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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

高齢者の検挙率が高まる背景には

2007-01-12 23:29:28 | ノーマリゼーション
65歳以上の高齢者が加害者になる犯罪が増加しているという。ある県では、謙虚された65歳以上の高齢者が10年前の6倍、全検挙数に占める割合が2.8%から8%まで増加しているという。

内容はさまざまで、夫婦間の殺人事件もあれば、老人ホーム内で入居者の男性が別の入居者をナイフで刺してしまった事件、介護疲れによる介護殺人・・・。
それらを伝える記事は、「長く勤めた職場などに代わる『自分の居場所』が見いだせず、閉塞感から突発的に罪を犯す人が多いのでは」と伝えている。
果たしてそうだろうか。

冒頭で示した数字では、数としては6倍なのに対して、割合(%)としては、2.5倍程度の増加でしかない。
この10年間で高齢者数もかなり増加しているし、全人口の20%程度が65歳以上であることを考えると、高齢者の検挙数が増えるのはおかしいことでもなんでもない。
年齢別の検挙率データがないので何とも言えないが、『自分の居場所』という問題で片付けてしまっては、物事が見えにくくなるおそれがある。

高齢者の犯罪件数が増えたことを問題にするのではなく、その理由を問題にすべきだろう。例えば、老人ホーム内の死傷事件が目立つのは、今までそのような事件があまりなかったことが原因の一つである。
なぜあまりなかったのかというと、老人ホームの数が少なかったからである。近年、元気なうちから入居する有料老人ホームが増えたことで、身体的にも精神的にも元気な高齢者が一つ屋根の下で生活する環境が生まれている。
いくら個室になっているとはいえ、一つずつが家として独立しているわけではないので、食堂などで顔を合わせる機会も多いだろう。折り合いが悪くなったり、ぶつかり合うのも不自然なことではない。

介護疲れが原因の介護殺人は、その根本的な理由を取り除くことが先決であり、『介護殺人』として社会問題化していかなければならない問題である。
認知症の理解や支援する体制、正しい介護の仕方や適切な情報提供など課題は山積みである。

また、高齢者が交通事故の加害者になるケースも増えているだろう。車社会の中で、運転する高齢者も増えており、高齢者が安全に運転できる環境づくりも待ったなしの状態である。

一言で高齢者の事件と言っても、さまざまなケース・原因があり、並べて論ずることはできない。一つずつ解決していくのが、早道になるだろう。

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