坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

タグチ・アートコレクション GLOBAL NEW ART

2011年06月15日 | 展覧会
個人コレクターの展覧会の企画も増えてきましたが、実業家田口弘さんは優れた現代美術のコレクターとして知られています。アメリカのポップアートから始まる第一級の作品群には目を見張るばかりです。
始まりは、1980年代に出会ったキース・へリングの作品に興味を持ち、その時代が生んだグラフィティアートに自由な躍動感を覚えたそうです。ウォーホル、リキテンスタインの二代巨匠のほか、マリーナ・カポスが描く東京のシリーズは、会場の半分をしめす大作となります。そのコレクションのバリエーションは国際的に広がっていきます。あまり日本では紹介が少ないグラフィカルなオランダやドイツの現代アーティトの作品に触れる機会ともなります。
日本人アーティストでは、ブラジル生まれでニューヨークに在住し、数年まえに日本でも大規模な個展を開催した大岩オスカール、自ら作った人形を緻密に描き出す加藤美佳、日本の絵巻物の壮大さと架空のイメージを混在させる天明屋尚、奈良美智ら世界でも注目される作品群が並びます。
・掲載作品は、照屋勇賢「告知ー森」2009年です。沖縄生まれで、ニューヨークを拠点に活躍。この作品の素材はティファニーのショッピングバッグ。その一部を木の形に切り抜いて、その袋の中に立たせています。細かい手仕事の世界観と高級ブランドの消費文化の対比が社会的なメッセージを生み出します。
現在進行形のコレクション。現代アートの楽しさに触れる機会となります。

◆タグチ・アートコレクションGLOBAL NEW ART/7月12日~8月31日/損保ジャパン東郷青児美術館(西新宿)