坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

浅草に布文化を伝える「アミューズ ミュージアム」

2010年07月23日 | 展覧会
いつも賑わいを見せる浅草寺の仲見世。五重の塔を右に見て、二天門のすぐ傍に、昨年11月にオープンしたアミューズミュージアム。千代紙の店や和小物が並ぶ通りから抜けてミュージアムに入ると、東北の暮らしの中に息づく文化の香りが。文化というよりもっと土俗的な素朴な工芸品が並ぶショップがあり、二階がミュージアムの入り口。
青森の津軽地方は昔「BORO 」と言われる野良着やはたらき着があり、貧しい生活の中で貴重であった 麻布の藍きものが代々受け継がれています。そういう私も取材で訪れてみて驚くばかり。厳しい風土に耐えるために中綿をつめて布切れを継ぎ足してつくった「津軽・南部さしこ着物」。その一針一針に手の温もりが感じられ、小さい布切れを大切にしいろんな思いが託されていたことがその風合いから感じられます。ボロが美しいはたらき着であった昔日、個々のデザインも工夫されて日々の仕事に精を出されたのでしょう。
そんな文化を伝えるアミューズミュージアム。心休まる空間です。

●アミューズ ミュージアム(浅草)/TEL03-5806-1181
「藍きもの~美しいはたらき着~展」開催中(手で触れて見れる美術館です)