数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

免疫(5)細胞の病原体センサー Toll様受容体 Toll-like receptor(TLR) 

2023-08-11 15:13:19 | 免疫
 Toll様受容体(Toll-like receptor、TLR)は動物の主に細胞表面にある受容体タンパク質であり、様々な病原体を感知して自然免疫(炎症性サイトカインやインターフェロンの産生・放出など)を作動させるセンサーとしての機能があります。その病原体を認識する方法は、パターン認識といって、病原体のある程度共通している構造を識別するものです。その反応時間は獲得免疫(T細胞やB細胞による反応)より早く、真っ先に自然免疫反応が始まります。自然免疫反応によって病原体が排除されれば、獲得免疫が働くことはありません。
 なおToll様受容体が認識するのは抗原などのタンパク質ではなく、多くは細菌やウイルスなどの核酸や脂質(アジュバンド)です。樹状細胞が抗原提示する際にアジュバンドの違いにより、ヘルパーT細胞の性質(1型・2型)が決まるようです。
 また、TLR3、TLR7、TRL8のように細胞内の小胞にあって、ウイルスのRNA(免疫細胞などにより分解された断片)を認識できるものもあります。
 さらにTLRファミリーの他に、分解されていないウイルスのRNAを感知するRIG-1MDA5などもあるようです。
 Tollとは、1980年代にドイツ人生物学者のクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトによりショウジョウバエの発生において背と腹の軸を決定する遺伝子として発見されたものです。
 1996年、ジュール・ホフマン(2011年ノーベル生理学・医学賞受賞)がそれが真菌に対する免疫としても働いていることを発見。
 1997年、イェール大学のCharles Janewayやルスラン・メジトフらが哺乳類にもToll遺伝子と同様の遺伝子を発見して、これをToll-like receptorと命名しました。
 1998年、ブルース・ボイトラー(2011年ノーベル生理学・医学賞受賞)がTLR4によってリポ多糖が認識されることを発見しました。その後には、他のTLRによって認識される病原体が続々と発見され特定されました。
 TLRは哺乳動物で10から15種類が確認され、ヒトでは10種類(TLR1からTLR10と呼ばれる)が見つかっています。
 なおTLRの発見には大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授の審良静男教授の貢献が大きいようです。

「2011 年Gairdner 国際賞における審良静男の受賞理由の解説
 …審良らは、哺乳動物で約10 種類あるTLR の機能解析を通じ、自然免疫が極めて特異的に病原体を認識することを発見した。その病原体とは、種々の細菌の表面成分、腸内細菌の鞭毛成分、バクテリア・ウィルスに特有のDNA・RNA などである(Fig. 2)。


TLR4 が病原体膜構成成分を認識することの証明 
 リポ多糖(LPS) は、グラム陰性菌の細胞表面に存在し、敗血症ショックの中心的な原因物質である。審良はTLR4 ノックアウトマウスとTLR2 ノックアウトマウスを作製し、これらマウスの細菌細胞膜成分に対する反応性を比較した結果、TLR4 がLPS 受容体であり、 TLR2 は関係しないことを証明した。現在、TLR4 を阻害することにより敗血症ショックを抑える薬の開発が進んでいる。
TLR5 が鞭毛の構成成分を認識することの発見
 鞭毛は細菌が水中を動きまわるための装置である。審良らは米国のAlan Aderem との共同研究により、TLR5 が、鞭毛の構成タンパク質であるフラジェリンを認識する受容体であり、腸内細菌の体内(腸の外側)への侵入を感知して炎症反応を引き起こすことを明らかにした。
TLR7 が抗ウィルス剤イミダゾキノリン誘導体とウィルス由来一本鎖RNA の受容体であることの発見
 審良らはTLR7 がイミダゾキノリン(imidazoquinolines) に属するImiquimod とR-848(Resiquimod) を認識し、その後のサイトカイン誘導や免疫反応誘導に必須であることが明らかにした。イミダゾキノリンは、現在、新たな抗ウィルス剤として臨床応用されている合成化合物である。この結果は、TLR を介した自然免疫系の活性化が合成化合物でも誘導でき、種感染症、ガンなどの免疫療法に応用できることを直接証明したものである。その後、TLR7 が細
胞内のエンドソームにおいて、ウィルス由来の一本鎖RNA を認識することを明らかにし、TLR7が体内へのウィルス侵入を感知する受容体であることを証明した。
TLR9 が細菌およびウィルスのDNA(CpG DNA) を認識する受容体であることの発見
 審良らはTLR9 のノックアウトマウスを作製し、その役割を調べた結果、エンドソームにおいて、TLR9 が細菌やウィルスに特有のDNA (CpG-DNA) に対する応答に必須の受容体であることを証明した。この研究成果はNature 誌に掲載されたが、同論文の被引用数は2700 を超え(2011年3 月現在)、記録的となっている。(引用終わり)」

