3次元CADを使いこなせ

3次元CADを使った日々の業務と、CSAJ攻略について、3次元CADを活用するためのヒントになればと思います。

CAD利用技術者試験 愛弟子奮闘記

2007-03-31 00:45:45 | Weblog
私には、今1人の愛弟子がいることは以前紹介した。
愛弟子は1年ほど前に特別社員(正社員ではない)として私が今お世話になっている部署に配属され、設計補助として図面の修正やBOMの入力等を行っているが、この会社に入社するまで図面というものを見たこともない。
私はこの愛弟子に3次元CADを1から教え込み、今ではこの部署で5本の指に入るぐらいのCADユーザになっている。
この愛弟子が今年、CSAJの3次元CAD利用技術者試験を受けると宣言した。(半ば強引に宣言させた)
何か目標が無ければ、3次元CADのスキルは上がらないと私は思っているし、また自分のために資格を取るのは良いことである。
さらには、私が行っている利用技術者試験の攻略プログラムがCAD経験が1年ほどでしかも図面の素人に何処まで通用するか試してみたいとも思ている。
愛弟子の今のレベルでは、午前の試験、及び午後の試験共50%は取れないであろう。
以前、午後の試験問題を時間無制限でやらせたのだが、1問目、2問目は全く理解不能。3問目は1時間掛かった。4,5問目は各30分要した。
このレベルからはたして合格できるのか、楽しみである。
これからは、2週間に1回程度で成長ぶりを報告していきたい。


構想設計にはポンチ絵3

2007-03-27 22:44:56 | Weblog
斜視図には、その人の個性が出てきます。
しかし、出来る限り描き方は統一した方が良い。
私の場合、等角図(3つの互いに直交する座標軸が互いに120°となるように描く図法)を用いて左側を正面となるようにを描くようにしています。(図参照)
人によっては、キャビネット図(正面図は水平線、傾角は、45°)で描く人がいるが、斜めから見ているのだから正面も斜めにした方が自然だと思う。
斜視図では、各面から見た穴や円柱などの円弧の描き方が難しいのだが、これは慣れるまでは図の右上に立方体の斜視図を描き、その各辺に接する楕円を描いておくと、その面上の円の形状がよく分かります。
上面では、横長の楕円になるし、右側面では右側に傾いた楕円、正面(左側)では左側に傾いた楕円となります。
以上のことだけ、理解しておけば、今からでも斜視図は描けると思います。
始めての方は、30°の線を描くのが難しいと思いますので、斜方眼紙を描く紙の下に敷き、薄く写った線を利用して描く事をお薦めします。
斜方眼紙は文具店で売っていますが、買うのも嫌だと言う方は下記HPに斜方眼紙がありますので、それをプリントアウトしても良いでしょう。
www.kyoiku-shuppan.co.jp/math/s_sheet/others/st0_2.html
後は、練習あるのみです。頑張りましょう。

構想設計にはポンチ絵2

2007-03-23 23:40:43 | Weblog
ポンチ絵の描き方
ポンチ絵は、始めて描く人には少し難しいかもしれない。
しかし、これから書くことを覚えておけば問題なく書けると思う。
愛弟子も会社に入ってから図面という物を初めて見たという全くの素人であるが、2ヶ月ほどでそこそこのポンチ絵が描けるようになってきた。
構想設計に用いるポンチ絵は、時間をあまり掛けずに、しかも他の人が見ても簡単に機能が想像できるように描かなくてはならない。
そのためには、以下のポイントを注意してポンチ絵を描いていこう。
・斜視図で描く
・フリーハンドで描く
・線はなぞらない
・大きく描く

どうです、対して難しくない?
愛弟子に始めてポンチ絵を描かせたとき、この逆を描いていたのだ。
私はあまり1から教えることはしない。教わるより覚えろと思っているので、この時も私が描いたポンチ絵を見せた程度で描かせた。
そして出来上がったポンチ絵は、見事に三角法で定規を用いて紙の隅に描いていたのだ。
一生懸命描いたのだろう。沢山の消した後があった。
時間を掛けたけど、あまりよく分からない。

ポンチ絵は、見て機構や構成が分かるレベルで良い。
昔の漫画で、お化けのQ太郎に出てくる小池さんが食べているラーメンは、実においしそうだ。その絵は実に簡単に要点のみ描いている。(世代がばれてしまう)
美味んぼに出てくる料理は、リアルだがあまりおいしそうでない。
ポンチ絵は、小池さんが食べているラーメンのように描くのがベストだ。
絵画でも図面でもない。要点が分かれば良く、無意味な形状は描く必要がない。

