自由民主党 柏市議会議員・円谷のりひと 公式ブログ

千葉県柏市議会議員 円谷のりひとの議会・活動報告、政策提言など。記事には政治活動以外の内容(雑記)も含まれます。

感動~ナビスコ杯準々決勝・鹿島アントラーズvsサンフレッチェ広島~

2007年07月16日 03時46分38秒 | サッカー(ライター時代の記事)
前半の途中、記者席は大混乱に陥った。
台風4号接近によるあまりの強風に、あちらこちらで資料のプリントが舞った。
かくいう筆者も、缶コーヒーを入れた紙コップが風で飛ばされ(倒れたのではなく、飛ばされたのだ!)、ノート一冊をダメにした。
ほとんど丸々一本分が入っていたにもかかわらず、ふわっと空中を舞い、ひっくり返ってしまったのである。

そればかりか、風で霧状になった雨も容赦なく襲いかかる。
いくらぬぐっても霧雨がメガネを濡らす悪天候は、これまでの取材経験から編み出した「円谷流雨天セット」を用意してきた私の想定を完全に超越していた。

そんな悪条件の理由を、記者席がスタンドの最上段にあるという構造的な問題に押しつけるのは簡単だ。
だが、だからといってそれ以外のスタンドがまったく大丈夫だったのかといえば、そんなはずはない。
この日のゲームが台風直下で行われた試合であることは確かなのだから。

朝からひっきりなしに台風情報が流れるような天気にも負けず、スタジアムには8千人の観衆が集った。
カシマスタジアムの収容人数は4万人。
それを考えると「わずか」と感じるかもしれないが、そう決めつけるべきではない。

確かに数字の上では収容人数の4分の1にも届いていない。
だが飛行機や新幹線はおろか、在来線も動いていない状況での試合である。
アウェイサポーターの動員は当然見込めないし、そもそも警報が出るような暴風暴雨のなかサッカー観戦に出かける人が、どれくらいいるだろう。
おそらく、よほどのサッカー好きかあるいは若輩のフリーライターくらいなのではないか。

そんな状況にもかかわらず、鹿島のゴール裏が真っ赤に染まった。
アウェイで0-1の敗戦を喫してむかえたナビスコ杯準々決勝第2戦。
アントラーズの12番目の選手たちの存在感は最後まで衰えなかった。

主審が笛を吹くまでは。自分の脚が動く限り。
選手たちをそう鼓舞するべく、ゴール裏からの歌声は、耐えることなく鳴り響く。
まるで、雨雲を追い払うかのように。

広島サポーターだって負けてはいない。
どうサバをよんでも50人しかいないような少数精鋭だが、彼らは叫び続けた。

なぜ?
建て前でも偽りでも、一応中立の立場で試合を見ようとする記者の目には、その姿はあまりにも健気に映る。
アジア杯で佐藤、駒野の2枚看板を欠き、若手のホープたちはU-20での激戦を終えたばかり。
それでも彼らは、サンフッレチェの勝ち抜けを期待しているのである。

これが、Jリーグ15年の歴史だ。
誰もが自分がサポートするクラブを心の底から応援しているのだ。
たとえそれが開催すら危ぶまれるような状況だったとしても、それは変らない。

それを目の当たりしたこの試合に限っては、選手や監督のコメントも、試合経過のリポートも必要ない。
そこには、アントラーズを信じるパワーがあった。
サンフレッチェに託す想いがあった。
カシマには、サッカーを愛するサポーターがいた。

それを報告することが、その場にいたサッカーライターとしての責務だと私は思う。
今日は自信を持って言おう。
「代表戦は燃える。海外サッカーも面白い。だけど、Jだって捨てたものじゃない」と――。

邂逅~三浦知良の4年前~

2007年07月06日 09時55分19秒 | サッカー(ライター時代の記事)
アジアカップのため中断期間に入ったJ1リーグ戦。
横浜FCは合宿前の小休止に入りました。
その休暇を利用して、キング・カズはアメリカにバカンスに出かけたそうです。
MLSの見学にも行くとのことで、保養先でもサッカーから離れられない人なんだなあ、と思いました。