 
「…RNAウイルスの場合には、特に異物レセプターのTRL7、RIG-1やMDA-5などが重要な働きをします。
 これらの異物レセプターによってウイルスRNAが認識されると、レセプターの下流に存在する転写因子とよばれる一群のタンパク質が活性化されて、その結果、感染細胞の中でウイルス防御に関連した遺伝子の働きが始まります。
…RNAを認識する異物レセプターの一つTLR7にウイルスRNAが結合すると、TLR7の下流に存在する転写因子複合体のNFκBが核内に移動して、炎症性サイトカイン遺伝子のプロモーターに結合します。炎症性サイトカイン遺伝子の転写が始まります。
 このようにして、炎症性サイトカインが細胞内で作られて、細胞外に放出されます。
…一方、RIG-1やMDA-5にウイルスRNAが結語すると、その下流にある別の転写因子(IRF3とIRF7)が働きます。これらの転写因子はリン酸化された後に核に移行します。そして、Ⅰ型インターフェロン遺伝子とⅢ型インターフェロンがそれぞれ産生されるようになります。これによって抗ウイルス反応が始まります。(引用終わり)」

 
 
「…樹状細胞が抗原提示したとき、同時にエンドトキシンなどの細菌やウイルスの成分(アジュバンド)で刺激された場合、つまり細菌感染やウイルス感染の場合は、細菌やウイルスの核酸や脂質成分を認識するTOLL様受容体を介して樹状細胞はインターロイキン12を分泌します。また、その膜構造に変化が生じます。その結果、樹状細胞と接触しているナイーブ細胞はサイトカインとしてインターフェロンγを分泌し始めます。
 つまり、TOLL様受容体が認識するのは抗原やアレルゲンなどのタンパク質ではなく、細菌のウイルスに存在する特有の構造を持つ核酸や脂質などのアジュバンドなのです。このアジュバンドの作用により樹状細胞の膜構造などの変化を経て、ナイーブT細胞はインターフェロンγを分泌する1型ヘルパー細胞に変身しながら増殖していきます。
 樹状細胞がアレルゲンと遭遇し、アレルゲン構造物をナイーブT細胞に提示したときにプロスタンという物質で同時刺激された場合は、細菌やウイルス由来のアジュバントにTOLL様受容体を刺激されたときとは別な膜構造を持つようになります。その結果、樹状細胞と接触するナイーブ細胞は先ほどのインターフェロンγではなく、今度はインターロイキン4を分泌し始めます。つまり、ナイーブ細胞はインターロイキン4を分泌する2型ヘルパー細胞に変身しながら増殖します。(引用終わり)」

「Toll様受容体(トルようじゅようたい、Toll-like receptor:TLRと略す)は動物の細胞表面にある受容体タンパク質で、種々の病原体を感知して自然免疫(獲得免疫と異なり、一般の病原体を排除する非特異的な免疫作用)を作動させる機能がある。脊椎動物では、獲得免疫が働くためにもToll様受容体などを介した自然免疫の作動が必要である。
 TLRまたはTLR類似の遺伝子は、哺乳類やその他の脊椎動物(インターロイキン1受容体も含む)、また昆虫などにもあり、最近では植物にも類似のものが見つかっていて、進化的起源はディフェンシン(細胞の出す抗菌性ペプチド)などと並び非常に古いと思われる。さらにTLRの一部分にだけ相同性を示すタンパク質(RP105など)もある。
 TLRやその他の自然免疫に関わる受容体は、病原体に常に存在し(進化上保存されたもの)、しかも病原体に特異的な(宿主にはない)パターンを認識するものでなければならない。そのためにTLRは、細菌表面のリポ多糖(LPS)、リポタンパク質、鞭毛のフラジェリン、ウイルスの二本鎖RNA、細菌やウイルスのDNAに含まれる非メチル化CpGアイランド(宿主のCpG配列はメチル化されているので区別できる)などを認識するようにできている。
TLRは特定の分子を認識するのでなく、上記のようなある一群の分子を認識するパターン認識受容体の一種である。

