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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

高齢者福祉三原則

2005-03-09 21:55:23 | ノーマリゼーション
高齢者福祉三原則という言葉を聞いたことがあるだろうか。福祉の専門学校や大学で勉強したことがある人なら、一度は耳にしたことがあるかもしれない。

「継続性の維持」 「残存能力の活性化」 「自己決定」

どれも介護の分野では、大切なキーワードになっている。この言葉は1982年デンマークで生まれたものである。きっかけは、1970年代プライエム(特別養護老人ホームにあたる)が多く建設されたデンマークにおいて、「入所しているお年寄りがひどい目にあっている」という投書が新聞に載せられたことであった。それを目にした社会大臣(日本の厚生労働大臣)が、すぐにマスコミ関係者、医者、議員など15人前後のメンバーを集め、高齢者政策委員会を立ち上げたのである。
また、中央政府の仕事としてだけ取り組むのではなく、「住民の問題は生活の場で」という視点から、各市で高齢者によるワーキンググループを構成し、当事者が話し合いを行うようにした。その数はおよそ100。そこで出された意見を委員会でまとめたものが高齢者福祉三原則なのである。

ワーキンググループにより明らかにされたのは以下の3点であった。
①高齢者はケアされることを求めれているのではなく、むしろ社会的な交流や役割を持ち続けたいと望んでいる。
②約10万人の高齢者が、誰かの援助を受けなければ外出できない状況にある。
③住居に関する問題こそ、高齢者政策における最も重要で深刻な問題である。

この後、デンマークでは施設から住宅へと政策転換していくのである。民主主義が実践されているデンマークらしい展開であるといえる。高齢者問題(この言葉は適切ではないが)を、他人に任せることなく、また一部のケアが必要な人のみを対象とするでもなく、取り組んでる。そうした結果、全体像が浮き彫りになり、社会全体の問題として他人ごとにならずにいる。日本はまったく反対だが。
しかし、ケアの現場に携わる私たちには、少なくとも当事者つまり利用者本人の意思を確認することはできる。介護する側の思い込み、予想、おせっかいでケアをしていないか、もう一度自分のケアを振り返ってみたい。

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