そのカズ選手について書いた、過去の文章を見つけました。
4年前の03年に当時のブログに載せたものです。

「そこにカズがいるということ」でも書いたように、
抜群の存在感を発揮しているカズ選手ですが、このころは…。
今との状況の違い、そのなかに見える変らない「芯」のようなもの。
その対比が面白いな、と思ったので掲載したいと思います。

仮名遣いを変えた以外は原文のままです。
アマチュア時代の文章なので、お見苦しい点はご容赦を。


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ドーハの悲劇。
93年10月28日。
それまでで日本がもっともW杯に近づいた日。

アジア予選最終戦、対イラク。
時計は後半の45分を回っている。
あと数10秒守りきれば、世界への切符が手に入る。

しかし、サッカーの神様はこうおっしゃった。
「日本にW杯はまだ早い」。

あれから10年。
サッカーの神様が与えた試練を乗り越えるかのように、日本サッカーは1段ぬかし、いや2、3段単位で階段を駆け上がってきた。

マイアミでブラジルを破ったアトランタ五輪。
悲劇を振り払ったジョホールバル。
そして、昨年の日韓大会での躍進。

ドーハでの出来事は遠い昔のおとぎ話になりつつある。
今は世界を意識するのは当然のこと。
そういう時代になったのだ。

だが、彼が帰ってきた当時はちがった。
ブラジルの名門・サントスでプロデビュー、キンゼ・デ・ジャウーを経ての読売サッカークラブ入団。
キングと呼ばれる男の凱旋だ。

彼の第一声は「日本をW杯に連れて行く」だった。
言葉通り、カズが代表の中心になるのにそう時間はかからなかった。

オフトジャパンの発足、Jリーグ開幕。
さらにはアジアチャンピオン。
風は吹いていた。
キングが日本を世界に連れて行ってくれる。
誰もがそう信じた。

だが、つかみかけた夢はすり抜けるようにこぼれ落ちていった。
ピッチにいた誰もが泣いた。

時代は流れ、みんな少しだけ歳をとった。
井原正巳、福田正博、北沢豪…。
キングとともに戦場に立った兵(つわもの)達が次々にスパイクを脱いでいく。

カズにも昔の面影はない。
最盛期のキレもパワーもなくなった。
点をとるのが当たり前だったころとはもうちがう。

最近ではベンチを外れることも多くなった。
それでもかつて日本の象徴だった男は死んでいない。
5月10の浦和戦。実に9か月ぶりの復活ゴール。
やっぱりカズにはゴールシーンがよく似合う。

36歳のベテランは衰えている。
たった一つの得点がニュースになってしまう。
以前なら考えられなかった。

“ブラジル人よりうまいウイング”であり、日本最高のストライカーだったのは過去のこと。
W杯の夢は叶いそうにもない。

それでも彼はピッチに向かう。
「フィジカルが強くなればまだよくなると思う。これからもがんばる」。
あくなき向上心とひたむきな姿勢。
頭には白髪が増えたけれど、サッカーへの情熱は今も変わらない。

日本で一番栄光の光を受け、同じくらい辛酸をなめてきた男。
サッカーの神様は、キングが王冠を脱ぐことを、未だ許していない。

そこにカズがいるということ~横浜FCvs大分トリニータ~

2007年05月26日 19時36分09秒 | サッカー(ライター時代の記事)
三ツ沢を歓喜が包む!

