むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

越南と比べて台湾ははるかに日本=非中華的 台湾人は見る目があるのかも

2011-11-22 16:53:03 | 台湾言語・族群
今回越南の中華文化好きを見たことで、台湾がきわめて日本の文化・価値観・センスを受け入れ、脱中華的であることを痛感した。
震災義捐金の多さも含めて、ずばり言うと、台湾はもはや広義では日本の一部である。

その点では台湾人は見る目・審美眼があるといえるのかも知れない。

何だかんだいって、日本はアジアで唯一、制度やシステムが整い、貧富の格差もアジアでは最も小さく、国民全体が豊かで安心・安全に暮らせる社会である。そしてその社会が生み出す創造物は魅力的だ。

私はこの3年以上もの間、馬英九を2008年に選びながら、親日、いやもはや日本への同化に進みつつある台湾、逆にいえばこれだけ親日なのに謝長廷ではなく馬英九を選んでしまった台湾および台湾人が今ひとつ理解できなかった。
どうしょうもないと思った。

だが、ここ数年急速に進む日本化の流れを見ると、ようやくわかった。
要するに台湾人は台湾のことがどうでもいいのである。台湾でなく、日本により共感とアイデンティティを持っているのである。

いわゆる独立派の友人には、日本に行ってきた、どこそこの何はすばらしい、徳川家康がどうの坂本龍馬がどうのと、私でも知らない日本の地理を知っていたり、日本の歴史についても熱く語る人は多い。
だが「独立派」を名乗るわりには、台湾の地理や歴史、歴史上の人物について、日本のそれらよりも熱く語る人間には、これまで誰一人あったことがない。
そもそも独立派であるほど親日度が高い。
その意味では、台湾には真の独立派などいない。

いや、いわゆる独立派、緑系でなくても、最近の若者は台湾の政治や地理、歴史、文化には興味がない。中国は嫌いで中国の歴史や地理や文化については無関心だ。

若者を中心に独立派も含めて言えることは、台湾人は台湾そのものには関心がなく、まして中国なんか関心がなく、関心があるのは日本のことだけなのだ。

しかし、それはそれでよい。
もはや民族主義だの、国民国家建設だのというのは、時代遅れの思想だ。

一人ひとりの人間にとって大切なことは、いかに幸福に安全に安心して暮らせるかということであって、国家を作ることが第一の目的なのではない。
事実世界に190以上の国民国家が存在しているが、それらが昔の植民地時代に比べて豊かで安定したところなど、数えるほどしかない。

それならば、安定的で安全なシステムを備えているところに帰属したほうが良い。

その場合、中国や米国は真っ先に除外される。驚くべきことに、二つの「大国」は、国民が等しく安心して暮らせるための基本的な社会保障システム、医療保険を欠いている。
見せ掛けだけの数字=成長率なるものを誇ったところで、国民の底辺が病気になっても病院に行けないような社会は、まともで安心して暮らせる社会とはいえない。
それを今の台湾人はよくわかっている。

その意味ではアジアでは日本くらいしかまともな社会はない。世界を見渡してもその意味でまともだといえるのは西欧・北欧・中欧のいくつかの国だけだ。
このことも台湾人はわかっている。

だからこそ台湾人は日本に傾斜し、同化したがっているのだ。
越南人は中国人と価値観やセンスのうえでは違いがないし、日本という突破口や逃げ道がないから越南民族意識を意識だけ強く持っている必要があるが、台湾人が中華民国体制に無頓着で馬英九を平気で選んでしまうのは、いわば自分たちが最終的には「日本という避難先・突破口」があるという安心感からではないか。
台湾なんてどうでもいい、最終的に日本になってしまえばいいから、総統選挙でいい加減な投票行動を行うし、しかも馬の失政にも無頓着なのだ。台湾はどうでもいいからw。

馬英九を選んでしまったことで、憤慨やるかたなかった私も、この点にやっと気づいた。それは震災が大きい。
震災は東北地方の人には気の毒なことだが、台湾人の真の姿、台湾人の見る眼のあるところを示してくれた点では、きわめて大きかった。

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