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ゴキブリの王国 ~国土交通省基幹統計‟書き換え”問題

2021-12-17 21:20:51 | 時事
基幹統計の‟書き換え”という問題が発覚しました。

国土交通省が、建設業の受注実態を表す「建設工事受注動態統計」で、業者が提出する調査票を書き換えていたのです。国会でもとりあげられ、国はこの問題を認めています。報道によれば、書き換えは遅くとも2010年代前半から行われていたということです。


思い返せば、ここ数年、文書やデータの改ざんという問題はいくつかありました。

たとえば、2019年に発覚した、厚労省の不適切な統計というのがあります。
このとき、「漫然と踏襲」という言葉がクローズアップされましたが、この言葉のもつ官僚主義的な薄気味悪さに背筋が凍るような思いがしたものです。

また、文書改ざんという問題でいえば、忘れてならないのは森友問題です。

その問題に関して、私はこのブログで次のように書きました。


《巷では、文書の“書き換え”なんて大した問題じゃないという人もいるようですが……繰り返しいってきたとおり、私にはそうは思えません。

この問題がたいしたことじゃないという人は、2つのことを見落としていると思います。

一つは、もしこの問題がうやむやにされたら、将来もっと頻繁に似たようなことが行われ、“書き換え”の範囲も拡大していくというおそれです。
「これやって大丈夫だったんだから、これも大丈夫だろう」といって、どんどん“書き換え”の領域が拡大していく……極端なことをいえば、経済に関する統計や、選挙の結果さえ信用できなくなるかもしれないのです。

二つ目は、将来の話ではなく、現にいま同じようなことがあちこちで起きているのではないかということ。
ハインリヒの法則にしたがえば、一件の改ざんの背後には、発覚していない30件ぐらいの改ざんがあり、さらにその背後には300件ぐらいのきわどいケースがあるかもしれません。
もっと卑近な例で考えると、「ゴキブリを一匹見かけたら、その家には30匹はゴキブリがいると思っていい」というやつですね。

最近、加計学園問題のほうでもいろいろな疑惑が取りざたされていますが、じつは加計に関しても、少なくなとも一件、文書の“書き換え”が明らかになった事例があります。

問題になったのは、2015年の6月に開催された政府の「国家戦略特区ワーキンググループ」という会合です。
この会合には加計側の幹部も同席していたのですが、公表された議事要旨にはその記載がありませんでした。また、公開するかどうかをめぐるやりとりで、実際の発言と議事要旨の内容に食い違いがあることもあきらかになっています。
この件も、野党は「改ざんではないか」と追及したのですが、「通常の扱いである」とか「内容を調整した」といった言い方でうやむやにされてしまいました。

冒頭の一部が“調整”されたぐらいは大したことじゃないのかもしれません。
しかし、それが一匹のゴキブリだとしたらどうでしょう?

今回、森友に関する文書改ざんもあきらかになったわけですが……ほかにも、自衛隊の日報問題や、厚生労働省の不適切なデータ問題もありました。もしかしたらその背後に何十倍もの、改ざん、隠蔽(そういう言い方が悪いのなら、“書き換え”や“内容の調整”、“データがあることをうっかり忘れていた例”と言い換えてもいいでしょう)が隠れているのではないか……そう考えるのは、決して飛躍した想像ではないでしょう。天井裏はゴキブリたちの王国になっているかもしれないのです。》


今回の件は、まさに“ゴキブリの王国”がその片鱗を垣間見せたということなんじゃないでしょうか。

この記事で書いたように、やはりゴキブリは一匹だけではなかったと。となれば、ほかにももっとウヨウヨいるのでは……と考えてしまいます。

森友問題では、つい先日、これに関する訴訟で「認諾」という驚きの動きがありました。

政府側が、原告の訴えをそのまま認めて賠償金を払うことで裁判を終結させようというのです。そなんにも真相を明らかにされたくないのか。そんなにも真実が怖いのか……という話です。

真実を隠さなければやっていけないような国家にどんな未来があるでしょうか。
隠蔽や改ざんにまみれてしまった今の日本の姿に、失望を禁じ得ません。


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