数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

原発公害(7)チェルノブイリ・福島・セラフィールド

2013-09-29 20:26:00 | 原発公害

 さてあるブログにチェルノブイリ原発事故による放射能の放出量と福島のものとの比較がされていました(セラフィールド含め)。放出量は圧倒的にチェルノブイリの方が多いので、福島での健康被害の恐れなど、そんなにセンセーショナルになる必要はないとのことでした。

 確かにチェルノブイリと比べ放出量は少ない(政府等の発表では)ようです。それにセラフィールドの海洋汚染の酷さには驚くばかりです。
 しかしチェルノブイリと福島では状況が違うようです。

放射能の土壌汚染について、福島原発事故をチェルノブイリの事故と比べるDr.Frank Brose, Berlin』を見てみます。

「チェルノブイリ事故では放射能物質が急速に成層圏まで広がりました。福島事故では放射能物質が対流圏下部までしか広がりませんでした。放射性物質は対流圏上部(10km以上)にはほとんど存在していない事でした。」

「セシウム137の 最高の土壌汚染は福島原発第一号の近隣で1400万ベクレル/平
米です。 1986年にチェルノブイリの周辺の最大値は1470万ベクレルです
(ノヴォジェレナ村)」

「日本の1000平方キロメートルの地域では米国のエネルギー省(DOE)の航空機
モニタリングでセシウム137の濃度が60万ベクレル/平米以上を測定されました。
800平方キロメートルの地域ではセシウム137の濃度が100万ベクレル/平米
以上で、 300平方キロメートルの地域では300万ベクレル/平米以上です。
高度に汚染されている日本の地域はチェルノブイリの周辺より狭いですが、最高濃
度が同じような値なので、部分的に疎開も必要です。」

 つまり、チェルノブイリでは放射性物質が急速に成層圏まで広がり、広範囲(ヨーロッパのドイツなどまで)に汚染されました。それに対して、福島では狭い範囲に濃厚に汚染されたようです。そして風の流れに沿って不均等に汚染されたようです。風の流れを見ると、那須の方面、群馬北部、柏・流山・三郷などにどうして高汚染場所があるか分かります。『2011フクシマ放射能地図・日時(群馬大学 早川教授のブログより)』

 また福島は現在も放射性物質が、どんどん漏れで出ています。チェルノブイリでは旧ソ連軍などの決死の対策が行われ核燃料の地下への汚染は防げたようです。

 「原子炉消火のための空中投下を担当したのは、キエフ軍管区副司令官アントキシン空軍少将の指揮するヘリコプター部隊であった。燃え続ける原子炉を封じ込めるため、ヘリコプター部隊が活動を始めたのは、4月27日からである。アントキシン少将は、ヘリコプターとパイロットの招集、投下する資材の確保や袋づめと大車輪で活躍したという。袋詰めの作業員がいなかったので、初めは政府要人までかりだされた。27日には110回の飛行が行われ、150トンの砂袋が投下された。以下、28日300トン、29日750トン、30日1500トン5月1日1900トンという数字が残っている。投下された資材の重さで原子炉基礎のコンクリートが破壊される恐れが指摘されたため、5月2日以降の投下は控えられた。この間、2,000トンの鉛を含め、5,000トン以上の砂、ドロマイト、ホウ素などの資材が投下された。」

 「建屋の外からは、原子炉の下へ向けてトンネルが掘られつつあった。溶融した燃料が基礎コンクリートを貫いてしまう、いわゆるチャイナシンドロームに備え、基礎の下にコンクリートを流し込みその中に冷却用配管を設置する工事であった。400人近くの地下鉄工事と炭坑の労働者が、24時間8交替で作業にあたっていた。狭いトンネルでは機械力はほとんど使えなかった。トンネル内の放射能はそれほどではなかったが、劣悪な条件下で約140mのトンネルが掘られ、この作業は6月末に完了した。」

 ソ連の核戦争に備えて訓練された陸軍化学部隊はじめ、ソ連各地から「愛国的労働者」が集まって献身的に作業したようです。こうした事故処理作業者は「リクビダートル」と呼ばれ、その総数は60万とも80万とも言われています。そのうち20万人が汚染の強かった1986年と1987年に作業に従事したとのことです。

