数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

原発と安全保障

2013-10-29 21:00:37 | 原発と安全保障
今回の福島原発事故に対して、いろいろ調べているうちに非常に違和感を覚えるようになりました。

 あと一歩で首都圏が終わる(放射能汚染)⇒実質日本の終わり、そしてその危機は「使用済み核燃料の」の取り出し作業で継続している訳です。

 これは安全保障上の最大の危機・脅威ですよね。つまり放射能兵器(放射性廃棄物をばら撒く)で攻撃されたと同じ状況です。それも「原発」という「平和利用(と言われている)」の発電システムの事故によってです。

 このような重大な安全保障上の問題は、決して東電だけの責任で云々できるものではないと思います。そもそも経済産業省がこの「原発」関連の利権の「縄張り」を持っているようですが、いったい安全保障上の対策というものを本当に考えていたのでしょうか?

 いや経済産業省などの経済(お金の算術計算)利権のことで頭がいっぱいの組織ではなく、国家の安全を担う防衛省、治安を担当する国家公安委員会、警察や消防などはどのような原発災害の危機管理体制を取っていたのでしょうか。

 原子力安全委員会や保安院などは、まったく危機に対応することができなかったようです。〔事故当時の保安院のトップは、法文系でどうやら年功序列の単なる役職だったようで、なんらの提言もできなかったようです(プロメテウスの罠より)。〕
 
 そもそもこのようなシビアアクシデントに対応する、組織・システムが欠如していたのではないでしょうか。

 これは本当におかしな話だと思います。国家滅亡の危機も有得る、50基以上ある原発災害に対してまったく対応能力のない「国家・自治体・民間組織」というのは考えられない。少なくとも自衛隊の原子力災害緊急部隊のようなものが、真っ先に駆けつけるべきですよね。国家滅亡の危機なんですから。それに原子力危機に対する具体的な指示を行なう科学者グループも事前に組織しておかないといけませんよね。事前に有得る危機に対して具体的で詳細なマニュアルがあるべきですよね。

〔自衛隊の中央特殊武器防護隊が出動しているようですが、化学防護車やNBC偵察者車、その他少量の放射線防護・除染の機器程度で話になりません(高放射能汚染下での作戦活動には敬意を払いますが…)〕参考:旧ソ連の対応 

 それに放射能漏れしたら、市民を緊急に避難させられる運送システムや放射線防護の装備・薬剤を瞬時に大量配布できるシステムが事前に完備されていないといけません。

 どうして国家滅亡の危機(原発災害)の対応がまったく不十分だったのでしょうか?

 原発安全神話という偶像崇拝思想に国民も官僚も政治家も洗脳されてしまったのでしょうか?政治家は原発災害の危機・脅威をどの程度理解できたのでしょうか?経済・法律官僚は放射能の脅威をどの程度理解していたのでしょうか?そして科学者は利権組織を前にして口をつぐんでいたのでしょうか?

 あまりにも納得行きません。
 少しアメリカの原子力緊急体制を調べてみたいと思います。


「1.エネルギー省(DOE)の役割および組織
 アメリカ合衆国連邦政府の内閣レベルの行政機関として、大統領府および15の省がある(表1参照)。エネルギー省は、原子力委員会(AEC、1974年廃止)、エネルギー研究開発庁(ERDA)等を前身組織として、1977年エネルギー省法に基づいて、1977年10月1日、連邦政府内の第12番目の省として設置された。現在、DOEは以下の5分野の目標を設定して、各分野で活動を展開している。
(1)エネルギー安全保障:米国のエネルギーセキュリティを、信頼性が高く、クリーンで経済的なエネルギーによって向上させる。
(2)核セキュリティ:米国における核セキュリティの確保
(3)科学的発見と技術革新:科学的発見、経済的競争力の強化と科学技術の革新による生活の質的向上
(4)環境上の責任:核兵器生産による負の環境遺産に対して責任ある解決法を提供することによって環境を保護する。
(5)管理の改善(マネジメントエクセレンス):健全な運営によって目的を達成する。
 2009年1月に就任したチュー長官は特に、科学的発見と技術革新、クリーンで確実なエネルギー、経済的繁栄、核セキュリティという形で優先度を提示している。」

マンハッタン計画から引き継いだ「巨大科学技術」(軍事・エネルギーへの利用)の開発・運用・制御の役割を担っています。軍事とはマンハッタン計画以降は、純粋に巨大科学技術の問題となりました。もはや戦闘を行なう兵士(人間)は必要ありません、科学技術の威力で瞬時にすべて破壊し、消失できます。現在、通常兵器での戦争は外交交渉の一部としか見られないのではないでしょうか。福島原発災害は、そういう意味では本当の「戦争」なんだと思います。

「エネルギー省内の核兵器研究所における不充分な保障措置と中国スパイ事件を契機に、DOEの再編およびそのための法案が議会で審議された。その結果、DOE内に半独立機関の設置を定めた「国家核兵器安全保障管理法」が上下両院を通過して1999年10月に発効し、この法律によって、2000年3月にDOE内に国家核安全保障庁(NNSA:National Nuclear Security Administration)が新たに発足した。なお、2003年2月の国土安全保障省の発足に伴い、DOE内の原子力事故対応チーム、生物化学核兵器対策計画および環境測定研究所等は新設の省に統合された。」

 中国のスパイ事件を機に、国家核安全保障庁ができたようです。

「エネルギー省は、連邦政府の省庁のなかで最も多い24の研究所および施設を傘下に置き、また、22の現地運営事務所を持ち、エネルギー、科学技術、環境、安全保障に関する研究開発を行っている。」

 エネルギー省の傘下に24の研究所及び施設があります。まさに巨大科学の総本山です。

 また国家核安全保障庁の中に核緊急支援隊という組織があります。

「核緊急支援隊(Nuclear Emergency Support Team、略称NEST)はアメリカ合衆国エネルギー省(United States Department of Energy、略称DOE)の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration、略称NNSA)の下で核・放射能に関する事件・事故に即座に対応することを目的とする、原子力科学者、エンジニア、IT関連技術者、法律家、医師・看護師、気象予報士から選抜されたメンバーによって構成される専門家集団である。以前は核緊急捜査隊(Nuclear Emergency Search Team)と呼ばれていた。」

「現在NESTは約1000名の人員が所属しており、エネルギー省に充てられた核緊急対応予算の約半分を元に活動を行っている。アメリカ政府からNESTメンバーに対して与えられる報酬は寸志のみであり、事実上のボランティアである。NESTメンバーは、普段は別の職業に就いているが、その大半がエネルギー省やロスアラモス国立研究所をはじめとするアメリカの原子力発電やITに関連する公的機関で働いているため、NESTには核兵器、気象予報、通信技術、放射線医学等に精通した理科系エキスパートがそろっている。そのほか、法律家、人文社会学者、安全保障学研究者等の文系エキスパートも所属しており、NESTはいかなる事案にも対処しうる総合的な実力を有する。 彼らは常時24時間、核テロリズムの脅威や放射能漏れ事故が起こった場合に備えており、呼び出しがかかればその場所が国内のどこであろうと、4時間以内に対応することができる。 原子力科学者会報(Bulletin of Atomic Scientists)によると、およそ600名の人員を一つの事件に派遣することが可能である。(ただし実際には一つの事件に派遣されるのは最大で45人程度)」

 米国の原子力安全体制はまだまだ調べないと分かりませんが、上記のようなボランティアで構成される専門家組織もあるようです。




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