それと、絵画のように何度も何度も稜線をなぞると、かえって分かり難い。
一本の線で描くとはっきりとした形状が浮かび上がる。頑張って1本で描いて欲しい。

ポンチ絵で設計の半分以上が決まってしまうと言っても過言では無い。
頑張ってポンチ絵を習得して下さい。

次回は斜視図の描き方を説明します。

構想設計にはポンチ絵

2007-03-21 21:40:46 | Weblog
最近愛弟子にポンチ絵を描かすようにしています。
ポンチ絵は、設計の構想段階においてアイデア抽出、及び意志疎通に用います。
人によっては、3次元CADで構想設計を行う人がいますが、それでは構想設計段階において良いアイデアは出ません。
1つのアイデアを深堀する事は出来ますが、それ以外のアイデアが出てこないのです。
構想段階においては、多くのアイデアを抽出し、開発する製品に最も適したアイデアを選択する事が非常に大切です。
そのためには、出来る限り多くのアイデアを出す必要があるのですが、3次元CADを使用してしまうと1つのモデリングに時間を掛けてしまい、そのアイデアに執着してしまいます。
ポンチ絵では、適当に描いてアイデアを具現化します。3次元CADに比べると1つのアイデアを具現化する時間は1/10以下でしょう。
そのため、そのアイデアの執着心は3次元CADで作成したモデルほど強くなく、他の方法を考える事もできますし、1つのアイデアから新たなアイデアが生まれることもあります。
また、頭の中のアイデアがポンチ絵として具現化された時に、部品の配置や、他の部品とのつながり、材料等が見えてきます。
不明確でったところをどんどんポンチ絵で描くことで、アイデアの実現性が見えてきます。
チームメンバーの人に自分のアイデアをお披露目し意見を聞くと、他のアイデアが得られるかもしれませんし、自分のアイデアの抜けを教えてくれます。
3次元CADで作成したデータでなくても十分意志疎通ができます。
しかし、ポンチ絵で描かれたアイデアは大きさや位置関係が分かり難いという欠点が有ります。
アイデアが固まって、3次元CADでモデリングした時にこの配置ではうまく繋がらないとか、曲げられないなどの加工が出来ないなどの問題が出てきます。
3次元CADで初めからモデリングをしておけば、このような問題は無かったと思う方もいますが、実はこの欠点は、ポンチ絵の利点でもあるのです。
大きさなどの制約条件が有れば、多くのアイデアが出てきません。
ポンチ絵は制約条件が無いため多くのアイデアが膨らんできます。
構想段階で行わなければならないは、より多くそして早くアイデアを絞り出すことです。それが出来るのがポンチ絵なのです。

設計技術力低下2

2007-03-17 23:31:19 | Weblog
私が今お世話になっている部署(設計部門)で、図面の簡単な手書きテストが行われた。
そもそも、図面テストを行ったのは、変な図面が課長の手元に届いたからだ。
図面は通常、設計担当者が作成した後、チームリーダが照査を行い、課長が検認する。
今回の場合、図面を作成した設計者の上に設計主担当がいたので、チームリーダーの前に設計主担当が照査していた。
そのため、この図面は課長に届くまでに3人の技術者によって確認されたことになる。
しかし、課長に届いた図面には、図面に対し平行な線がなかった。基準線が斜めになっているのだ。もちろん垂直でもない。
全てが斜めの線で構成されていた。
元々の3次元データの基準を曖昧にしていたため、2次元にしたても基準が曖昧となってしまっていたのだ。
これを、2人の照査をかいくぐって課長まで届いてしまったのだから、驚きである。
図面作成者は、課長に対し図面の書き方を誰にも教わっていないと言っていたが、新人でもないのに何を今更と思う。
彼は、仕事に対する姿勢があまりにもいい加減であるため、上長からは仕事上で相手にしてもらっていない。
以前であれば彼のような社員がいた場合、上長は怒りながら仕事をさたのかもしれないが、今は短納期開発で怒る時間が有れば自分でやった方が早いと、ほったらかしにしている。
そのため、彼のような人間は設計レベルは向上しない。もちろん自分で勉強もしないため、レベルは低いままである。
彼のような人間が、設計部門に多くなってきている様な気がする。
設計の全体的なレベルが落ちているのは、設計にゆとりが無く教育する環境が作れないためと思う。

設計技術力低下

2007-03-14 23:26:31 | Weblog
設計技術力が低下していると前回述べた。
全体的に何となく低下していると感じていたが、この何となくがはっきりとしてしまう出来事が起こった。
先日、私がお世話になっている部署で、簡単な斜視図を渡され20分で手書き図面を描けという問題があった。
新人から中堅まで全ての設計者が対象である。もちろん私もだ。
結果、基本的な三面図が描けない設計者が1割ほどいた。
また、何処を正面にして良いか分からない人が半数以上いた。
3次元CADの普及により三面図を書かなくなったのが原因なのかもしれないが、図面の書き方も3次元モデルの仕方もさほど変わらない。
今から描こうとする部品の基準さえ分かっていれば特に問題ないはずである。
近くにいた若手に対し、この図面の場合には何処を基準としなければならないか、何処を正面図にしなければならないか、などを簡単に説明した。
若手は、初めて説明を受けたらしく感動していたが、設計部門がこんな事で良いのか。
出題者が模範図面を作成していたので見させて頂いたが・・・・。
この部署はこれからどうなってゆくのであろう。少し楽しみである。


