坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

日常への視線ー豊泉綾乃

2010年08月08日 | 展覧会
豊泉綾乃(とよいずみ・あやの)さんの絵画は一見抽象的作風に見えます。モチーフは日常の一断面、身体の一部をイメージしたシリーズを展開しています。「日常(白いシャツ)」や「日常)青いスカート」などは、水彩で描かれた豊かな筆触で、われわれが日ごろ目にしている光景の不確かさ、曖昧さの中にイメージの広がりをつくりだしています。
新作ではモノクロのトーンで自家用車内のイメージも。水彩のもつにじみなどもイメージの膨らみに効果的に作用しています。ドイツのリヒターは写真を使って逆にピントがあいまいな絵画をイメージ化しました。今後の展開が楽しみな作家の一人です。

●「新世代への視点」からギャラリーなつかの個展

現代作家の小品展の楽しさ

2010年08月08日 | 展覧会
銀座と京橋の11画廊が連携して開催された「新世代の視点2010」のもう一つの楽しみ方は、それぞれの画廊が推薦するアーティストのスモールサイズの作品の展示販売です。
参加画廊のギャラリーなつかの一つの空間を画像のようにいろんなスタイルの絵画や立体が並びました。1万円以下から買える作品もありこちらも盛況だったようです。
小品と言っても大作とは別種のフレッシュさもあり、定期的に小品展が行われていますので、画廊に問い合わせてみるのもいいでしょう。
・ギャラリーなつか(Tel03-3571-0130)