むじな@金沢よろず批評ブログ

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台北県、ハンセン病療養施設「楽生院」保存運動の学生たちを強制排除し,主要部分を破壊へ

2008-12-04 03:10:50 | 台湾社会運動
ハンセン病患者療養施設「楽生療養院」を破壊してMRT地下鉄車両基地建設を急ぐ台北県政府は3日朝、官憲を動員して楽生院保存を訴えて座り込んでいた学生や患者を強制排除する暴挙に出た。
保存運動の学生組織・青年樂生聯盟の公式サイト;http://www.wretch.cc/blog/happylosheng
左派社会運動の総合サイト・苦勞網の報道:http://www.coolloud.org.tw/node/31139
楽生院は日本統治時代の1930年、当時伝染病だという偏見の下でハンセン病患者を強制隔離する施設として設置、戦後も国民党政権が隔離政策を継承したが、民主化以降は療養施設となっていた。
しかし台北県政府が同施設を破壊して車両基地にする計画を立てたことから、これに反対する保存運動が起こった。
保存の目的は、日本統治時代以来の歴史的な建築物としての価値のほか、ハンセン病への偏見と戦ってきた歴史的記憶を保存する意味が込められている。

そもそも車両基地を楽生院がある場所に作らなければならない理由などなく、設置計画は明らかにハンセン病に対する偏見と戦いの歴史的記憶を抹消するための土建屋と政治家が仕組んだ暴挙である。
現在の県政は国民党極右派にあたる周錫瑋で、こいつが破壊するのはある意味で予想どおりだが、悲しいことに、もともと車両基地を作る計画を立てたのは、民進党県政のときだというところだ。また民進党寄りのメディアの中でも、前の蘇貞昌県長寄りの自由時報(台北県の土建屋がバック)は徹底して楽生院保存運動を敵視するという醜態をさらしている。
(もっとも民進党政治家でも、謝長廷だけは問題が起こった当初から、楽生院保存運動を支援している)。

保存運動を展開してきたのは、左派で、統一派も混じっているが、主力は台湾独立派左派である。保存運動の学生組織・青年楽生行動聯盟は、野いちご運動の主力とメンバーは重なっている。何よりも、この問題ほど、日本および中華民国と続いた外来殖民主義勢力による台湾の人権蹂躙の歴史を浮き彫りにし、本来の台湾主体性、台湾本土の価値を考えさせるものはない。

いずれにせよ、楽生院の撤去計画を立てた蘇貞昌、現在撤去を現実に進めようとしている周錫瑋は、台湾の価値への罪人、台湾進歩勢力への敵対者として、永遠に汚名が語り継がれることになろう。

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