…Toll遺伝子(en)は1980年代にショウジョウバエで正常な発生(背腹軸の決定)に必要な遺伝子として、ドイツ人生物学者のクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルト(1995年ノーベル生理学・医学賞受賞)によって発見された("Toll"はドイツ語で"Great"と"Curious"の両義をもつ語)が、1996年には、ジュール・ホフマン(2011年ノーベル生理学・医学賞受賞)によって真菌に対する免疫としても働いていることが明らかになった。
 さらに1997年、イェール大学のCharles Janewayやルスラン・メジトフらによって、哺乳類にもToll遺伝子と相同性の高い遺伝子が見つかり、これがToll-like receptorと命名された。1998年、ブルース・ボイトラー(2011年ノーベル生理学・医学賞受賞)によってTLR4がリポ多糖を認識することが発見されたのを皮切りに、各TLRのリガンドが解明されていった。
ほとんどの哺乳動物で10から15種類のTLRが確認されている。ヒトでは10種類(TLR1からTLR10と呼ばれる)があり、他の種でもそれらの多くに対応するものがあるが、一部はない(例えばTLR10に対応する遺伝子はマウスにもあるが、レトロウイルスにより破壊されている)。またヒトにはないが他種にあるものもある。

(引用終わり)」

「自然免疫系は、生体に侵入した病原体をいち早く感知し、発動する第一線の生体防御機構である。「病原体を感知(認識)する」ことは、自然免疫系を活性化するための必須の要素で、主にマクロファージや樹状細胞などによって行われる。これらの細胞は、パターン認識受容体(pattern-recognition receptor: PRR)を介して微生物の持つ共通した分子構造(pathogen-associated molecular pattern: PAMP)を認識する。PRRは、PAMPを認識すると、細胞内シグナル伝達系を活性化し、病原体排除に必要な生体防御機構を誘導する。また、第二の生体防御機構である獲得免疫系の誘導に樹状細胞が重要な役割を果たしているが、PRRによるシグナル伝達によって樹状細胞の成熟も促進され
る。
 Toll-like receptor(TLR)はPRRとして初めて同定された受容体で、多くのPAMPを認識することが明らかとなっている。TLRは、外部領域、膜貫通領域、細胞質内領域を持つI型膜貫通たん白質である。外部領域に存在するロイシンリッチリピート部分でPAMPを認識し、細胞質内領域のToll-IL-1 receptor(TIR)部分で下流のシグナル伝達系を活性化する。TLRは細胞表面、あるいは細胞内小胞上に発現している。これまでにヒトでは10、マウスでは12のTLRが同定されている。それぞれのTLRはウイルスや細菌、真菌、寄生虫固有のPAMPを認識する(表参照)。TLRはPAMPを認識すると、TIR(前述)にMyD88やTRIFというアダプター分子をリクルートすることによりNF-kBやMAPキナーゼ、IRF-3経路などのシグナル伝達系を活性化し、炎症性サイトカインやI型インターフェロン、ケモカイン、抗菌ペプチドの産生を誘導する。」


「…TLR9とCpG DNAの複合体の結晶をSPring-8の構造生物学ビームラインBL41XUで解析しました(図3)。「結晶は100 µm(0.1 mm)と小さく、十分な大きさではなかったのですが、1.6 Åという非常に高い解像度のデータを取ることができました。X線が高輝度で非常に強く、高い平行性を持ったSPring-8でなければ、これほどの高解像度での構造解析は難しかったでしょう」と大戸さんは言います。TLR9とCpG DNAは2対2の比率で結合して、2量体を形成していました。CpG DNAはTLR9の溝にはまり込むことで認識されるというメカニズムも明らかになりました。 