自動車業界の3次元データー授受

2007-03-13 00:43:50 | Weblog
自動車メーカのHONDAが部品メーカーに対し新規モデルチェンジ車種から、3次元データの授受に関し、CATIA V5データしか受け取らない事を通達した。この動きは、他の自動メーカーも同じで、三菱ふそうトラック・バスも同様な内容で通達し、三菱自工も続くと見られる。
前回、業務効率改善のC社の活動として一気通貫を試みた事例の中で、PDQ(3次元CADデータの品質)に関する、JAMA(日本自動車工業会)/PAPIA(日本自動車部品工業会)の取組について簡単に述べた。
JAMA/JAPIAはPDQ-WG(PDQ-Working Group)を発足させ、JAMA,JAPIA間でSTEPファイルを用いた3次元データの授受に関する品質,不具合について、5年以上かけて調査,検討を行ってきた。
その結果として、STEPを用いたデータのやり取りには品質的に限界があり、自動車メーカは自動車部品メーカに対し、PDQチェックツールによりチェックしたデータしか受け取らないといった動きになっていた。
しかし、今回のHONDAなどからの通達は、PDQチェックツールを通したSTEPファイルも受け取らない事になる。
要するに、自動車メーカーは自社で使用しているCAD環境で作成したデータ以外は受け取らない。
一気通貫の考えとしては、最も効果的で間違いは無いが、部品メーカは高価な3次元CADを自動車メーカ毎に揃えなくてはならない。
なぜ、そこまでする必要があるのか。
それは、PDQチェックツールを用いてチェックしてもなお残る不具合に対し、モデル修正に掛かる費用が膨大なこと意味している。
その費用を抑えるために、自動車メーカは自社で用いているCAD環境でのやり取りを行うことにした。
一見これで自動車メーカはPDQの問題から逃れられたような気になるが、部品メーカから受け取ったCADデータを加工するときに、修正できないなどの新たな問題が発生することが容易に予想される。
最終的には、いかに修正しやすいモデルを作れるかがポイントとなり、そのためにはモデリング力を高める事が重要である。



3次元CADフォーラム参加2

2007-03-07 22:27:49 | Weblog
親睦会では、あまり時間がなかったため議論とまではいかなかったのだが、私の考えについて述べさせていただいた。
おっしゃることはよく分かる。現状はまさしくそうだ。最近の職場では技術的なことについて議論しなくなったし、個人の設計技術力は確実に低下している。
しかし、現在の短納期開発において会社や中堅社員が行ってきたことは、業務効率改善(失敗しない)ためのマニュアル化や標準化であり、新人でもある程度の設計が出来る環境作りだ。
このマニュアルを使うことが設計の前提となり、そこには社員同士の議論の余地は無い。
また、会社が押し進めてきた”考えることが無い設計”が、はたして設計なのか。
この、マニュアル化,標準化された失敗することが許されないた環境で、設計技術力は身に付くのか。
たまにテレビで、技術の伝承とかいって、新人がOJTでエキスパートの技能者に何年も付いて技能を覚えていく内容の番組が放送されるが、昔の板前さんのような環境を再びこの世界に取り戻すことがきるのか。
更に今、製造業で働いている技術者の環境はあまり良くない。
コスト削減のため、技術者は減らされ個人の仕事は増える。又固定給となり残業しても給与には反映されない。技能給とかいって、30代半ばで給与は上がらない。責任ばかりが増えストレスが溜まる。
これでは、技術者のモチベーションは上がらない。
日本の製造業がこのままではダメになる事は目に見えている。
社長さん、技術者のモチベーションを上げなければ会社の技術力は上がりませんよ。あなたは、自社の社員のモチベーションを上げる何かをされていますか。



3次元CADフォーラム参加

2007-03-04 18:54:49 | Weblog
3次元CADのフォーラムに行って来た。
相変わらず3次元CADを導入して、○%の効果改善や、CAEを用いて○の必要数量を事前に把握することで、必要消費電力を計算できた。ということだったが、最後の挨拶でおもしろいことをいっていた社長さんがいた。
「私は、材料屋で3次元CADのような華やかなデジタルの世界は知らないが、最近の職場は私の現役時代とは全く違った職場になっている。今の職場は静かすぎないか。
私の現役時代では、あちらこちらで議論が展開されていた。ああでも無い、こおでも無いとうるさくて、大切な電話では静かにしてくれと言っていた。
今では、一人一人にPCが与えられ、画面を見ながらひたすらキーボードを叩いている。口よりも指の方がよく動いている。
もっと、人と人とのコミュニケーションを取った方が良いのでは・・。」
また、その社長さんはこんな事も言っていた。
「設計者の技術力(設計する力)が落ちていないか。CADは所詮ツールであり、ツールが良いものを設計してはくれない。技術力の向上こそが製品設計には必要である。」
ということであった。
その後の親睦会でその社長さんと上記のことについて少しだけ議論したので次回報告する。