ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

ラッシュ『西暦2112年』(Rush, 2112)

2020-01-11 20:09:03 | 音楽批評


RUSHのドラマー、ニール・パートが死去したというニュースがありました。

67歳。

Too young to die 死ぬには早すぎる……といったところですが、ドラマーとしてはすでに引退していたということで、燃焼しきったうえでのことなのかもしれません。


ラッシュといえば、プログレ要素を取り入れたハードロックバンドとして有名です。

メンバー全員超絶テクの持ち主で、独特の世界観にも定評があり、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンやドリーム・シアターなどにも影響を与えたといわれています。

ベース/ボーカルのゲディ・リーは、文句なしに天才と呼びうる人物です。

超ハイトーンボイスを操るだけでなくベーシストとしても高く評価されており、さらにはキーボードも演奏。以前ネット上で行われていた「偉大なベーシストランキング」みたいな企画で、ジャコ・パストリアスやビリー・シーン、フリーなど並みいる猛者ベーシストをおさえて一位に輝いたのがゲディ・リーでした。

ニール・パートもまた、ドラムで同様のランキングをやれば上位常連のようです。
そして、ゲディと同じく、彼もまたドラミングが卓越しているだけではありません。ラッシュにおける作詞担当でもあり、あの世界観を作り出しているのです。なかでも私が特に気に入っているのは 2112です。

 

近未来ディストピアをモチーフとした壮大な組曲。
公式サイトにMVがあるので、それを貼り付けておきましょう。曲の内容と一体になったアニメです。

2112: Overture / The Temples Of Syrinx / Discovery / Presentation / Oracle: The Dream /...

体制に飼いならされた人民たちの、一見満ち足りた世界。
映画『リベリオン』みたいな感じでしょうか。コンピューターによって管理されたユートピア……しかし、ユートピアはディストピアと表裏一体です。そこには、自由は存在しません。
そんな世界で、あるものが発見され……
非常に示唆的です。すべてが管理された世界に幸福はあるのか。そして、その管理された世界を打破するものはなにか――

そんなふうに問いかけてくるこの2112は、プログレと呼ばれるジャンルの、一つの到達点ではないでしょうか。

その一端を担ったニール・パートの業績に敬意を表し、冥福を祈りたいと思います。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。