キングが決めた。魅せた。踊った。
前半21分、サイドを駆け上がった滝沢のクロスに走りこむ。
落ち着いて右足を振りぬくと、ボールはゴール右上に突き刺さった。

その瞬間、スタンドがゆれた。
久しぶりのカズダンスが披露されると、スタンドの興奮は最高潮。
最下位に低迷するチームにとっても、のどから手が出るほど欲しかった先制点だ。

予感はあった。
セカンドボールを拾うことでリズムを掴み、サイドから攻めこむ横浜。
カズは果敢に2列目からの飛び出しを繰り返した。

大分・シャムスカ監督は苦虫をかみつぶすように語る。
「三浦選手の飛び出しでいい形を作られた。森重がマークするはずだったが、何度かやられてしまった」
得点にこそつながらなかったものの、カズは何度もチャンスに絡んでいたのである。

新たな手応え

それだけいい動きができた理由をカズはこう分析した。
「前(平本)でタメができて、根占との関係もよかった」。
新加入の平本を含め、チームのコンディションは上向きだ。

思えば、カズが去った後のヴェルディで11番を引き継いだのは平本だった。
「才能もあるし、まだまだ伸びる」。
キングがそう評価する彼が機能したことも、大きな収穫だ。

1トップ気味の布陣の中で、平本はターゲットとして動き回った。
後半11分には中島のクロスに飛び込み、あわやの場面を作った。
ディフェンスでも走り回った。

「彼にしかできないプレーをしてくれている」。
高木監督がそう語る通り、貴重な攻撃の一手となってくるはず。
頼りにしていた久保のいない攻撃陣において、カズとともに大車輪の活躍が期待される。

キングがいる幸せ

しかし、この日の主役は終始カズだった。
後半20分、ベンチに退く際にはスタンディングオベーション。
試合後には正規のインタビュー後、内田とともにゴール裏のお立ち台に上がってサポーターを喜ばせた。

――ダンスものほかにも、試合後に「元気ですかー!」と叫んでいましたね。
筆者の問いに「内田が先にやってたから。マネしただけです」と苦笑い。
その後、「(勝ちを決める終了の)笛がなった瞬間とか、(サポーターやスタッフとの)一体感がある。みんなで喜びあえる」と勝利の余韻を噛みしめた。

そして、すぐに「でも、次に切り変えなきゃ」とカズは前を向いた。
降格圏内にいるチームにおいて、この姿勢が心強い。
高木監督も「プレーの面でも、精神的にもまだまだ影響力は大きい。良くも悪くも頼っている部分は大きい」とその存在感を認めている。

今日、キングがいる幸せを横浜サポーターは存分に味わっていることだろう。
そして、同じ幸福を私も感じている。
ひとりのライターとしてなのか、サッカーファンとしてなのか、わからないけれど。

スタジアムからの帰り道。
電車にゆられる私の耳からは、いつまでも「三浦カズ!オ・レ!」の大合唱が離れなかった。


横浜FC2-1大分(試合詳細

勝利の余韻のその後に~FC東京vsジェフユナイテッド千葉~

2007年05月13日 14時17分36秒 | サッカー(ライター時代の記事)
こんなに気持ちのいい試合は、久しぶりだった。
得点が決まるたびに、182cmの巨体が飛び跳ねる。
苦しい戦いが続いていたFC東京にとって、今期はじめてともいえる快勝。
原監督が喜びを爆発させるのも無理からぬことである。
 
敗れれば17位転落もあり得るという状況でむかえた一戦。
過去に経験したことのない泥沼を脱出しようと指揮官が選んだ布陣。
それは外国人3人を前線に並べる新布陣だった。

この起用で前線は一気に活性化した。
ルーカスが、ワンチョペが、そしてリチェーリが次々と千葉ディフェンスに襲い掛かる。
終ってみれば3人がそれぞれ得点を奪うゴールショーとなった。

しかし、それ以上に評価するべきは前線での守備だ。
労を惜しまないプレスがこの勝利を手繰り寄せたのだ。

最終ラインに入った今野も「狙い通り。攻撃的な守備ができて勢いがついた」と語る。
原監督も「ワンチョペにも前から追いかけてくれと指示した」という。
その期待に応えるプレーで勝利に貢献した。