(引用終わり)」

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免疫(4)自然免疫 補体システム

2023-08-08 10:27:54 | 免疫
1.補体システムとは
 補体システムとは、獲得免疫より古くからある自然免疫であり、最近の研究ではサンゴやカブトガニからも補体が見つかっているとのことです。
 補体系は20種類以上のタンパク質やタンパク質断片から成り、それらのタンパク質が組み合わされ連携することで、様々な防御活動を行っています。例えば、補体系のあるタンパク質が他のタンパク質を活性化し、そのタンパク質がまた他のタンパク質を活性化するという連鎖的な反応を行い、最終的には「細胞膜傷害性複合体」という複合体を構成して、細菌や細胞に穴を開けて破壊してしまいます。
 補体系のタンパク質は主に肝臓で合成され、血清グロブリン分画の約5%を占めます。
 補体系の活性化には(発見された順に)、「古典経路」(抗体複合体から反応する)、「副経路」(抗体を介さないで反応する)、「マンノース結合レクチン経路」(病原体の糖タンパク質を認識して反応する)の3つプロセスがあります。

「蛋白分画とは
 血液から細胞成分(赤血球,白血球,血小板)を取り除いたものを血漿とよび,血漿から主にフィブリノゲン(血液を固める働きをもつ蛋白質)を取り除いたものを血清と言います。血清の中の蛋白をおおまかに分類する方法に電気泳動法があり,蛋白質を5つのグループに分けます(アルブミンと,α1,α2,β,γ の4つのグロブリン分画)。
 各分画の基準値(%)と各分画に含まれる主要蛋白は次のようになります(聞き慣れない名前ばかりと思いますが,主なものを列挙しておきます)。
アルブミン分画(62~71%):トランスサイレチン(甲状腺ホルモンを輸送)
                 アルブミン(浸透圧維持・物質の輸送)
グロブリン分画
  α1(2~4%):α1アンチトリプシン(炎症で増加する急性期蛋白)
            α1酸性糖蛋白(炎症で増加する急性期蛋白)
  α2(5~10%):α2マクログロブリン(プラスミンなどの活性抑制)
            セルロプラスミン(銅の輸送に関与。炎症でも上昇)
            ハプトグロビン(ヘモグロビンと結合)
  β(7~11%):β リポ蛋白(脂質輸送)
            トランスフェリン(鉄の輸送)
            C3(補体第3成分,生体防御に関与)
γ(10~20%) 免疫グロブリン(IgG・IgA・IgM)
 アルブミンとグロブリン分画のγ(γグロブリン)で80%近く占めますので,総蛋白濃度に影響を及ぼすのはアルブミンとγグロブリンの変動です。 」


 
「…体表面を突破した病原体に対しては、さまざまな防御ペプチドや防御細胞が関与するより複雑な非特異的防御システムが発動する。

補体
 脊椎動物の血液には30種類程度の抗微生物タンパク質から構成される補体システムが存在する。これらのタンパク質はさまざまな組み合わせで、3種類の防御活動を行う。それぞれの防御活動で、補体系タンパク質は、あるタンパク質が別のタンパク質を活性化し、そのタンパク質がさらに活性化を行うという一連の連続反応、すなわちカスケードを生じさせる。
■最初に補体は病原体に結合して、貪食細胞に的であることを認識させて攻撃しやすくする。
■その後、炎症応答を活性化し、感染部位に貪食細胞を集結させる。
■最終的には、細菌のような侵入してきた細胞を溶解(破裂)させる。

インターフェロン類
貪食細胞
ナチュラルキラー細胞
(引用終わり)」

「Bordet (1895年)は、溶菌現象には抗体以外の易熱性の因子が必要と報告した。Ehrlichはこの因子を補体(complement)と命名した。補体は、血液中に存在する約20種の易熱性のタンパク質からなる複雑な反応系で、溶菌作用、オプソニン作用、貪食細胞の感染部位への集合を促進するなどの機能をもつ。補体系のタンパク質は非動化の条件(56℃,15分)で完全に失活する。 




