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流野精四郎&東澤昭が綴る読書と散歩、演劇、映画、アートに関する日々の雑記帳

去年今年

2010-01-02 | 日記
 年が明けた。改まったという言い方もあるが、何が改まったのか、何かが変わったのかと言われると、答えようがない。

  去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの

 ご存知、高浜虚子の句であるが、私も社会人の端くれとして顔を出すことの多い新年賀詞交歓の会合で必ず何人かの偉い方が挨拶のなかで引用する句でもある。
 人によっては、去年から今年にかけて変わらぬ志や信念、といったような意味合いで援用しているようだが、作者の意図としては、新年と言っても別に改まった喜びがある訳でもない老いの感慨を表現したととるのが自然なようだ。
 確かに、わずか一日を経て年が改まったからといって何も変わるはずはないのだけれど、それでも

  年の明けて憂き世の夢の覚むべくは暮るともけふは厭はざらまし(前大僧正慈円:新古今和歌集所収)

 のように、年が明けてみれば、身の回りの鬱陶しい問題山積の状況がきれいさっぱり解決していればなあなどと思わないでもない。
 さて、気持ちも身体も自然に正月休みを察知したようで、途端に休日モードに入ってしまった。かえって調子が狂ったようで始末が悪いのだが、こんな時はあきらめて思い切り酔って興ずるに越したことはないのだろう。

  大三十日(おおみそか)愚なり元日猶愚なり   正岡子規


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