「我々は助っ人としてきている。だから3人出場するのは自然なこと」。
先制ゴールのルーカスは胸を張って語る。
攻守に活躍する外国人選手が、実に頼もしい。

だが、攻撃面ではこの3人に頼りきりだったのも事実。
今野は「得点の内容はリチェーリの速さとか、個人の力。満足していない」と語る。
攻めの形はまだまだ見えていないのが現状だ。

しかし、原監督が課題を口にすることはなかった。
得点直後の喜び方について水を向けられ、「ジャンプの仕方を忘れちゃってたよ」と冗談を言う余裕を見せた指揮官。
勝利の余韻を味わうのはこの日のみとし、攻めの形を早急に作り出さなくてはならない。

そうしなくては、また泥沼に引きずり込まれてしまうことだろう。

F東京4-1千葉(試合詳細

ああ、7連敗~東京ヴェルディvs水戸ホーリーホック~

2007年05月04日 19時34分12秒 | サッカー(ライター時代の記事)
それはブーイングというにはあまりにも厳しいものだった。
暮れ行く国立の空に響いたサポーターの叫びは、まさに怒声であった。
叱責といいかえてもいい。

開幕戦を同じ国立で戦ったのがつい2ヶ月前。
1対1には必ず勝ち、球際に強かったあのヴェルディの姿はそこにはなった。
前節まで6連敗とがけっぷちを通りこした状況で迎えた一戦にイレブンの闘志は空回りだ。

エース・フッキに加え、ディエゴ、名波も欠いた布陣。
とはいえ、ディフェンスはベストなメンバーを組んだはずだった。
それなのに、守れない。

広山は「1点先制して落ち着いてやらなければならない時間にぎこちなくなった」と振り返る通り、立て続けの失点で逆転を許すと、あとはボロボロ。
対人にまったく勝てず、水戸アタッカー陣にやりたい放題にやられてしまたった。

変則の3トップで臨んだ水戸の攻め方がうまかったこともあるが、対人に勝てないのではどうしようもない。
頼みの服部も水戸・金沢に何度も何度も右サイドを破られる始末。

結局今期未勝利、合計3得点しか奪っていない水戸に対し5-1の完敗。
この結果からいったい何を見出そうというのか。

永井は「今日は勝つしかなかった。難しいです」と下を向く。
広山も「やってきたことを拠りどころにして、次がんばるしかない」
と表情は暗い。

会見場に訪れたラモス監督は、いつもの強気のラモス監督だった。
だが「京都戦まではやる。勝っても負けても、その後にフロントと話して結論を出す」と辞任を匂わせた。
「2日間しかないけど、絶対に立て直す」。
そう力強くいう指揮官にはたして具体策はあるのだろうか。

悲壮感漂うチームで、キャプテンシーを発揮しているのがGK高木だ。
この日はベンチをあたためたが、ハーフタイムには選手ひとりひとりに声をかけてまわった。
「控えGKは試合に出る確率も少ないし、盛り上げていこうと思った」
高木は次戦でも同じ役割を厭う気はない。
「出られればもちろん精一杯やる。出られなくても自分にできることを見つけて、それをやりたい」
チームのムードは悪くないという。だが、焦りやプレッシャーは確実にある。
背番号21の心意気が、そんなチームにひと筋の光明をもたらすかもしれない。

東京V1-5水戸(試合詳細

選手を主役に~川崎フロンターレvsジェフユナイテッド千葉~

2007年04月29日 21時00分58秒 | サッカー(ライター時代の記事)
事件は後半20分
昨日各地で行われたJ1リーグ戦の主役は、レフェリーだった。
横浜で、新潟で、神戸で、疑惑の判定が相次いだ。
そして、この日もそれは変わらなかった。

事件が起こったのはハーフウェイライン付近だった。
激しい競り合いの末、水本がジュニーニョからボールを奪い、味方にパスを出した。
その直後、水本が足を抑えて倒れた。

