コムスンから始まる介護議論

コムスンの一連の不祥事、更新凍結がマスコミに取り上げられてから、介護サービスのあり方がクローズアップされ、今なお議論されている。
これまでの議論をみていると、その論拠は大きく二通りに分けられるようだ。介護保険を経営の側面から捉え、経営理念のあり方を論じるもの。そして、介護保険のあり方事態に課題があり、その課題を浮き彫りにしようというもの。
前者のほうでは、利用者(高齢者)を数字としか見ない経営者の姿と、そこで翻弄される利用者を対比させることによって、ノルマ達成を課す営業的な仕組みを批判している。
後者では、それらの原因は介護報酬を切り下げられ、安い報酬で働かざるを得ない現在の介護保険のあり方にあるとし、今後介護報酬の適正化を求める制度論を展開している。

どちらの側面もあり、問題はそれらが絡み合ったところに存在すると私は思う。介護を保険という仕組みにし、サービスを選択するという市場原理に載せてしまった以上、経営感覚抜きでは、サービス事業所の存続は難しい。福祉は救貧から始まった背景があり、経営よりも理念からスタートしている。しかし、保険というのは収入と給付のバランスからなっており、破綻することは許されない。
そして、介護市場に制限なく事業所を参入させたことで質の確保が難しくなり、その締め付けを行うこと、また保険を破綻させないようにと介護報酬の引き締めを行ったことが、質の低下の悪循環を生み出していると思われる。

発端はどうであれ、介護の問題が前面に出て議論されることは歓迎したい。介護保険制度成立前は、大きな社会問題になった介護も、それ以降は国民的な議論がないまま今に至っている。
コムスンから始まった議論も、介護を自分のこととして考えるきっかけになり、介護保険の制度のあり方に関する議論まで深まることを期待したい。

今月末には参議院選挙が開催される。「消えた年金問題」に象徴されるように、社会保障が選挙の争点になると言われている。しかし、年金だけが社会保障ではない。医療、福祉、年金が揃っての社会保障であり、全てのバランスがないと安心した老後を過ごすことは難しくなる。
福祉(介護)が不安定な状況にある今、もう少し広い視点から社会保障を考えてみたい。
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