映画『新聞記者』が、日本アカデミー賞で作品賞などを受賞しました。
この映画については、一度記事を書きましたが……政府による世論の操作や取材への干渉を描いた、近年珍しく硬派な作品でした。
くしくも、作中で描かれている内容の一部は、いま起こっている問題にジャンル的に重なっていて、予言のようでもあります。(詳細はネタバレなにるので書きません。ご覧になってない方は、ぜひ映画をみてください)
そこで描かれている報道環境がどの程度まで現実のものかというのは議論があるところでしょうが……どうやら、21世紀に入るころぐらいから、政治家によるメディアコントロールが世界的に発達してきているようです。アメリカなんかはかなりその“先進国”であるらしく、取材対象がどこからかかけられた圧力によって急に前言を撤回して沈黙してしまったりすることがときにあり、ジャーナリストたちから恐れられているそうです。
そういう目線でみると、いまの日本においてメディアに対する巧妙な干渉が行われていたとしても、残念ながら驚くにはあたらないでしょう。
たとえば、最近、某ニュース番組に対して厚生労働省の公式ツイッターアカウントが反論のツイートをしたことも、その一環かもしれません。
これはもうなりふりかまわず表立ってやってしまってるという点で、隠微な干渉とは違うかもしれませんが……
まあ、その反論ツイート自体も事実に基づかないものだったということで批判されたりしていて、政府の側も相当焦っている様子がうかがわれます。
当然ながら、情報の統制やかく乱は、ウィルス相手には通用しません。
公的なところから出る情報が正確でない、信用できないということは、むしろ感染症対策にマイナスとなるでしょう。
メディアコントロールが発達してしまった世界が、そして日本が、果たしてウィルス相手に有効な策をとれるのか――それが今、試されているようです。