しかし、レフェリーの笛はならない。
当然、奪い返したフロンターレはジェフゴールに迫る。
結局、ボールがタッチを割るまで試合は続いた。

いったい何があったのか。
すれ違いざまに、ジュニーニョが水本を蹴ったのだ。
少なくとも、記者席にいた筆者の目にはそう見えた。

試合が止まるやいなや、ジェフイレブンはレフェリーに詰め寄った。
ボールのないところでのラフプレイ、しかも報復行為である。
本来ならジュニーニョは退場処分になってもおかしくない。
抗議は当然だ。

だが、レフェリーは聞く耳を持たなかった。
そのまま試合を続行し、次のプレーでフロンターレの先制点が生まれた。


疑問残る主審の対応
佐藤勇人の話。
「副審に確認してくれと言ったのに、聞いてもらえなかった。主審は『見てるから』とそれしか言わない」

これが本当ならば(おそらくその通りなのだろう)、由々しき事態である。
審判も人間、ミスはある。
とはいえ、やれることをやっての判定とそうでない判定では、雲泥の差がある。

正しい判定ができなかったこと以上に、とるべき手順を取れなった。
それが問題なのである。
審判団には、同じ過ちは絶対に犯してはならないと肝に銘じてもらいたい。

当事者である水本は試合後もらした。
「もっとレフェリーも試合をコントロールして欲しかった」
これは正直な感想だろう。

それでも腐らずに
しかし、水本はそれ以上うらみつらみを言うことはなかった。
「レフェリーのミスも起こりうるということを頭に入れてプレーしたい。それよりもうちも含めてもっとフェアープレーを心がけなきゃ」

ジェフのほかの選手もそれは同様だ。
立石も工藤も「10人(交代枠を使い切ったあと、ストヤノフが負傷退場)で守れたのは評価していい。チームの状態は上向き」と口をそろえる。
ジャッジ次第ではなかった失点で喫したドローを引きずる様子は皆無であった。

納得のいかない判定に加え、試合中に巻、ストヤノフ、練習中にジョルジェビッチが負傷したジェフ。
まさに踏んだり蹴ったりである。
それでも選手は一様に前向きだった。

そんなひたむきな姿勢が、後味の悪いゲームのすこしばかりの口直しとなった。

強いマリノスが帰ってきた!~横浜Fマリノスvs大分トリニータ~

2007年04月23日 23時21分45秒 | サッカー(ライター時代の記事)
徹底されたプレッシングの意識
大量点よりも完封よりも、やろうとするサッカーへの手応えが最上の戦果だった。
前線からとにかくプレスし、高い位置でボールを奪う。
それを誰一人サボることなく続けた成果が、5-0というスコアに表れた。

特に愚直なまでにチェイシングを繰り返す2トップの働きは賞賛に値するものだった。
それがよく表れていたのが、2点目となった坂田のゴール。

猛烈な勢いでプレスに行くと、DFのクリアは大島の体にあたり、真下に落ちた。
それを拾った大島は、落ち着いてフリーの坂田へ。
坂田にやるべき仕事はそう多くなく、右足を振りぬくといとも簡単にボールはゴールへと吸い込まれていった。

それ以外にも、5点目の山瀬功のゴールも同じように前線でボールを奪ってのもの。
最後まで諦めずボールを追った坂田がクリアにいったGKに腹の辺りを蹴られる場面もあった。
それほど高い意識でプレスしていたのである。

大分・シャムスカ監督は「マリノスの出方は予想通り。我々のコンディションの悪さがこの結果を生んだ」と敗因は自滅だと語る。
しかし、そんなことはないだろう。
マリノスの運動量が常軌を逸していたのだ。

生まれ変わるマリノス
早野監督も「やろうとすることができれば、結果は出るということ」と胸を張る。
山瀬功治も「攻守に形が見えてきた。意識がまとまりつつある」と自信を深めた様子。
選手たちの表情は一様に明るく、上昇ムードが漂っている。

「まだはじめたばかり。継続的にやっていく」と宣言した早野監督。
豊富な運動量が必要なこのスタイルは、11人で乗り切れるものではない。
その点に関しても「若手が伸びてきている。競争で選手層が厚くなればいい」と心配していない。

