むじな@金沢よろず批評ブログ

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「中正紀念堂」を「民主紀念館」に改名 しかし「占領史紀念館」のほうがいいのでは?

2007-05-13 03:04:20 | 台湾政治
台湾政府行政院は9日、「国立中正紀念堂管理処組織条例(特別法)」(中国語では記念は紀念とする)を廃止、国立三級施設だった同記念堂を四級施設に格下げし、管理規則を法律ではなく政令レベルにすることを決めた。これによって蒋介石の忌み名の中正を称揚するため、蒋経国時代に建てられた同記念堂は、独裁者崇拝施設としての名目を失った。
これに対して、国民党保守派が市長になっている台北市をはじめ国民党陣営は反発しているが、反発するほど国民党が独裁者を賛美する反動ファッショ勢力としての本質が明らかになるだけであり、来年の総統選挙で国民党が政権を奪回するチャンスはますます遠ざかっている。

今回の名称改正は遅きに失した感はある。というか、民進党政権がこれまで「少数与党だから法案が通らないので、進められない」といってきたことが、実は単なる言い訳に過ぎなかったことを、今回の「法律廃止、政令レベルに改める」措置にとって実は立法院に諮る必要がなく、行政府の裁量で可能だということが明らかになった。だったら今までなんだったのか?
これは法学を台湾で学んできた私も、従来から指摘していたことである。そもそも台湾の現在のシステムは、まだまだ国民党独裁体制時代のものを引きずっている。ということは、逆にいえば、行政裁量の範囲がきわめて広く、実は立法院に諮らなくて行政裁量で一方的に解決できる部分が多いのである。

そうはいうものの、とりあえず脱蒋介石の措置そのものは賛同したい。
とはいえ、やはり改名後の名称もどこか間違っている。それは中身は相変わらず蒋介石の銅像が鎮座しているだけの独裁者顕彰施設なのに、それを「民主記念」と名乗ることは、それこそ民主主義への冒涜ではないのか?
別に蒋介石の銅像を壊したり移せといっているのではない。独裁政権時代の愚かな歴史の一こまとして、歴史の教訓として、この愚かな施設は残すに値すると思う。だったら、名称は「民主記念館」ではなくて、「占領史記念館」にすべきではないのか?

実際、ソ連から独立し民主化したバルト三国には必ずそれぞれの首都に「占領史博物館」が存在している。リトアニアのそれは確かかつてのKGBの施設を利用したものだったはずである。
であれば、蒋介石という忌まわしい殺人鬼、妄想狂の独裁者を記念する施設を改称するには、「民主記念館」などではなく、「占領史記念館」がもっともふさわしい。できれば、孫文を含めた国民党独裁に関係するすべての文物、さらには日本や清朝やオランダ、スペインの占領に関する文物を集めて、過去の誤った歴史の教訓とすべきであろう。


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