むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

文革40周年:経済発展するごとに文化・思想的に退化・野蛮化する中国

2006-05-20 19:23:41 | 中国
 5月16日は中国で文化大革命が勃発して40周年だという。しかし、文革のころの中国と今を比べた場合、実は文化・思想・品格という点では、改革開放・経済成長一直線の今の中国のほうが圧倒的に退化・野蛮化しているのではないかと思うきょうこのごろである。

 特に、外交の手口で見た場合、中国政府による台湾の外交活動への妨害の手口はますます卑劣、野蛮の度を強めているようだ。
 たとえば、陳水扁総統が10日、リビアを電撃訪問した際、自由時報が12日付けで伝えたところによれば、中国在リビア大使館は4台の車と大勢の在住中国人を動員して、空港出口を塞いで陳総統一行を空港外に出さないようにたくらんだという(http://www.libertytimes.com.tw/2006/new/may/12/today-fo2.htm)。
 これは、きわめて野蛮で、リビアという主権国家を侮辱する行動だろう。カダフィ大佐の中国への不快感はこれでさらに強まったはずだ。

 また4月下旬、カンボジアのある都市で、民進党も加盟するアジアのリベラル政党国際組織アジア自由民主連盟(CALD)のシンポジウムが開かれた。ホストはサムレンシー党だったが、中国大使は会議前から会議開催の間中、毎日サムレンシー党首に電話をかけて、「民進党の招待を取り消せ」「民進党の代表に話をさせるな」などと脅しをかけたという。サムレンシー氏は圧迫感を感じたが、そこはさすがカンボジアの権威主義体制と戦ってきた氏。結果的に屈服することなかったどころか、民進党の代表団のために宴席を設けたりしたという。

 中国の台湾に対する外交的圧迫は今に始まったことではない。しかし、少なくとも80年代までは、もっとスマートで、こんなことはやらなかったはずだ。

 中国は共産主義イデオロギーで固まっていた60年代のほうが、毛沢東、周恩来(どっちも好きではないが)という世紀の政治家を持ったおかげで、外交戦術はもっとスマートだった。国内も貧しくて統制があった分、人民も清貧だった部分もあった。
 文革は確かに中国人民に傷跡を残した。しかし、当時の中国人は思想に忠実で、くだらないことを考える余裕はなかった分、ある意味で崇高だったといえよう。
思うに、60-80年代には左翼やハト派を中心に、日本人の間で大勢の「日中友好人士」が育ったのは、偶然ではなく、中国側には思想や理想があって、指導層の知能がきわめて高かったことで、日本人の「心」をつかむことに成功したからだろう。侵略という後ろめたさを感じている日本人に対して「それはあなた方のせいではない、悪いのは一部の権力者だった」などといえば、そりゃほとんどの日本人はイチコロだろうし、貧しいながらもひたむきに生きている中国人民を見れば「清貧」が好きな日本人は感激したのだろう。
今から見れば「幻想」だったということは簡単だろう。しかし、今と比べた場合、当時の中国には、人間をひきつける魅力や何かがあったのではないか?

 たとえば映画を見てもわかる。80年代の「黄色い大地」「赤いコーリャン」「芙蓉鎮」などは人間の生き様と社会との葛藤を描いた秀作だった。とくに私は「黄色い大地」には感動したものだ。ところが、今や同じ監督の「無極」ときたらどうだ。金だけはかけています、といった風で、思想もへったくれもない、脚本や台詞も台湾人ですら「白痴」とバカにする体たらくである。台湾人の文化的コンプレックスの対象であったはずの文化・歴史大国の中国はいまやどこにも文化も歴史もない。
 歴史問題にしてもそうである。周恩来は日本留学時代の日記で靖国神社をみて「感慨を覚えた」と記した。さらに、60年代の中国には、日本人の心の襞もよく知る郭沫若や廖承志らの役者がいた。彼らが生きていたならおそらく靖国神社問題について「日本のかたがたのお気持ちはよくわかりますが、やはりA級戦犯を祀ることだけはやめていただきたく思います。A級戦犯によって日本人民も被害を受けたのですから」くらいは言ってそうなものである。
ところが、今の「知日派」唐樹備や王毅にはそんな芸当はできない。彼らは日本語をぺらぺら操るだけで、日本人のものの考え方や襞がまるでわからない。中国人の発想で日本語を使っているだけだ。そこでひたすら日本人を責め立て、どんな手段でも台湾を封じ込めようと躍起になるわけだ。

 日本人の中で中国に対する反感が強まり、台湾への認知と好感度が上昇した背景には、中国および中国人全体の質の低下・野蛮化と反比例して、台湾が民主化によって「よりよい社会」を気づいたことによるものだろう。
 中国に限っては「衣食足りて礼節を知る」は嘘である。中国は文革のころに、それなりに理想や思想や文化があって、経済発展した今にそんなものはないからだ。
 そういう点では、中国には文革を続け、真面目に共産主義をやり続けて欲しかった。地球環境やエネルギー問題を考えればなおさらである。文革をやっていた中国のほうが、中国人自身にとっても、周りにいる台湾や日本にとっても、世界にとっても幸せだった。



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