数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

核酸医薬、現在急成長中? そのマイナス面は? 生物・医薬も数理論理化している?

2023-07-02 14:53:21 | 医薬・製薬
1.核酸医薬とは 
 核酸医薬とは、「遺伝子制御をするための核酸」をエクソソームなどのベクターによって標的細胞に届け、標的細胞の病変の原因になっている遺伝子を制御しようとするもののようです。
 あの「お注射」もmRNAを脂質ナノ粒子に包んで細胞に届け、その細胞で抗体のスパイクタンパク質を作らせるというものなので、核酸医薬に入るようです。


 
「…がんの原因の一つにRasという遺伝子があります。この遺伝子の発現が活性化すると、細胞はがん化します。そこで、Ras遺伝子に対する22基のRNAを合成して、これをがん細胞に導入します。するとこれがRas遺伝子に結合して、この発現を干渉、つまりノックダウンする。これが核酸医薬の考え方です。
…がん細胞によって上がったマイクロRNAの発現を下げる、下がったRNAをもとにもどす。あるいは、マイクロRNAを合成して打ち込む。このようなものはすべて核酸医薬と呼ばれます。
…核酸医薬には、一つ問題点があります。それがDDS(Drag Delivery system)、つまり、どうやってその薬を患部に届けるか、ということです。
…これまで、いちばん発達してきたのが、エクソソームとよく似た、リポソームという合成物質で、DNAやRNAを詰め込む研究が、いま、世界中でおこなわれています。
…多くの研究者が考えているのは、世の中のありとあらゆるエクソソームをうまく利用して、そのなかに自分の運びたいものを入れて、パッケージングして、あとはエクソソームが本来もつデリバリー能力にまかせればいい、そういったことができないだろうかということです。(『「がん」は止められる』より引用)」 」

「核酸医薬とは、文字通りDNAやRNAを使った医薬品で、疾患に関係するタンパク質をつくる遺伝子に直接作用します。疾患に関わるタンパク質をたたく低分子薬や抗体医薬とは異なり、核酸医薬がターゲットとするのはタンパク質の合成そのもの。DNAから遺伝情報をコピーして運ぶmRNA(メッセンジャーRNA)を分解したり、mRNAの遺伝情報を読み取れなくしたりして、疾患に関係するタンパク質の合成を防ぎます。
  核酸医薬は、特異性が高く副作用が出にくいとされ、化学合成ができるため安価に製造することも可能です。低分子薬や抗体医薬では治療が難しかった疾患の治療が可能になると期待されています。
…市場調査・コンサルタント会社のシード・プランニングが2011年にまとめた調査報告書によると、10年に20億円だった核酸医薬の世界市場は、20年には5000億円に達する見通し。同社は、20年以降にはブロックバスターになる核酸医薬も出てくるとしており、抗体医薬と同じように市場が急速に拡大する可能性も高いと推測しています。」

 現在、世界ではこの核酸医薬の開発競争が行われているようですが、十分な臨床試験などを行って、間違っても未だ治験中のものを一般の国民に大量に使用してしまうようなことがないようにしてもらいたいです。
 またこれが軍事用に応用されると、知らなうちに様々な病変(軽度なものから重度なものまで)につながる便利な兵器になる危険性もあると思います。

2.急成長する核酸医薬品市場
 この核酸医薬品市場は、あの「お注射」のおかげで急成長しているようです。2021年の調査で前年比17.6倍の約6兆3千億円規模とのことです。まあ日本でも国民の全人口の約68%が3回接種済みですから、特需に次ぐ特需ということでしょうか。
 
「概要
【調査趣旨】
◆2021年度の核酸医薬品の世界市場は、前年から約17.6倍の6兆3,061.5億円規模となった。要因としては、COVID-19の流行を背景に、mRNAワクチン製品群の売上が急増したため。今後、mRNAワクチンの供給一巡により、一時的に市場規模は縮小すると見込んでいる。ただ、アンチセンスやsiRNAなどの治療薬の開発が、様々な領域を適応症に活発化していることから、長期的にみると市場は成長基調に乗ると予測している。
◆アンチセンスでは、現在、脳・神経領域を中心に製品が展開され、需要を獲得している。さらに開発では、心臓・血管、腎臓・肝臓といった新たな領域に適応拡大すべく、後期臨床開発段階のパイプラインが豊富にある。
◆また、siRNAでは、現在、脳・神経と、新たに血液、腎臓・肝臓領域でも治療薬が上市されている。これらに加え、開発では、癌、心臓・血管、感染症などを適応症とするパイプラインが後期臨床開発段階にあり、今後も開発が活発化していくと予測している。」

「蛋白質に翻訳されるなど、何らかの機能を持つ塩基配列を「センス鎖(sense strand)」と呼ぶのに対して、センス鎖に相補的な塩基配列は「アンチセンス鎖(antisense strand)」と呼ばれる。そこから、アンチセンスは標的とするpre-mRNAやmRNA、microRNA(miRNA)に対して相補的な塩基配列を持ち、それらに結合して、機能を阻害したり、制御したりする1本鎖のDNAやRNAを指す。
 アンチセンス法は、標的遺伝子のmRNAに相補的な塩基配列から成るアンチセンス核酸(antisense oligonucleotides:ASOs)を用いて、標的遺伝子の発現を抑制する研究手法として、広く使われてきた。また近年は、疾患に関連するpre-mRNAやmRNA、miRNAに相補的な配列を持つASOsを化学合成し、体内に投与して疾患を治療するアンチセンス医薬の開発が本格化している。」

