seishiroめもらんど

流野精四郎&東澤昭が綴る読書と散歩、演劇、映画、アートに関する日々の雑記帳

テンペスト

2009-10-10 | 雑感
 台風18号は日本列島を縦断し、各地につめ痕を残して去った。この10年間で最大規模との報道もあり、首都圏でも交通機関が近年にない混乱を示した。

 怪我をした方、亡くなられた方、家や農作物に甚大な被害を受けた方々に比べればなんてことはないのだが、私も普段なら電車で10分ほどの距離を移動するのに2時間近くも要してしまい、大事な打ち合わせをすっぽかす事態となった。
 ちょっとしたタイミングで電車に乗り損ね、その後JRはおろか地下鉄まで全線ストップとなる仕儀で、日ごろは閑散としているタクシー乗場も長蛇の列、とにかく目的地に向かって歩くしかない状態だったのだ。

 それにしてもこの台風、どうしてこんなにも狙い済ましたように狭い日本列島を直撃するのか、そのメカニズムが私のような理科オンチにはまるで理解ができない。
 東京ディズニーランドには、「ストームライダー」という、気象コントロールセンターから発進する新型飛行型気象観測ラボを使ってストームを破壊するというアトラクションがあると聞いたことがあるが、もしそれが実現可能なものなら国を挙げて真剣に研究する価値は十分過ぎるほどにあるのじゃないだろうかなどと考えてしまう。

 台風=「あらし」と言えば、シェイクスピアの「テンペスト」を思い出す。
 作者最晩年の作といわれるこの作品は、復讐を経て再生と和解へといたる物語である。
 いま世の中全体が「あらし」を経て「変革」の時を迎えつつある。
 ひとつの「祭り」が終わり、人々はその総括を求めて「反動」の時代が到来するのかも知れない。
 和解と再生の時は果たして訪れるのか。

 テンペストの主人公プロスペローが語る有名な台詞がある。
 「我々は夢と同じ糸で織りなされており、その儚い命は眠りとともに終わる」というものだ。

 夢のあと、祭りのあとには何が残るのだろうか。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