坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

美しき日本の原風景ー川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷ー

2011年06月06日 | 展覧会
樹木の緑が濃く鮮やかになる日々に、日本の心のふるさとを描いた日本画の優品の展覧会が開催されます。近代以後の日本画のコレクションで知られる山種美術館ならではの大家の作品群は、日本画特有の線の美しさ、空間の省略化、優しい色合いなど自然に寄り添い、その中で素描感を大事に主観的な誇張を抑えた表現に心地良さを感じます。
タイトルに添えられた玉堂の「早乙女」は、のどかな田植えの様子が描かれています。軽やかな人物の動きにはテンポがあり、俯瞰した構図により広がりのあるゆったりとした空間の揺らぎが表現されています。
奥深い色彩で描いた奥田元宋「奥入瀬(春)」、東山魁夷「緑潤う」横山大観「霊峰不二」ほか60点で千変万化の自然の豊かさを彩ります。

◆美しき日本の原風景ー川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷ー/6月11日~7月24日/山種美術館(渋谷区・広尾)
 TEL 03-5467-1101