 日本の福島では、自衛隊はじめ「愛国的労働者」が核戦争並みの事故対策作業を行ったでしょうか?現在メルトアウト(核燃料による地下汚染)が濃厚だと言われています。チェルノブイリと福島の違いは、事故対策作業にも大きな隔たりがあるのではないでしょうか。今地下の汚染水が噴出し、また地下の網目のような地下水脈を通って汚染が拡散するのは確実のように思えます。

〔平成25年12月19日追記 『原子炉の暴走』石川迪夫著を読むと、上記の旧ソ連の軍隊による砂・ドロマイト・ホウ素などの投下は、原子炉の消火には役に立たなかったようです。火災による上昇気流や斜めに倒立した蓋が邪魔をして、ほとんど原子炉には届かなかったようです。また地下トンネルも水素爆発の危険を避けるためのものであれば必要なかったとのことです。〕

 また文部科学省などが発表する放射性物質の放出量は信用できないように思えます。小出教授も数倍から最低でも2倍はあるのではないかと言っています。それに3号機の使用済み核燃料はまだ本当にあるのでしょうか?『院長の独り言』さんのブログでその辺のことが詳しく書かれています(50万アクセスとのことで、多くの人が知っているということですか?、それにしても大部分が海に流れて助かったようです〔しかし風に乗って米国にまでで行っているのではないでしょうか?〕)。

 なお炉心インベントリー(事故直後、原子炉が停止した時点において、炉心に蓄積されていた放射性核種の存在量)では、セシウム137でチェルノブイリの約2.5倍ほどあります。これらは事故直後には放出されなかった訳ですが、メルトアウトが濃厚とされる中、これらの核種の漏れも勘定に入れないとダメでしょう。特にトリチウムはほとんど水と同じようにふるまうようですから、地下水汚染では脅威になるのではにでしょうか。哲野いさくさんが詳しくトリチウムのことを記事にしています。

 確かにセンセーショナルになるのは良くないかもしれません。しかし福島原発事故の実相を確認するのは容易なことではありません。とにかく政府・東電はほとんど隠蔽して被害を矮小化しようとしています。というか3号機の使用済み核燃料のことやメルトアウトのことを考えると、国と東電が国民に公表する内容は喜劇のようなものに思えてきます。

 それにしてもイギリスのセラフィールドの海洋汚染も酷すぎます。スコットランドでは議会が認められて、独立投票も目前のようです。他人の土地に放射能を垂れ流して、知らん顔をする輩は多過ぎます。
  
 スコットランド独立の住民投票

 スコットランドは独立すれば、北欧型の福祉国家を目指すようです。そしてイギリスの原子力政策から脱却するには、これしか方法がないとのことです。

 
 経済行為はどこか戦争行為に似ています。相対的剰余価値の生産を拡大するためには、科学技術の進歩が欠かせませんが、その進歩に軍事研究という途方もない基礎科学研究が多大に貢献します。そしてまた経済のハイテク化が軍隊にも応用され、有機的構成の高度化に繋がります。また軍隊的(非人道的)な効率主義が会社経営にも応用されているのではないでしょうか。効率的な利潤獲得システムと効率的な破壊・殺傷システムはどこか似ているような気がします。

 「軍事革命」とは要するにハイテク化を意味します。第6世代戦闘機は無人になるようです(映画の『ステルス』のようになる)。オバマ大統領が核兵器撤廃を叫んだのは、米軍の最新兵器『神の杖』(重力兵器)で十分核兵器の代替ができるためとも言われています。

「宇宙プラットホームに小型推進ロケットを装着した直径30センチ、長さ6.1メートル、重さ100キロのタングステン、チタン或いはウランの金属棒を搭載するという計画で、衛星の誘導で地球上のすべてのターゲットを攻撃することができる。

金属棒が地上から1000キロ離れた宇宙から急降下する際のスピードは時速1万1587キロに達し、ターゲットにぶつかる際の力は原子力兵器にも引けを取らない。この新型兵器は反応が速く、命中率が高く、防御不可能なもので、宇宙から打ち上げられた後、大型建物群や地下数百メートルにあるターゲットを破壊できる。しかも、電磁波を放出しないという」

 経済と軍事は絶えずパラレルに進化発展しています。これはコインの表と裏で、この二つは本来一緒です。そして破滅するときも同時かもしれません。


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