ロック探偵のMY GENERATION

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死んだ女の子とバーベンハイマー……と、ジャクソン・ブラウン

2023-08-06 21:54:45 | 時事
今日は8月6日。

広島原爆忌です。

毎年この日は広島の原爆に関する話を書いていますが……今年は、広島に注目する話がいくつかありました。

一つ大きいのはもちろん広島サミットですが、ジャクソン・ブラウンが来日公演で広島に来たなんていうこともありました。
今回会場となったのは、東京・大阪・名古屋という三大都市に加えて、広島。ジャクソン・ブラウンは長年核廃絶をうったえてきた人であり、最近では来日すると必ず広島に来るということで、今回も広島公演があったのです。

広島の原爆に関する音楽関係での話として、今年、元ちとせさんが、「死んだ女の子」をサブスクリプションで配信しています。

 
この曲に関しては、一昨年紹介しました。

原爆の災禍を歌った歌で、古くは高石ともやさんも歌い、また同じ詩を英訳した別の曲でバーズが歌ったりもしていました。

元ちとせさんは毎年夏にこの曲は期間限定で配信しており、2015年にアルバム『平和元年』に収録されてからもそれは続けていたということですが、今年はサブスクリプションでの配信もやっています。
長引くウクライナ戦争で核の危機が現実味を帯びつつあること……そして、この曲をプロデュースした坂本龍一さんが今年亡くなったということもあるでしょう。


原爆といえば、最近いわゆる「バーベンハイマー」というのが話題になりました。

核爆発と思われる炎を背景にして笑みを浮かべるバービーという絵は日本人の目からみればかなりグロテスクなものですが、それが「忘れられない夏になりそう」だと……
まあ、原爆に対する海外の認識はその程度のものということなんでしょうが、もっと深刻にとらえるべき点もあるのかもしれません。
一つは、これがアメリカの話だといういうこと。
原爆に対してさほど関心がないというだけでなく、原爆を肯定、正当化するというアメリカ特有の思考回路も今回の件の背景にあると思われます。
さらに、時間の経過による風化。
これは日本でも年々問題になってきていることですが、まして海外、とりわけアメリカでは……という話です。
まもなく原爆投下から80年にもなろうとしているなか、いかに風化を防ぐかということを真剣に考えなければならなくなっているということでしょう。

話をちょっと戻すと、ジャクソン・ブラウンがまさにそういうことをいっています。

広島公演を控えて、彼が中国新聞のインタビューに応じた音声が同紙のYoutubeチャンネルで公開されています。

【ヒロシマの声 NO NUKES NO WAR】シンガー・ソングライター ジャクソン・ブラウンさん

このなかで、ジャクソン・ブラウンは、「我々は未来に架ける橋を築かなければならない」といっています。
まさに、そういうことなのです。

ここで、せっかくなので、ジャクソン・ブラウンの歌を一曲。
The Crow on the Cradle です。

The Crow On The Cradle (Live 1982 FM Broadcast Remastered)

核の脅威をテーマにした歌で、今年の広島公演でも披露したそうです。
カバー曲で、他にもいろんな人に歌われており、そのなかには今年亡くなったデヴィッド・クロスビーも。
クロスビーはジャクソン・ブラウンと親交がありましたが、彼の在籍していたバーズは先述したように「死んだ女の子」の英語バージョンをやっていて、そこで元ちとせさんの話ともつながってくるわけです。
元ちとせさんの「死んだ女の子」をプロデュースした坂本龍一、英語バージョンをやったデヴィッド・クロスビー……この二人は今年世を去りました。
もちろん、生身の人間、いつか死ぬのは避けられぬさだめですが、その魂を継承していけるか、‟未来への橋”を築くことができるのか……そんなことを考えさせられる原爆忌でした。




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