むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

既存原発3箇所に加え、さらに原発推進している台湾で、市民の間に高まる原発への懸念

2011-03-17 18:20:10 | 台湾社会運動
今回の原発事故を受けて、台湾では、台湾電力会社と、監督官庁の「行政院原子能委員会」が「原発は安全」などと強弁、原発推進を強行しようとしている。
台湾には北部に2箇所、南部に1箇所、30年前に建設された原発があり、現在北部海岸に第4原発を建設中で、来年には運転開始予定だ。
第4原発は脱原発政策を掲げる民進党政権時代にはいったん建設がストップ、あるいは故意に遅らせていたが、国民党政権に戻ってから急ピッチで進められている。

既存の3箇所の原発も、福島原発より若干新しいだけで、かなり古い時代に建設され、とっくに耐用年数が切れている。
台湾も地震多発地帯であり、今回の福島の事故で、台湾市民の間には、原発への懸念が高まっているが、監督官庁と電力会社は、東電や経産省とまったく同様か、それ以上に危機感がないお粗末さで、これがさらに台湾人の懸念を強めている。

行政院原子能委員会副主委(原子力庁次官)黄慶東は台湾の立法院で民進党議員の質問に答えて、「台湾の原発はまるで菩薩が蓮の上にあるように、高台の固い岩盤の上にあるので、地震や津波は心配要らない」と断言した。
これを受けて、呉敦義・行政院長は15日「黄発言は言いすぎ」だとはいったものの、台湾の原発は福島のものよりも1世代新しく、さらに台湾では津波の記録は少ないことをあげて「より安全だ」と強調した。
(台核電廠如菩薩坐在蓮花台? 呉敦義:比福島進歩、安全(2011/03/15 10:12) http://www.nownews.com/2011/03/15/301-2696650.htm

また別の副主委謝得志は17日、国民党議員から「なぜ台湾では退避範囲は5kmだけなのか」追及された際、机を叩いて「専門家が議論して決まったことで、それで問題がない」と強調した。
(原能會副主委 立院拍桌捍衛核電 http://udn.com/NEWS/WORLD/WORS5/6217093.shtml) 

これには多くの市民は「台湾よりはるかに進んだ日本ですら想定外の事故だったのに、台湾ごときが断定するなんて」と呆れ顔だ。

実際、東京電力だって、地震前と地震発生直後には「福島原発は絶対に問題がない」といっていたし、宮城はともかく福島も過去には津波の経験は少なかった。
というか、中越だって、阪神だって、過去に見つかっていない活断層が動いたんだし、今回は事前の専門家の予想を上回る連続地震が規模を大きくしたものだった。
したがって、「菩薩の蓮の上」だの、「これまで記録がない」だのは、何の意味もない。
そもそも「菩薩」をあげているが、神ならぬ人間のやることを菩薩になぞらえること自体が、人智を超える存在(神や自然)に対する傲慢と冒涜である。

台湾という島そのものが、プレートがぶつかって盛り上がってできたもので、二つのプレートにはさまれている。ということは、東北級の地震は起こる可能性はあるわけで、台湾政府や電力の危機感のなさと慢心・傲慢は、逆に危険である。

実際、地震がほとんどない北欧・西欧諸国でも、今回の事態を重くみて、早速反原発運動が活発化し、いくつかの政府も原発推進政策の棚上げに動き始めている。
アジアでも、タイ、フィリピン、インドネシアなども比較的民主的な国は、原発に慎重になっている。

原発に対する反省が見られないのは、台湾、韓国を除けば、中国、ベトナム、UAEなど、いずれも独裁体制ばかりだ。台湾と韓国の政府の原発に対する盲信ぶりは、はっきりいって独裁体制並で遅れている。

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