高齢者グループホームに入居する対象者について、厚労省はこれまで著しい徘徊や混乱症状がある人が除かれていた規定を改め、認知症で日常生活に支障があれば誰でも利用できることにした。来年4月から緩和した運営基準を改正する。(asahi.com)
この対応は遅すぎるのか、早すぎるのか。
認知症高齢者を自宅で介護する家族にとっては、遅すぎた対応になるだろう。これまでも、「認知症介護の切り札」とされてきたグループホームにおいて重度認知症を対象外にしてきた結果、家族の負担は大きなものとなっていただろう。また、重度認知症高齢者自身にしてみても、家庭的な環境が整っているグループホームではなく、生活感のない特養や精神病院などその他の施設に入所せざるをえない状況であった。
そもそも、「徘徊がひどくなったから退所してください」という言葉がまかり通っていたのが信じられない。藁にもすがる思いでいた家族にとっては、どのような言葉よりも残酷であったはずである。現に、対応が難しいとされる前頭側頭型痴呆(ピック病)の高齢者を受け入れ、一生懸命ケアを行っているグループホームもある。また、激しい徘徊があっても、適切なケアをすることによって、次第に落ち着いてきたという例も多くあるだろう。
しかし、5年間で約6,000以上と急激に増えすぎたグループホームの中には、職員の質や量が確保されていなかったり、そもそもケアの理念すらないグループホームも多くなってしまっているのも現状だ。認知症に一番の薬は、ケアにあたる人の適切な対応だという。結局は、それができないグループホームに入居した高齢者の症状が悪化してきたと言うこともできる。このような状況で、あと1年後に控えた受け入れ拡大はうまくいくのだろうか。
まだ記憶にも新しいが、石川県のグループホームで夜勤中の職員が入居者を殺害してしまうという痛ましい事件も起きている。供述などから労働体制の不備もしてきされており、グループホームに働く職員にとってみれば、人事では済まされない状況でもある。
その中で、国は管理者、実務者に分けた研修の充実化をかかげている。しかし、グループホームは今後も増え続けていく予定だ。1日数ヶ所単位で増えていく中、研修の早期着手が望まれる。そして、研修だけでなく、労働条件の見直しも含めて検討していく必要があるだろう。グループホームは小規模という利点がある反面、小規模ゆえに職員の質に大きく左右されてしまうという指摘もある。認知症高齢者に正面から向き合っていくということは、とても大変であり、専門的知識も必要とすることを私たちも再度認識する必要があるだろう。
今後、介護保険の改正に伴い、グループホームも地域密着型サービスとして、地域に開かれた機能を期待されている。グループホームという単一の機能だけでなく、デイサービスやショートステイなど多機能化も求められていくだろう。すでに、グループホームに学童保育が併設されているところや、高齢者に限らず障害者も対象にしているところなど、様々な取り組みがされている。これから、大きな可能性があるグループホームだけに、今の段階での職員の質の向上や労働条件の見直しは重要な課題である。
この対応は遅すぎるのか、早すぎるのか。
認知症高齢者を自宅で介護する家族にとっては、遅すぎた対応になるだろう。これまでも、「認知症介護の切り札」とされてきたグループホームにおいて重度認知症を対象外にしてきた結果、家族の負担は大きなものとなっていただろう。また、重度認知症高齢者自身にしてみても、家庭的な環境が整っているグループホームではなく、生活感のない特養や精神病院などその他の施設に入所せざるをえない状況であった。
そもそも、「徘徊がひどくなったから退所してください」という言葉がまかり通っていたのが信じられない。藁にもすがる思いでいた家族にとっては、どのような言葉よりも残酷であったはずである。現に、対応が難しいとされる前頭側頭型痴呆(ピック病)の高齢者を受け入れ、一生懸命ケアを行っているグループホームもある。また、激しい徘徊があっても、適切なケアをすることによって、次第に落ち着いてきたという例も多くあるだろう。
しかし、5年間で約6,000以上と急激に増えすぎたグループホームの中には、職員の質や量が確保されていなかったり、そもそもケアの理念すらないグループホームも多くなってしまっているのも現状だ。認知症に一番の薬は、ケアにあたる人の適切な対応だという。結局は、それができないグループホームに入居した高齢者の症状が悪化してきたと言うこともできる。このような状況で、あと1年後に控えた受け入れ拡大はうまくいくのだろうか。
まだ記憶にも新しいが、石川県のグループホームで夜勤中の職員が入居者を殺害してしまうという痛ましい事件も起きている。供述などから労働体制の不備もしてきされており、グループホームに働く職員にとってみれば、人事では済まされない状況でもある。
その中で、国は管理者、実務者に分けた研修の充実化をかかげている。しかし、グループホームは今後も増え続けていく予定だ。1日数ヶ所単位で増えていく中、研修の早期着手が望まれる。そして、研修だけでなく、労働条件の見直しも含めて検討していく必要があるだろう。グループホームは小規模という利点がある反面、小規模ゆえに職員の質に大きく左右されてしまうという指摘もある。認知症高齢者に正面から向き合っていくということは、とても大変であり、専門的知識も必要とすることを私たちも再度認識する必要があるだろう。
今後、介護保険の改正に伴い、グループホームも地域密着型サービスとして、地域に開かれた機能を期待されている。グループホームという単一の機能だけでなく、デイサービスやショートステイなど多機能化も求められていくだろう。すでに、グループホームに学童保育が併設されているところや、高齢者に限らず障害者も対象にしているところなど、様々な取り組みがされている。これから、大きな可能性があるグループホームだけに、今の段階での職員の質の向上や労働条件の見直しは重要な課題である。