(引用終わり)」

「…補体蛋白の中で最も重要な働きをするC3は,最近サンゴやカブトガニなどの種々の無脊椎動物で発見されており,補体の起源は,当初考えられていたよりかなり古いことが推定される。原索動物のマボヤにおいてはレクチンを認識分子として機能するレクチン経路の原型の存在が確認されている。この原型をもとに,遺伝子重複とエクソンシャフリングなどを重ね,哺乳類に存在するレクチン経路や古典的経路に進化したものと思われる。補体系の活性化に働くマンノース結合レクチン(mannose-binding lectin;MBL)とフィコリンは,自然免疫において生体に侵入した病原体を非自己と認識するパターン認識分子である。そして,MBLとフィコリンはコラーゲン構造をもち,獲得免疫で働く補体古典的経路のC1q分子とは類縁関係にあると考えられている。」

「①古典経路は体内に侵入してきた細菌や細胞の膜抗原に抗体(IgGやIgM)が結合して免疫複合体を形成すると、補体第1成分(C1)がこの抗体と結合して、C1が活性化されます。活性化したC1は補体C4を活性化し、その後、補体(C2~C8)を次々に活性化します。その結果、最終的に膜上に補体第9成分(C9)の複合体を細胞壁(膜)に埋め込み、細菌や細胞に穴をあけます。

②別経路は古典経路とは異なり、免疫複合体を必要とせず、補体第3成分(C3)が少しずつ加水分解を受け(C3H2O)、血液中のB因子と結合します。B因子と結合したC3H2Oは大量のC3を活性化(C3b)します。このC3bが病原体の細胞壁に結合すると順次補体の活性化が進み、古典経路と同じように最終的にC9の複合体を形成して、細胞壁に穴をあけます。

 ③レクチン経路は3種の補体活性化経路のうち、最も新しく発見された経路です。高校生には耳慣れないレクチンという言葉ですが、レクチンとは糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称です。したがって、レクチン経路は病原体の細胞壁の特徴的な糖鎖構造を認識することに始まる補体活性化経路です。すなわち、病原体の細胞壁のマンノースを血液中に存在するマンノース結合レクチン(MBL)という物質が認識して結合すると、MBLと結合したMBL結合セリンプロテアーゼ(MASP)という酵素が活性化されます。この活性化したMASPが補体第4因子(C4)を活性化し、順次補体を活性化して、最終的に、他の補体活性化経路と同様にC9の複合体で細胞壁に穴をあけます。」

2.補体系の役割 
 補体系の役割としては、大まかに以下のような三つの働きがあります。
(1)抗原のオプソニン化
 「オプソニン化」とは、微生物などの抗原に「抗体」や「補体」が結合して、抗原が食細胞に取り込まれやすくすることをいいます。食細胞に結合して食作用をしやすくする血清因子のことを「オプソニン」といい、補体のC3bや抗体のIgG(免疫グロブリンG)などがそれに該当します。一次感染では「補体」がオプソニン化の中心になり、抗体ができている二次感染ではIgGがオプソニン化の中心になります。 

(2)膜侵襲複合体による細菌の破壊
 補体系のタンパク質は、通常は血液中を不活性な酵素前駆体の形で循環しています。異物(細菌など)の侵入により刺激を受けると、補体系のタンパク質は活性化して、サイトカイン(低分子タンパク質で情報伝達物質で警戒情報)を放出したり、さらに他のタンパク質と連携して連鎖反応を押し進めるようになります。この連鎖が進むと、最終的には補体複合体「膜侵襲複合体(細胞膜傷害性複合体」ができて、それが細菌や細胞に穴を開け破壊します。

(3)マクロファージ等への走化性刺激
 補体系からの警戒情報(サイトカインの放出)により、マクロファージなどの食細胞が呼び寄せられます。マクロファージなどは警戒情報を得ると、仮足というタンパク質の繊維状のもので、その発出場所に移動するようです(アメーバ運動)。