鈴木や松田、外国人選手も能力で負けているから出られないのだと指揮官は強調した。
マリノスは、確実に生まれ変わっている。


横浜の至宝となれ

そんな新生マリノスを支えていくだろう選手。
それは背番号32に他ならない。
山瀬幸宏その人だ。

兄・功治に劣らない高い技術を武器に、この日もピッチを躍動した。
前半11分、右サイドで田中隼がボールをはたく。
パスを受けた山瀬幸は、ひとつドリブルを入れると左足を一閃。
次の瞬間、ボールはネットを揺らしていた。

早いモーションからのシュートに、相手GK西川もなす術なし。
せまいニアを破る見事な一発だ。
自らの誕生日を祝う祝砲は、その才能を示すには十分だった。

「最初は見えなかった。でもゴールが揺れてたから、入ったと思った。うれしい」と初々しく語る山瀬幸。
そんな弟の初ゴールに、兄は真っ先に駆け寄り喜んだ。
「本人も自信になると思う。あれくらいはできると思っていた」と弟の能力の高さを認めている。

「試合に出れるようになって、やっと兄と比べられるところまできた」
山瀬幸は、試合に出られる喜びをかみしめている。
そして、それを見ているマリノスサポーターも、同じように喜んでいる。

この日、暮れゆく横浜の空には新しい才能がまばゆいばかりに輝いていた。


横浜FM5-0大分(試合詳細

幸い中の不幸~大宮アルディージャvs名古屋グランパスエイト~

2007年04月14日 19時07分41秒 | サッカー(ライター時代の記事)
連勝中には見られなかったほころび
がっちりかみ合っていたはずの歯車が、徐々に狂ってきている。
そう思わずにはいられない敗戦だった。
攻めても守っても、どこかちぐはぐなのだ。

前半26分、サーレスのゴールで先制を許す。
この失点の原因は、クロスを挙げた藤本をフリーにしたことだ。

サイドハーフが上がった裏のスペースのケア。
これは3バックシステムの必須命題だ。
開幕からの連勝は、これができていたからこそ為しえたともいえる。
だが、この日はそんな基本が守れなかったのである。


フォルフォーセンの肩に重くのしかかったビハインド
その1点をベンチも必要以上に重く見てしまったように思える。
フォルフォーセン監督は、後半開始からDF竹内に代えてFW津田を投入した。
前線を2人から3人に増やしたのだ。

だが、これが完全に裏目に出る。
引いて守る大宮のゴール前に、3トップが仕事をするスペースはなかった。
そのため、中盤でボールをキープすることはできても、勝負のパスが出ない。
横パスを繰り返しているうちにボールを奪われ、カウンターを食らう。
それ繰り返す結果になってしまった。

FW杉本もこの采配には戸惑った様子だった。
「ボールが動いてない。3トップは練習してないし、速いテンポでできなかった」

なぜ指揮官は、試したことのないシステムを採用したのか。
点差はわずかに1点なのだ。
それならば前半のままの布陣で臨み、大宮ディフェンスのほころびを探すほうが得策であるように思える。

フォルフォーセン監督の采配ミスと先週の敗戦は無関係ではないだろう。
連勝が止まり、仕切り直し試合である。
手を打たずに敗れれば悔いが残る。
そんな思いがあったはずだ。

また、降りかかった幸運がそれに追い討ちをかけたであろうことも予想できる。
前節、金、藤田の主力ふたりが退場処分を受けた。
本来ならこの日は出場停止である。

しかし、その対象が水曜日のナビスコ杯になり、リーグ戦には何の影響もなかったのだ。
連敗スタートとなり、すでに大きく出遅れているカップ戦。
ほとんど消化試合になっている試合での出場停止は、休養させたのだと思えば痛くもかゆくもない。
幸運を逃すものは、栄光を掴むことはできない。
名古屋のオランダ人指揮官がそう考えたとしても、なんら不思議ではないはずだ。

