むらぎものロココ

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ゲオルク・F・ヘンデル

2005-08-25 12:39:00 | 音楽史
handelHANDEL
WATER MUSIC

John Eliot Gardiner
ENGLSH BAROQUE SOLOISTS

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759)はザクセンのハレで生まれた。ハレ大聖堂のオルガニストであったフリードリヒ・ヴィルヘルム・ツァハウから対位法やオルガン、チェンバロなど学んだ。ハレ大学に1年通ったあと、1703年にハンブルク・オペラでヴァイオリン奏者となり、このときにテレマンやマッテゾンと知り合った。1704年、19歳のときにはじめてオペラを作曲し(アルミーラ)、この作品は翌年1705年に上演された。1706年からはイタリアに行き、コレッリやスカルラッティ親子と交流、このときアレッサンドロ・スカルラッティのオペラスタイルやコレッリの管弦楽法を吸収した。
ヘンデルは1710年にハノーヴァーの宮廷楽長になったが、この頃からロンドンでも活動を始め、1726年にはイギリスに帰化した。当時のイギリスはパーセルの死後、イタリア・オペラ熱が高まっていて、ナポリ楽派の流れを汲む、劇的で色彩的なヘンデルのオペラは歓迎された。そこで彼はロイヤル音楽アカデミーというオペラ団体を設立し、30曲以上のオペラを作るが、1728年にはジョン・ゲイの「乞食オペラ」が上演されるなど、イタリア・オペラのパロディが流行するようになり、イギリスではイタリア・オペラが飽きられてしまい、この団体は次第に財政難に陥った。こうした状況下でヘンデルはオペラから舞台装置や衣装などに費用がかからないオラトリオに創作の比重を移すことになった。

「水上の音楽」はジョージ1世の希望でキルマンゼック男爵が開催したテムズ河での舟遊びの際に上演されたと言われているが、ヘ長調の組曲は河を遡るときに演奏され、ニ長調の組曲は河を下るときに演奏され、ト長調の組曲は室内楽的な編成であることから、晩餐会で演奏されたとされている。また、3つの組曲の成立年代については様々な議論があり、ヘ長調の組曲は1715年には成立しており、1717年の舟遊びの際に必要に迫られて旧作を使いまわしたのではないかという説があったり、ヘ長調の組曲は1715年、ニ長調の組曲は1717年、ト長調の組曲はニ長調の組曲から派生し、1736年の舟遊びの際に演奏されたのではないかといった説もある。