「補体(ほたい、英: complement)とは、生体が病原体を排除する際に抗体および貪食細胞を補助するという意味で命名された免疫系(補体系)を構成するタンパク質であり、補体系の役割は大きく言って下記の3つから構成されるものである。
  1. 抗原のオプソニン化
  2. 膜侵襲複合体による細菌の破壊
  3. マクロファージ等への走化性刺激
の3つである。
「補体」という名だが、進化の歴史においては、獲得免疫よりも補体の確立のほうが古い。
 補体系は自然免疫に属しており、獲得免疫系のように変化することはない。
 補体系は血液中の多数の小タンパク質からなり、それらは通常不活性な酵素前駆体の形で循環している。いくつかのトリガーの1つによって刺激を受けると系のタンパク質分解酵素が特定のタンパク質の分解反応を行い、サイトカインの放出を誘導し、さらに分解反応が進むようにカスケードの増幅を始める。この活性カスケードの最終結果は反応の大規模な増幅であり、細胞殺傷性の膜侵襲複合体(細胞膜傷害性複合体、MAC, membrane attack complex)の活性化である。補体系は20以上のタンパク質とタンパク質断片からなる。その中には、血清タンパク質、漿膜タンパク質、細胞膜レセプターを含む。これらのタンパク質は主に肝臓で合成され、血清のグロブリン分画の約5%を占める。
補体系の活性化には3つの生化学的プロセスがある:古典経路、副経路、マンノース結合レクチン経路である。
…補体(ほたい)とは免疫反応を媒介する血中タンパク質の一群で、動物血液中に含まれる。抗体が体内に侵入してきた細菌などの微生物に結合すると、補体は抗体により活性化され、そして細菌の細胞膜を壊すなどして生体防御に働く。補体は易熱性であり、56℃、30分の処理で失活する(非働化)。
  補体と呼ばれるタンパク群には複数のタンパクがあり、英語で補体を表す "complement" の頭文字をとってC1からC9で表される。C1にはさらにC1q、C1r、C1sという3種の分子の複合体であり、その他はC5a、C5bといったような複数の分子に分解される。これらのタンパク質群が連鎖的に活性化して免疫反応の一翼を担う。
 さらに、C1からC9の補体タンパク質以外にB因子、D因子などを含めた16種類のタンパク質、液性(血液中にある)の5つの調節因子(I因子、H因子、C4Bp、C1抑制因子、properdin)、細胞膜上の4種類の調節因子(CR1、CR2、membrane cofactor protein、decay accelerating factor)などのタンパク質も補体の機能の発現・調節に関与しており、これらを総称して補体系と呼ぶ。

古典的経路
 古典(的)経路とは、C1の活性化に始まる経路のことである。体液性免疫の抗体抗原複合体に補体C1が結合することでC1が活性化する。以降も基本的に数字順に活性化するが、C4は例外的に2番目に来る。『C1→C4→C2→C3b→C5b』まで活性化され、あとはC5bにC6以降が次々と結合、最終的にC5b6789にまでなる。
 C5b6789は『細胞膜傷害性複合体』あるいは膜侵襲複合体(英: membrane-attack complex、MAC)といわれ、細菌の表面に取り付き細胞膜を破壊する。この働きを免疫溶菌反応、または免疫溶菌現象という。細菌の感染に対して好中球の貪食と並び重要な機構である。

副経路
 C3は一部の細菌に対しては抗体を介さず直接その表面に結合し、いきなりC3a、C3b活性化(→以下は古典経路と同じ)の経路をとる。この経路を副経路あるいは第2経路という。

…補体系は宿主細胞にきわめて強力な傷害作用を与える可能性がある。このことは活性化が強力に制御されていることを意味する。補体系は補体制御因子(補体制御タンパク質)によって制御されている。これらは血液の血漿に補体タンパク質以上に高濃度で含まれており、補体制御因子の中には、細胞が補体のターゲットとならないよう、細胞の膜表面に存在するものもある。CD59はMAC形成時にC9の重合を阻害する。CD46(MCP)はC3bとC4bを分解する。DAFはC3の活性化を阻止する。補体制御因子は、異種移植において注目されている。ブタにヒトの補体制御因子を組み込むことで、ブタからヒトへの臓器移植時の拒絶反応が軽減される。 

