自由広場

穿った独楽は廻る
遠心力は 今日も誰かを惹きこむ

じゃりン子チエ

2009-07-22 13:39:06 | なんとなくマンガ。
先日訪れた川崎大師にて、並んでいた露店の一つに「ホルモン焼」の看板を見つけ、なぜか「じゃりン子チエ」を思い出しました。以下、変換がめんどくさいのでじゃりんこチエとします。

少し前に、マンガ「じゃりんこチエ」の舞台である大阪の西成区が悲惨なことになっている、という記事をどこかで見かけました。小学校の周囲にさえブルーシート、子供の数は減り下町の最下という状況に陥っているというのです。




じゃりんこチエのジャスト世代は僕よりもだいぶ上なのでしょうが、僕は子供の頃このじゃりんこチエが滅法好きで、アニメ・マンガ共に漁りつくしたと記憶しています。なんと渋い幼少時代だったのでしょう。他の愛読書はゴルゴ31と黄昏流星群。床屋の待合で読んでました。



じゃりんこチエのいいところ、それはなんといっても全体に漂う「普通っぽい」雰囲気なんですよね。盛り上がりや見せ場といったものはほとんどなく、淡々と物語が進められていく。平和な日常といぶしな人情、どこにでもありそうな平凡こそが最高の面白ポイントであり幸せである、そう感じさせるのがじゃりんこチエです。そんなことを考えて当時読んでいたかどうかは疑わしいところ。

チエの境遇は正直いって悲壮です。父親はのんだくれのギャンブル好き、家業のホルモン焼屋をそっちのけで経営を娘のチエにたくす始末。チエは健気にホルモン焼屋を営み、常連客に熱燗を入れて客の世間話愚痴話に耳を傾けます。


たとえるならば関西版ちびまる子ちゃん。まる子が「あたしゃ不幸者だよ」とブーたれれば、チエは「ウチは日本一不幸な少女や」と溜息つく。


そんな環境で育つチエなのに、なぜか読んでいる側は、チエこそが本当の幸せを知っている少女のように思えてきます。


アニメ化もされているのですが、このアニメ版も原作の雰囲気を殺さずに非常に丁寧に作られていました。声優陣も本場大阪人を起用していて、中には吉本芸人さんもいてツッコミ&ボケの間の作りもしっかりとしていたから、関東視聴者の僕は「ああこれが大阪っていうものなのか」と見とれていました。こーいうアニメって、今じゃ絶対無理ですよね。手描きの成せる業でした。


登場人物の中心に猫がいるのも面白かったですね。屋根の上で寝転がっているのが定番で、猫同士ガヤガヤとしゃべくりちらしているシーンが印象的です。そういや小鉄の声って波平さんだったなあ。


余談ではありますが。

僕は読んでいた当時正真正銘のじゃりんこだったわけで、題名の意味も分からなければ、チエが経営しているホルモン焼のホルモンも何のことだかさっぱり分かりませんでした。お店の看板には大きく「ホルモン×」と書かれているのですが、常連客が一体全体何を食っているのか疑問でした。東京でいうレバフライ的な、地元人にしか知られていない庶民フードの一つかと思い込んでいたのです。中二くらいまで。
そういうわけで、なんとも不幸なことに、僕はしばらくの間「ホルモンメ」という食べ物が存在していると勘違いをしていました。焼き肉屋でホルモンを食べるその日まで、僕はホルモンメに出会うのを楽しみにしていました。

いまだに、なぜチエちゃんのお店の看板が「ホルモン×」と書かれているのかを知りませんでした。便利なネットが普及した今、調べてみると、あれは元々「ホルモンテツ」と父親テツの名前が冠されていたようなのですが、実際に店をやりくりしているのは娘のチエなので、チエ自ら×で塗りつぶしたというエピソードがあるそうな。

そんなことも知らないまま、十数年間ホルモンメの存在を信じていたウチは、日本一お馬鹿な永遠のじゃりんこです。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (S君)
2011-03-27 00:30:45
僕もじゃりン子チエを持っています。
今でも僕はアクションコミックス版のチエちゃんを本屋に行っては、持っていない巻を探し、見つけたら買っています。
コミックス第1巻の第2話(トビラ絵)で、チエちゃんが黒ペンキで「テッちゃん」の文字を×にしています。
ちなみに映画版ではOPでそのシーンが出てます。
返信する
おぉぉぉ~ ()
2011-03-27 02:22:51
コミックス一巻に証拠映像が収められているとは!
しかも映画版にも収録されているのですか! 映画は観たことなかったです。機会あれば観賞してみようと思います。

情報ありがとございました。じゃりン子チエが読みたくなったぜ…。
返信する

コメントを投稿