掛けてくると思う。動向には注目しておくべし。)

3次元CADを使った業務効率改善 モデリング5(履歴)

2007-02-13 00:31:20 | Weblog
履歴について
履歴を見ただけでその人のモデリング力が分かるというぐらい履歴はその人の個性や実力を現しています。
最近では、マシンの性能が上がりましたので、履歴についてあまり気にする設計者,CADオペの方は少なくなってきました。
しかし、良い履歴を覚えることによりエラーやワーニングの少ないモデリングが可能となり、業務効率も変わりますので是非良いモデリング力を身につけてほしいと思います。
私が考える良い履歴について述べますので、参考にしてください。
「履歴は機能毎にまとめる」
モデリング初心者は、一つのパーツ(部品)を作製する場合、履歴は直線的になりがちです。
これは、パーツを考えながら作ってしまうとこにより、このような状態となってしまいます。
この状態でモデリングの始めのフィーチャーを変更すると、それ以降のフィーチャーが更新の対処となってしまいます。
これでは、変更するフィーチャーとは関係のないフィーチャーまでもが更新されてしまい、関係ない場所で拘束された変更フィーチャーとは関係のないフィーチャーがワーニングやエラーとなることがあります。
これを回避する方法として、履歴は機能毎にまとめ、後で結合するモデリングをしましょう。
このことにより、履歴は直線的にならず、フィーチャー変更時の更新が早い,ワーニング、エラーの少ないモデリングが可能となります。
このモデリング方法をマグカップで考えると、機能としてはカップ(液体を蓄える)とグリップ(手で握る)とに機能は分かれます。
カップとグリップは全く別の機能ですので別々に作成しても問題ないでしょう。
カップ部は、液体を蓄える部分ですのでそのぐらいの容量を蓄えるかが設計として考えなくてはならない仕様であり機能となります。
これが、履歴のはじめの方にフィーチャーとして存在し、カップのデザインは機能としては下の方になってきますので後のフィーチャーとなります。
また、グリップ部は人間の手で握る部分ですので、指を何本入れて握るのか、持った時に重さに耐えられるかが設計として考えなければならない仕様であり機能となります。
そして、握ったときに痛くないように角を丸めるなどは機能としては後になりますので後でモデリングします。
それから、カップ部とグリップ部を各々設計し、有る程度カップ部とグリップ部の形が決まれば各々を結合してマグカップの原型を作ります。
この時に、マグカップの機能としては液体を入れる容器ですのでカップを基準としグリップをカップに対して位置を関連付け結合します。
後に、カップに入る液体の容量を変更するため外形を変更しても、更新作業はグリップにまで及びませんので、更新時間の短縮になりますし、ラーニングにもなりにくいモデリングとなります。
このように、履歴は機能毎にまとめる事により、修正に強い、モデリング力ができます。
今回で、モデリングについては終わりますが、モデリングについて重要なことは「基準を明確にする」と「修正することを前提にしたモデリング」です。
今回までのモデリングについてで、皆さんの参考になれば幸いです。



3次元CADを使った業務効率改善 モデリング4(フィーチャ)

2007-02-09 01:43:51 | Weblog
フィーチャについて

フィーチャは欲張ってはいけない。
大きい機能から順に。

2次元CADから入った人は、3次元CADのプロファイルを2次元CADのような詳細断面にしてしまう人が多いということを前回述べました。
モデリングのフィーチャ数が少なくなって良いことのように思えますが、プロファイル形状が複雑になりすぎて、拘束している場所が分かり難い、寸法を変更すると意図しない場所まで変更されるなど問題点が多くお薦めできません。
それよりも、フィーチャの数は多くなるが、大きな機能から順にモデリングする事をお薦めします。
大きな機能とは、そのモデル(部品)が持つべき機能のことで、小さい機能とはフィレットなどのその部品の機能ではないデザイン的な要素をいいます。
大きな機能から順にモデリングすれば、小さな機能の形状を変更しても大きな機能に影響を及ぼさないが、逆の場合大きな機能までもが変更される事があります。
また、大きな機能と小さな機能を一つのフィーチャにしてしまったときにも、同様のことが起こってしまいます。
フィーチャは小分けにし、大きな機能から順にモデリングしましょう。
また、第一フィーチャは機能というより、部品の存在を表すものと考え、だいたいの大きさのモデルを作成し、ここにこれぐらいの部品がある程度にしておきます。
そうすることにより、チーム設計した場合にはメンバーがここにはこれぐらいの部品がくるのだなと分かります。
フィーチャの形状は単純な形状とし、大きな機能から順にモデリングしましょう。

3次元CADを使った業務効率改善 モデリング3(拘束)

2007-02-07 00:04:22 | Weblog
今日はプロファイルの拘束について
断面(プロファイル)は設計の意図する場所を拘束する。また、完全拘束する事。
プロファイルの作成方法は、適当に断面(プロファイル)を作成する,幾何公差を付ける、寸法拘束を付ける、そして寸法拘束の値を変更しながら目的の形状に仕上げていく、です。
曖昧なものから、徐々に詳細なものにしていく。これが3次元CADの考え方です。
私が行う講習では、このプロファイル作成(拘束方法)に時間を掛けて3次元CADを覚えてもらっています。
なぜプロファイルかというと、設計とは形状を修正しながら完成度を上げてく事だと思いますので、修正することを前提にしたモデリングを意識しなくてはなりません。
プロファイルに未拘束部があったり、関係のないところから寸法拘束が付けられていた場合、モデルを修正した時に意図しないプロファイル形状になってしまいます。
私は、寸法拘束の考え方を身につけるために、多くの課題を与えて拘束の方法を教えていますが、2次元CADから入った人は、はじめから線の位置を決めてプロファイルを作成しがちです。
また、一度に全ての断面情報を入れようとします。
彼らは、基準線を作成した後オフセットで有る決められた位置まで平行な線を作成し、線と線を交差でつなげてプロファイルを作成してしまいます。
これでは、寸法拘束を付けたとしても線同士の幾何拘束がありませんから、寸法を変更しても、線の端点は追従しません。
3次元CADの考え方は、適当な形状を作成した後、寸法拘束の値を変更し、意図した形状に仕上げていくことですので、初めは適当でいいのです。
と教えても、不安なのか2次元CADで覚えたコマンドを3次元CADで探してまで使用しています。
そのような方でも、プロファイルの習得に時間を掛けて教えていくと、2次元CADの考え方から3次元CADの考え方へと変わっていきます。
前述したように、設計はモデルを修正しながら完成度を上げていきますので、修正することを前提にしたモデリングをしなくてはなりません。
拘束は重要ですので、しっかりとマスターしてください。