…補体系は他の免疫性要素とともに多くの病気の原因となっていると考えられている。例を挙げるとBarraquer-Simons症候群、喘息、紅斑性狼瘡、糸球体腎炎、様々な関節炎、自己免疫性心臓病、多発性硬化症、炎症性大腸炎、虚血再灌流障害等である。アルツハイマー病やその他の神経変性病態を示す中枢神経系の病気にも、補体系が関与しているのではないかという疑いは次第に高まっている。
 経路の最終段階のところの欠損によって自己免疫病と感染症の両方に罹りやすくなる場合もある(特にナイセリア髄膜炎ではC56789複合体がグラム陰性菌を攻撃する際の役割に原因があって)。
 補体制御因子のH因子と補体調節蛋白の突然変異は非典型的溶血性尿毒症症候群に関係がある。さらにH因子によく見られる単一ヌクレオチド多型(Y402H)は眼の習慣病の年齢に関連した黄斑変性症と相関がある。両病気とも、最近の知見では宿主の表面での補体の異常活性に原因がある。

感染症による変調
 最近の研究によってHIV/AIDSにおいて、補体系が操作され患者の身体にいっそうの傷害を与えていることが示唆されている。」

「オプソニン化(オプソニンか、opsonization)とは微生物などの抗原に抗体や補体が結合することにより抗原が食細胞に取り込まれやすくなる現象。オプソニン作用とも呼ばれる。食細胞に結合して食作用を受けやすくする血清因子をオプソニンと呼ぶ。オプソニンとして働く主な分子として、補体のC3bと抗体のIgG(免疫グロブリンG)があるが、一次感染では補体がオプソニン化の中心となり、すでに抗体ができあがっている二次感染ではIgGがオプソニン化の中心となる。 」

「膜侵襲複合体(まくしんしゅうふくごうたい、英:Membrane-Attack Complex :MAC)または終末補体複合体(しゅうまつほたいふくごうたい)、細胞膜傷害性複合体(さいぼうまくしょうがいせいふくごうたい)は、蛋白質から成る複合体。ふつう宿主の補体系の活性化により病原体の細胞膜表面、特にC3活性化部位の付近に形成され、標的細胞の細胞膜に膜貫通孔を導くことで脂質二重膜を破壊し、それらを溶菌や細胞死に至らせる免疫系の作用因子(エフェクター)として働く。」

「走化性(そうかせい、英:chemotaxis)とは、生物体(単一の細胞や多細胞の生物体を問わず、細胞や細菌など)の周囲に存在する特定の化学物質の濃度勾配に対して方向性を持った行動を起こす現象のことであり、化学走性(かがくそうせい)ともいう 」
…真核生物の化学走性機構は細菌のそれとはまったく異なっているが、化学物質の濃度勾配を感知することが決定的に重要である点は同様である。 
…受容体や細胞内シグナル伝達経路、効果器メカニズムの進化の違いが、すべて多様な真核生物の化学走性機構にかかわっている。真核単細胞生物ではアメーバ運動と繊毛(あるいは真核生物鞭毛)が主な効果器である(たとえばアメーバやテトラヒメナ)。より進化した脊椎動物由来の真核細胞の中にも、免疫細胞のように必要とされる場所へ移動するものがある。免疫担当細胞(顆粒球、単球、リンパ球)以外にも、従来は組織中に固定されていると考えられていた多くの細胞が特定の生理的(正常な)条件下(肥満細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞)や病理学的(病的な)条件下(転移など)で移動することがわかっている。 
…細菌の走化性とは対照的に、真核細胞が移動するメカニズムは解明が不十分である。外部からの走化性濃度勾配を感知する機構が存在するらしく、それが細胞内のホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)という物質の濃度勾配となり、シグナル伝達によって最終的にアクチンフィラメントの重合が起きる。アクチンフィラメントの+端(成長する側、アクチンの項を参照)は様々なペプチドを通じて細胞膜の内側と連結し、仮足を形成する。PIP3の産生がDOCK2と呼ばれるタンパク質の細胞膜への集積を起こし、さらにホスファチジン酸というリン脂質が産生されDOCK2と結合することで仮足形成が効率的に進むことが明らかになっている。 真核細胞の繊毛も化学走性を起こす。この場合は主にCa2+(カルシウムイオン)依存性に、基底小体と9+2構造の微小管からなるシステムが繊毛運動を誘導される。数百に及ぶ繊毛が、基底小体相互間に作られた細胞膜下のシステムによって協調運動を行うが、シグナル伝達経路の全容は未解明である。」

