坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ブリューゲル版画の世界

2010年07月14日 | 展覧会
農民の縁日や婚礼の踊りなどで知られ、16世紀ネーデルラント(ベルギー、オランダ地方)で活躍したピーテル・ブリューゲル。ベルギー王立図書館所蔵からブリューゲルの大規模な版画展が21年ぶりに開催されます。
・掲載作品「聖アントニウスの誘惑」(部分)1556年
ボッシュ的な奇想のグロテスクな魔界へと誘います。油彩とは一味違ったブリューゲルの絶妙な素描の線を当代一流の彫版師たちによって、版画全盛期の時代の息吹を感じ取れます。

●ブリューゲル 版画の世界
 Bunkamuraザ・ミュージアム/7月17日~8月29日

ちょっとエロ可愛いマン・レイ展

2010年07月14日 | 展覧会
今日から公開されるマン・レイ展(国立新美術館)のプレス・プレビューに行ってきました。ニューヨーク、パリ、ロスと活動の場を広げながら、ピカソやダダのデュシャン、シュールレアリスムのエルンストらとの交友から触発された作品、詩人のポール・エリュアールとの本の共作、エバ・ガードナーら華やかな女優陣のポートレイトなど、写真家としてだけでなく絵画やオブジェ、ドローイングなど創作の枝葉を広げていった全容が展開されています。モダニズム全盛期の時代の中で、大実験ではなく、遊び心をもって実験的姿勢を貫いたマン・レイは、芸術仲間にも刺激的な存在であったと想像できます。
黄金の唇やハート、手や足など身体的な部分をモチーフとして、ちょっとエロ可愛い現代的要素も垣間見られます。何事もバーチャルな時代に入ってきた現代、触覚的で身体的な感覚が魅力となっていると感じられます。