What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

在宅療養支援診療所がネット検索可能に

2007-05-12 22:36:54 | シリーズ 医療制度改革
24時間体制で往診可能な在宅療養支援診療所が、独立行政法人福祉医療機構のインターネットサイト『WAM NET(ワムネット)』で検索できるようになった。
全国にある診療所は平成19年5月12日現在で、9,504ヶ所。所在地からも検索が可能になっている。
在宅介護支援診療所は、制度化されてからも所在地などのリストが一般に公開されていないため、患者は退院時などに病院に聞くしかなく、「情報の壁がある」といった声が出ていた。

来年度からの医療計画は都道府県が作成することになり、その地域特性に合わせた形で医療施設の整備が行われることになる。
また、75歳以上の高齢者(後期高齢者)向けに、公的な「かかりつけ医」制度を2008年をめどに創設するように検討されている。08年からスタートする後期高齢者を対象にした新しい保険制度は、介護保険をベースにしており、外来の診療報酬も月額の定額制にすることが決まっている。
今後ますます増加する医療費の抑制のための制度改正であるのは間違いないが、ながれとしては、より在宅での医療を推進していく形になってくる。

かかりつけ医制度がスタートすると、他の医療機関もさることながら、訪問看護や介護サービス事業者、ケアマネジャー等との連携をより一層強化する必要が出てくる。
これまで医療という聖域に胡坐をかいていた医師には、価値観の変換が求められてくる。また、介護業界にとってみれば新たなラインから利用者が来ることになる。連携をとっていくためには、医師との共通言語をある程度持つ必要があるため、のんびりはしていられなそうだ。

憲法記念日に思うこと

2007-05-03 21:23:20 | ノーマリゼーション
憲法が制定されて60年が経過した。
安倍首相になってから、憲法改正論議が加速して、国民投票法案も衆議院で可決されてしまった。

私は2004年10月から『What's ノーマリゼーション(ノーマリゼーションとは何か?』を求めて、主に福祉や医療の動きや、それらについての私見を書いてきた。
いま、この憲法改正論議や集団的自衛権の範囲拡大の動きを見ていると、ノーマリゼーションを確立するためには、その根本にある『人権』や『平和』を見過ごすことはできないということを強く感じてしまう。

私は戦争を体験したこともなければ、1960年代の安保闘争も経験したことがない。日本国憲法は生まれたときから、そこに存在し、意識することがないまま生活をすることができた。
自衛隊も矛盾は感じながらも、憲法解釈を変えることで対応してきた経緯を見てきていることもあり、それがいま、憲法を改正すると言われても、あまり実感がないのが正直なところで、20代、30代の多くはそう感じているはずである。

ただ、憲法9条を中心に改正しようという流れは漠然と不安を感じるのである。振り返れば、日本が戦争をしていないのは、第二次世界大戦後からの60年強で、それ以前は戦争を繰り返してきた経緯がある。
世論調査で約8割の人が、平和に貢献してきたと感じる憲法9条を改正するということは、今後の日本が戦争を推進していく国家になっていくことが予想されてもおかしくはない。この60年あまりの平和は決して自然に発生したものではなく、人々が願い作り上げてきたものであることを、もう一度考える時期にきたのかもしれない。

憲法改正論者の中には、憲法9条だけでなく、環境権などさまざまな権利を盛り込んでいく必要があると唱えている人もいる。しかし、13条の幸福追求権がすべての権利を根拠になることは、憲法研究者の間でも言われており、他の権利を憲法に記載する緊急性は今はないと言える。

繰り返しになるが、『人権』と『平和』が保障されずしてノーマリゼーションはありえない。今の世の中は、そのどちらの実感も希薄で、さらには放棄しようとしているとしか思えない。
憲法が制定されてから60年という節目に、もう一度私たちは、今の平和な世の中がどのように作られてきたのか、思いをめぐらせ、何もせずにこの平和が続くことはありえないことを肝に銘じる必要があるのではないだろうか。