坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

福岡アジア美術館 インド人作家のパフォーマンス

2010年08月03日 | 展覧会
福岡アジア美術館の美術作家招へい事業の第10回アーティスト・イン・レジデンスの成果展が開かれます。韓国、中国、東南アジアなどの活況のあるアートシーンを伝えるあじび(福岡アジア美術館)が今回招へいしたのは、インド人女性アーティストのアナンディタ・ダッタさん(1973年~)。6月から福岡に滞在し、九州産業大の学生たちと泥を用いたパフォーマンスなど現地制作を行い、写真やビデオ作品に収めました。現地の小中学生とインドの凧や王様の冠などをいっしょに制作するなどワークショップで交流を行いました。
著しい経済成長とともに現代アートの面でも活発な様相を見せるインドですが、その一端を垣間見るようなパワフルな制作の様子が伝わってきます。

●福岡アジア美術館
 8月10日~8月24日/あじびホール8F

大谷有花 無意識の対話

2010年08月03日 | アーティスト
大谷有花さん(1977年~)の「ウサギねずみ」シリーズの一作「ファイバリット」(2009年)です。「キミドリの部屋」シリーズなどで、7年前にVOCA賞奨励賞他を受賞するなど注目され、ファンシーな具象絵画の扉を開いています。
2010年「第2回絹谷幸二賞」を受賞した作品でも、シンメトリックな構成で本の上に載った2匹のウサギねずみが向かい合っています。アニメチックな雰囲気がありますが、油彩で繊細なトーンが生きています。
今美術表現は多様にメディアを広げています。その中にあって具象表現をツールとして、個々の内面との対話を可視化する、見えないものをイメージすることへのこだわりが伝わってきます。ケータイ小説やブログなどと共通する現代性を感じます。