「siRNA(small interfering RNA)とは21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNAである。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)の破壊によって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。この現象はウイルス感染などに対する生体防御機構の一環として進化してきたと考えられている。siRNAは線虫や植物における転写後の遺伝子サイレンシング機構(PTGS)として存在することが報告されていたが[1][2]、その後合成のsiRNAがヒトの細胞においてRNA干渉を引き起こすことが分かり[3]、siRNAを用いたRNA干渉は遺伝子をノックダウンする方法として生物学および医薬分野の基礎研究に応用されていると共に、臨床への応用も期待されている。 」


 このような「お注射」の「史上空前の特需」については、私はあのリーマンショックの時の「サブプライムローン」ような「不可解な仕組み」を想像してしまいます。
「…特に投資銀行と言われる金融機関は、サブプライムローン(ポートフォリオ商品、それをリスクヘッジする様々な商品など含め)が「クズ商品・クソ商品」であることを十分理解していながら、顧客に「適格な投資商品」であると(嘘をついて)勧め、大量に販売していたようです。
 民間会社である格付け会社は、その手数料を発行会社からもらっているため、どんなにクズ・クソ商品でも、AAAなどの適格な各付けをしていたようです(これは詐欺的行為の幇助、いや詐欺的行為そのものだと思います)。
 また投資銀行は、クズ・クソ商品を大量販売しただけでなく、バブル崩壊に近づくと、その「顧客に販売した商品」の空売りも大量に行い、またその「販売した顧客の会社自身」の空売りも行っていたようです(クズ・クソ商品まみれで倒産確実なため)。もはや「利益相反」の極みとも言えるようなことを平然とやっていたようです。
… これらは、詐欺的な取引などではなく、「ポンジ・スキーム」のような「詐欺商法そのもの」だと著者(ファーガソン氏)は言っています。要するに、サブプライムローン問題は、犯罪者が架空の財産(サブプライムローン債権)をあたかも価値があるように見せかけて、次から次へと世界中から資金を巻き上げていった「組織犯罪」であり、商取引的な行為などは欠片もないということのようです。 」

3.医薬も数理論理化している?
(1)ゲノムの解読技術(機械)の進化
 ゲノム解読技術の進歩も凄まじいようで、特に2005年から登場した次世代シーケンサーという機械は、1日当たり2兆を超える塩基数をたった1台で解読できるという優れものであるようです。さらにゲーティングナノポア・シーケンシング技術という方法も開発中のようです。
 

「…塩基配列を読み取る最初の手法は、英国の生化学者Frederick Sanger博士が1970年代に開発した。サンガー法と呼ばれる。Sanger博士はこの業績で80年に2度目のノーベル化学賞を受賞した。その後、測定原理の改善と作業の機械化により読み取りを簡便にした装置が実用化された。
 2005年からこの読み取り能力を飛躍的に高めたシーケンサーが相次ぎ登場し、次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer:NGS)と呼ばれるようになった。NGSの解析能力の向上は「半導体の集積率は18カ月で2倍になる」という半導体業界の経験則「ムーアの法則」を上回った。現在では1日当たり2兆を超える塩基数を1台で解読できるNGSが稼働している。ヒトのゲノム塩基配列数(約30億)の数百倍に相当する。」

「解読技術の飛躍的進歩
 ゲーティングナノポア・シーケンシング技術とは、どんな内容ですか?
ナノポアは、ナノ㍍(1㍍の10億分の1)という超微細なサイズの穴(ポア)のことです。この穴に、ひも状に長く伸ばした1本のDNAを通します。
 DNAの上には、人の基本的な設計を決めるアデニン、チミン、グアニン、シトシンという4種類の物質(塩基)が全部で約30億個、一列に並んでいます。この並んだ塩基がナノポアを通過する際、ポア内に置かれた二つのナノ電極対の間に通る電流が一つ一つの塩基で異なるので、その違いを測り、塩基配列を計測するという仕組みです。ゲート(電極対)が置かれたナノポアですので、ゲーティングナノポアといわれます。
 塩基の配列は一人一人異なるもので、遺伝子レベルで人体の特徴や病気の有無、薬の効き目などを決定しています。ですから、自分の塩基配列を知ることは「自分について知ること」になるのです。
ナノポア・シーケンシング技術を使った解読技術は、従来の方法と比べて、どんな点が進歩したのですか?
 現在よく使われているPCRという手法は、まずDNAの複製を作り、それをもとに解読していくという方法です。これでは、最初にDNAの複製をたくさん作らなくてはいけないので、時間もかかり、また特殊な試薬を必要とするなどの問題点がありました。
 しかしナノポア技術は、1本のDNAさえあれば作業ができ、複製を作る手間がいりません。解読の速度は1塩基あたり1ミリマイクロ秒(1000分の1秒)。30億もあるヒトDNAの塩基配列であっても複数の装置で並列的に解読すれば、1日程度で全遺伝情報解析が可能です。また、特殊な試薬も必要なく、コスト的にも低減が図れます。」

(2)ゲノム情報はデータサイエンスで読む解く
 高性能のゲノム解読機械で得られた膨大な「記号(暗号)」は、情報工学の高度なデータサイエンスにより解析されるようになります。つまり生物も医薬も「数理論理化」しています。

「「バイオインフォマティクス(生命情報科学)」とは生物のゲノム(遺伝子)情報など生命が持つ様々な「情報」をコンピュータで解析する学問分野だ。生物学を意味する「バイオロジー」と情報学を意味する「インフォマティクス」が名前の由来だ。
 バイオインフォマティクスによって生体分子の構造や挙動を解析・数値化することで、生活分野や医療分野での課題解決に役立つ知見が得られると期待されている。とはいえ生物学の知識とIT、データサイエンスなどの素養が必要とされることから人材は不足しており、どのように研究者を確保するかが各国の課題となっている。」


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