先日このブログで、東京事変のツアー中止に関する記事を書きました。
そこでは新型肺炎のことがメインでしたが……今回は、音楽記事として東京事変について書きます。
東京事変。
いうまでもなく、椎名林檎さんのバンドです。
哲学的な歌詞。
独特な歌唱法だけでなく、ファッションやステージパフォーマンスも含めた唯一無二の個性……そして、今回のライブ決行にもみられた、物議をかもす言動。
それらはたぶんに唯美主義的な傾向を帯びた危険な臭いがしますが、その危険なにおいが一つの魅力ともなっています。私なんかは、これは危ういなと思うこともよくあるんですが……それでも離れることはできない何かが、椎名林檎というアーティストにはあります。
その林檎さんが、ベースの亀田誠治さんを筆頭とした超絶ミュージシャンたちを集めて作ったのが、東京事変。
その音楽は、あれこれと理屈を論じたり留保をつけたりすることを拒絶するような、というよりも、そんなさかしらを吹っ飛ばしてしまう圧倒的なリアリティを持っています。
「閃光少女」は、亀田さんが作曲、林檎さんの作詞になる歌です。
余談ながら、私がいまやってるバンドでやってたりするんですが……おそらく、東京事変の代表曲の一つでしょう。
そのPVです。
東京事変 - 閃光少女
そのタイトルは、閃光のように今の一瞬を燃焼しようということでしょう。
以下、歌詞を一部抜粋してみます。
今日現在(いま)が確かなら万事快調よ
明日には全く憶えて居なくたっていいの
今日現在(いま)がどんな昨日よりも好調よ
明日まで電池を残す考えてなんてないの
焼き付いてよ、一瞬の光で
またとないいのちを
使い切っていくから
私は今しか知らない
貴方の今を閃きたい
これが最期だって光って居たい
こういうモチーフは、椎名林檎さんの歌詞にたびたび出てきます。
明日のことは考えない。とにかくいまという瞬間を生きる――その考え方は、今回のライブ決行にも通ずるところがあるかもしれません。
ただ、今般のコロナ事情においては、さすがにちょっと厳しいところがあったようです。
海外では、再結成レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンがツアーを延期するなど、大物アーティストでも公演の延期・中止を余儀なくされています。
今回の「イベント自粛」は東日本大震災のときとちがって、単に「不謹慎」ということではなく、感染症という科学的な問題でもあって……ちょっと押し切るのは難しかったというところでしょう。
ただ、それであれだけ叩かれるというのは、やっぱりちょっと異常ですね。
「ロックは炭鉱のカナリヤだ」と私はいってきましたが……その観点からすると、今回の一件は、新型肺炎によって日本社会が冷静さを失ってしまって酸欠気味になった状況を映し出しているんじゃないでしょうか。