坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

新世代への視点ー山本聖子「空白な場所」

2010年08月07日 | 展覧会
東京・銀座、京橋を中心とした11画廊が同時期に共同開催する「新世代への視点2010」(7日で終了)の数件の画廊を巡りました。40歳以下の新鋭作家の個展による多様な表現は、現代社会の一断面を浮き彫りにします。
コバヤシ画廊(銀座3丁目)では、山本聖子さん(1981年~)の「空白な場所」シリーズのインスタレーションの作品。一見するとプラモデルのパーツを網目状につなぎ合わせたような、柵状に壁面に沿って展開されています。このシリーズは、物件広告とラミネート、アクリルで壁面に展開された作品のバージョンで、新聞のチラシなどに入ってくる物件広告の間取りがコンセプトをつくっています。それらを組み合わせていくことで、もう一つの都市の景観をつくりだしているのかも知れません。揺らぎのある空虚な様相は現代の空気、雰囲気を感じ取れるものでした。