坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

渡辺豊重 鬼と遊ぶ

2010年07月01日 | 展覧会
渡辺豊重さんは版画やオブジェなど、ポップな色と植物の一部を思わせる軽やかな形態感に特徴があり、どこかユーモラスなおおらかさがあります。
1年前から取り組み始めた「鬼」シリーズは、黒と金、黒と銀という対比が鮮やかな和の美学が感じられます。鬼は現代社会への鋭いメッセージが含まれています。画像にあるようにビビッドな原色は健在です。1931年生まれ、自在で自由な創作意欲はますます広がりを見せています。

●「渡辺豊重 鬼と遊ぶ」展
 神奈川県立近代美術館 鎌倉
 開催中~8月29日

シャガール展の見どころ

2010年07月01日 | 展覧会
パリのポンピドー・センターからシャガール作品70点が揃う「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展が、7月3日から東京藝術大学大学美術館で開催されます。
エコール・ド・パリの画家としてパリで活躍したシャガールですが、ロシアの故郷ヴィテブスクを忘れる事なく、その郷愁を村の教会や馬、牛が飛び交う画面に投影させていきました。50代でアメリカに亡命し、掲載画像のように赤い馬のシリーズが登場します。
本展では、結婚式の場面の上空を馬に乗って祝福するサーカスの場面「赤い馬」(1938-44年)が展覧されます。
日本初公開となる、ニューヨークメトロポリタン歌劇場のためのモーツァルト歌劇「魔笛」の舞台美術シリーズも展覧され、見どころの一つとなっています。

●「シャガール」展
  東京藝術大学大学美術館/7月3日~10月11日
  福岡市美術館 /10月23日~2011年1月10日
  http://marc-chagall.jp/