早くもやってくる正念場
中盤の2人(藤田、金)の出場停止をカップ戦で消化できたこと。
相手が決定機を逃し続けてくれたこと。
特に目立った遅延行為はなかったはずなのに、敵の守備の要に退場が命じられたこと。

それらの追い風を、生かすことができなかったグランパス。
いくつも重なった幸運を逃しての敗戦は、ただの一敗より重い。
開幕からの連勝で築いた勢いは、完全に消え去ってしまった。

このままズルズルと下がってしまわないためにも、次の一戦はシーズンを占うものとなる。
はたして、踏みとどまれるのか。
現在名古屋が置かれている状況は、4勝2敗という成績よりもずっと厳しい。



大宮1-0名古屋(試合詳細

若シャチの咆哮~鹿島アントラーズvs名古屋グランパス(ナビスコ杯)~

2007年04月12日 02時11分31秒 | サッカー(ライター時代の記事)
若さで鬼門は超えられず

J開幕以降19戦19敗。
そんな鬼門・カシマスタジアムに乗り込んだグランパスのスターティングイレブンは、平均年齢が22・36歳というフレッシュなメンバーだった。
こうなると期待するのは、もちろん若手ならではアグレッシブさを全面に押し出した戦いだ。
しかし、期待したほどの活力を発揮することはできなかった。

立ち上がりこそ玉田、杉本のスピードを生かしたサイド攻撃でペースを握ったグランパスだったが、前半21分に最初のピンチをむかえると、あっさり先制を許す。
すると、序盤の勢いは一気にトーンダウン。
横パスが多くなり、攻め手は杉本の突破のみになってしまう。
これではほぼベストメンバーのアントラーズを崩せるはずがない。

「(立ち上がりは)若手中心にしては良かったと思う。ただ、勝つことにもっと貪欲にならならないと」
地元での試合にどうしても勝ちたかったという杉本は闘争心の足りなさを指摘する。
技術や戦術以前に、戦う姿勢ができていなかったのだ。


明日へつながる初ゴール
そんななか、溢れんばかりの闘志を見せてくれたのが本田と巻だ。
本田は警告を受けるほど激しいあたりを見せ、中盤でボールを追い続けた。

そのファイトが身を結んだのが同23分。
相手GK曽ヶ端目指して、本田が猛烈なチェイスをかける。
するとそれまで完璧なゴールキーピングを見せていた曽ヶ端にこの日唯一のミスが生まれた。
フィードが本田に当たったのだ。

そのこぼれ玉を巻が拾うと、相手DFをふたり背負いながらもドリブルを開始。
十分に間合いを計り、左足を振りぬくと、ボールはネットを揺らした。
巻佑樹のプロ入り初ゴールである。

だが、そんな記念すべきゴールにも巻はまったく歓喜の色を見せなかった。
一目散にボールを拾うと、センターサークルに全力疾走。
「負けていたので追いつかないといけないと思っていた」
そう言って唇を噛んだルーキーは、負けることをことさら嫌がった。
「もっとがむしゃらにゴールに向かっていきたい。チームのためにもっと献身的に動きたい」
悔しさを隠そうともせず、次戦以降の抱負を語るその目は向上心に満ちている。

一方、ゴールをお膳立てした本田には、怒りの色さえ浮かぶ。
「(主力の出場停止、休養で)チャンスを貰っているのに、こんな戦い方をして腹立たしい。もっとできるはず」
チームメイトの力を信じているからこそ、結果が伴わないことに納得がいかないのだ。
「サッカーだから、アンラッキーなこともある。次から切り替えてがんばる」
オリンピック予選も控える背番号24は、悔しさをにじませながらもしっかり前を向いた。


春の珍事では終らせない
彼らのコメントを聞いていると、名古屋ははっきりと変わっているように思える。
勝ったり負けたりを続け、中位に甘んじていた昨年までとは違う。
リーグ戦の好成績を自信につなげ、勝利の味を覚えてきているのだ。

