むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

国際人権デーに、米国人人権闘士、リン・マイルズの書簡集出版記念会

2008-12-11 00:44:26 | 台湾社会運動
台湾の民主化と人権のために長年闘ってきた台湾在住米国人でアナーキスト、リン・マイルズ(Lynn Miles、梅心怡)氏のかつての書簡を集めた本の出版記念会(パネルディスカッション)が、国際人権デー(48年のこの日国連が世界人権宣言を発表)に、台北市の台湾大学医学院国際会議中心401号室で開かれた。
司会は東大留学の歴史学者の張炎憲氏、パネラーは黄昭堂氏ら台湾独立建国連盟関係者と、わりと日本とゆかりのある人で占められた。そういえば、最初にマイルズが指摘したように、日本でも70-80年代に台湾政治犯救出のために活動した人が少なからずいて、しかも川久保氏ら新社会党にも参加した生粋の左翼が多く、日本の独立連盟も当時はそうした左翼人権派と行動を共にしていたのだ。
今からは想像できないかもしれないが、いまや独立派を支援している右翼は、当時は蒋介石父子独裁政権べったりで、左翼の主流も中共マンセーで、そのなかで、まともに人権を考えていた人は左翼でも一部しかいなかったが、それでも左翼陣営にいたのである。
進行は主に北京語で行われていたが、黄昭堂氏は使い慣れない北京語で話すことがもどかしいのか、発言して少したつと「マイルズ氏は台湾語がわからないから北京語を使うんだが、台湾の人権運動を長年やっていて、台湾語がわからんとは何事か」と苦言を呈していた。これは思わず拍手しそうになった。

そうでなくても、リンは、とてつもなくズレた人だ。
今ならいざ知らず、70年代の民主化勢力や政治犯といえば、日本教育世代で、北京語はあまりうまくない人がほとんどだったはず。それでも北京語しかわからないのはズレている。もっとも、そういうズレた人だから、あの恐怖の時代に、身の危険にも無頓着で、運動をできたんだろうと思う。
もっとも、彼のアナーキストなところと、イラク戦争に抗議して米国在台湾協会の前で米国パスポートを焼却してしまった勇気は敬服する。当然、在外公館の前でわざと焼却したパスポートは再発行できるはずもなく、リンが持っているのは、難民向けの国際NGOが発行したパスポート。以前、見せてもらったことがあるが、本人いわく「使えるかわからん」とのこと。
もっとも、台湾での滞在資格は2006年に永久居留が認められたことから、問題ないし、彼は独特の母性本能をくすぐるところがあるのか、養ってくれる女性には事欠かない。そういう意味でも変わった人である。
私自身は日本人としてはきわめて変わった部類に属するという自覚と自負があるんだがw、リンや、もう一人民主化運動に関わった米国人で、これまた左翼だが、こっちは急進社会主義者のリンダ・アリゴ(Linda Arrigo、艾琳達、←おっと中文IMEでは一発で変換できた!)、それから社会民主主義者の米国人記者のデニス・エンバース(Dennis Engbarth)は、そんな私から見ても、信じられないくらい、とんでもなくぶっ飛んでいる超変人である(そういえばこの3人とも台湾語が全然もしくはあまりできないところも共通してズレている)。米国は政府や政治は保守一色でおかしいと思うのだが、こんな超変人を育てる度量があるという点で、市民社会そのものは多様で、懐が深いと思う。日本なら、リンやリンダやデニスみたいな人は、小学校のころにイジメにあって、自殺していただろう。そういう点では米国社会はスゴイ!そして、そんなやつを温かく迎えてくれる台湾社会もスゴイ!

途中用事があったので、最初と最後しか見ていないし、悪口を書き連ねたが、馬政権になって反動化している今、リンにはまだまだがんばってほしい。

最新の画像もっと見る