坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

畠山直哉「線をなぞる/山手通り」

2010年07月21日 | 展覧会
何の変哲もない都市の一風景。写真家・畠山直哉さんは2008年~2010年にかけて、東京を縦断する山手通りを大橋交差点から熊野交差点まで、南北南北10キロに渡って撮影を続けました。すべてが人工的な手が加わった都市風景。道路に引かれた線と面の色彩はあたかも自然の風景のように変化し連なっていきます。
人工と自然、線をなぞることによって一つの現代の断面図を見るような思いを起こされます。
・掲載作品 「線をなぞる/山手通り」畠山直哉 2008年
 タカ・イシイギャラリー(江東区)Tel03-5646-6050  7月17日~8月14日 
 

ネイチャー・センス展

2010年07月21日 | 展覧会
アスファルトにじんじんと夏の日差しが照りつけ、体感温度はぐんぐんと上昇。都市部ではヒートアイランド現象となりつつあります。
この展覧会では、水、大気、光、星といった非物質的な現象に焦点をあてた3アーティスト(吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆)の大がかりなインスタレーション(仮設作品)によって、われわれの自然と呼応する潜在的力(ネイチャー・センス)を喚起しようとするものです。古来から日本人の自然観は独特の美意識を築いてきました。そうしたセンシティヴな感覚はアートの世界を広げています。
・掲載作品「スノー」吉岡徳仁 2010年

●ネイチャー・センス展:吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆
 森美術館(六本木)/7月24日~11月7日