あとはさらにその下――本田がもっとできると言う選手たち――の意識が変われば、グランパスは一皮向けるだろう。
14日のリーグ戦には、欠場した主力が戻ってくる。
藤田や中村、ヨンセンらに杉本ら中堅、そして本田を筆頭にした若手。
世代や実績を超え、チームがひとつになったときグランパスは万年中位を返上するはずだ。


ホームの呪縛~FC東京VSアルビレックス新潟~

2007年04月08日 02時32分35秒 | サッカー(ライター時代の記事)
攻守に精彩欠く東京

1失点目。自陣ゴール前で川口がトラップミス。
2失点目。相手の懐に安易に飛び込んだ結果、伊野波がファウルし、PKを献上。
3失点目。ロングボールに対応した徳永がクリアミス。

FC東京の失点は、どれもこれもつまらないミスが原因だった。
「内容はよくなかった。相手のミスに助けられた」
新潟・鈴木監督も語る通り、ワンサイドの試合展開になった原因が東京の自滅であることは明らかだ。

攻撃面でもオウンゴールの1点のみに終った。
ルーカスを完全に抑え込まれ、攻め手といえば右サイドから単調なクロスを入れるだけ。
「千代反田さんとどっちかがルーカスを潰すことになっていた。彼に仕事をさせなかったことが勝利につながった」と永田が語るとおり、完全にしてやられた格好だ。

原監督は「単純にシュートすればいい場面で時間がかかっている」勝負の場面でパスがひとつ多いことを問題にあげた。
それは、新潟の守る機会を増やすことになる。
つまり、慎重になりすぎていたのだ。


ホーム未勝利という事実の重さ
東京のアタッカーたちは、なぜそんなにも慎重だったのか。
もしかしたら、ホームで勝っていないせいなのかもしれない。

原監督は試合前、今期のホーム初勝利をあげようと発破をかけたという。
それが「負けちゃいけない」という重圧につながったのではないか。
そのため、大事にいこうという意識が強くなり、攻撃の手数が増えたのだ。
守備で繰り返された凡ミスも、そのプレッシャーと無関係ではないだろう。
アウェイの洗礼ならぬ、ホームの呪縛が東京に重くのしかかっていたのである。


ひとり奮闘した新守護神
暗い話題ばかりのチームで、ひとり気をはいたのがGK塩田だ。
カップ戦での活躍が認められてのリーグ戦今期初出場。
DFがミスを繰り返し失点を重ねたが、一方で決定的なピンチを何度も防いだ。

その孤軍奮闘に応えるかのように、少しだけ東京にリズムができる。
後半20分過ぎから中盤のこぼれ玉を拾えるようになってきたのだ。
それは10人であったにもかかわらず、ワンチョペ、平山を投入した成果。
ふたりが入り前線でボールをキープできるようになり、中盤に余裕ができたのである。
原監督が標榜する〝攻撃サッカー〟がほんのわずか垣間見えた瞬間だった。

もちろん、攻撃的な選手が増えれば失点する危険は増す。
しかし、リードされているのだから攻めなくてはならない。
そんな状況で最後方に当たっているGKがいることがなんとも心強い。
ひとかけらだけ見られた東京らしさは、塩田のがんばりのたまものだ。

しかし、試合後の塩田の表情は暗い。
「ピンチを防いだといっても3失点している。プロだから結果がすべて」と敗戦を悔やむ。
「プロなんだから勝たなくては」と何度も繰り返し、もっと効果的な指示出しをしたい」とその結果を出すための課題を口にする。

昨シーズンまでは完全に土肥の影に隠れていたが、今期はカップ戦を中心に出場機会が増えた。
「下を向いていてもしかたない。もっと意見を出し合って、前を向いていく」。
そう言って顔を上げた背番号22の視線の先には、レギュラーの座とチームの勝利しか映っていない。


F東京1-3新潟(試合詳細