「仮足は、鞭毛や繊毛と並ぶ、原生生物の3つの移動様式の1つを担う。このような仮足による運動をアメーバ運動と呼ぶ。このとき細胞の運動方向を決定するものを主仮足、それ以外のものを副仮足(亜仮足)と呼び、副仮足はさらに長さに制限がない非限定仮足(indeterminate pseudopod)と長さが決まっている限定仮足(determinate pseudopod)とに区別される。
 多細胞動物においても、マクロファージやニューロンを始めとする遊走性細胞の多くは仮足によって運動する。創傷治癒の過程では成長因子の刺激を受けた繊維芽細胞が糸状仮足(フィロポディア、filopodium)を出して活性化し、損傷部位に移動して増殖することで傷を埋める。神経軸索や樹状突起の先端にある成長円錐からも、膜状仮足(または葉状仮足、ラメリポディア、lamellipodium)や糸状仮足が出て軸索伸長に関わっていると考えられている。ガン細胞の浸潤も膜状仮足の働きによることが知られている。
 また仮足によって固形物を包みこんで細胞内に取り入れる現象を食作用といい、様々な原生生物で見られるほか、多細胞生物でもマクロファージのような細胞が食作用を行う。」

3.コロナワクチンの「抗体依存性感染増強(ADE)」との関係
 補体系はその免疫反応が過剰になると、多くの病気の原因になるとも考えられています。例えば喘息、糸球体腎炎、様々な関節炎、多発性硬化症、炎症性大腸炎などです。またアルツハイマー病やその他の中枢神経系の病気にも、補体系が関与しているのではないかと見られているようです。
 さらに、今回のコロナワクチンでも補体による過剰な免疫反応により「抗体依存性感染増強(ADE)」になるのではないかと懸念されています。

「(2)サイトカインストーム(炎症反応)
 コロナ(スパイクタンパク質)抗体とコロナウイルス(スパイクタンパク質)が結合した抗原抗体複合体により、補体が活性化され抗体抗原複合体が攻撃されます。またこの抗原抗体複合体がマクロファージなどFc受容体をもっている細胞とさらに結合すると、サイトカインが過剰に分泌されて炎症反応を引き起こすことがあります。それが続くとサイトカインストームとなり次から次へと炎症が起こり、慢性炎症につながることもあるようです。慢性炎症になると、細胞が壊れて線維化していき、臓器は機能不全になるようです。」

 
  「…やっかいなことにコロナウイルスではACE2を介さずに感染するFc受容体依存性感染が起こり得ます。
 ウイルスに結合した抗体が、マクロファージなど免疫細胞の表面にあるFc受容体に結合すると、細胞内にウイルスが侵入します。免疫細胞がもつエンドサイトーシスという細胞外の物質を取り込む作用を利用しています。そうして取り込まれたウイルスが免疫細胞で増殖するとADEが起こります。
…スパイクタンパク質やウイルス、そして特異抗体(特定の抗原に特異的に結合する抗体)がたくさんあるとどのようなことが起きるかというと、抗体を介してスパイクタンパク質やウイルスが結合し合って、団子状態になります。これを抗原抗体複合体と呼びます。
 このようにして抗体と新型コロナウイルス(またはスパイクタンパク質)が集まった抗体抗原複合体が形成されると、そこに補体という物質が集まってきて補体自身が活性化されます。活性化した補体は抗原抗原複合体にある細胞膜に穴をあけて壊します。また、抗原抗体複合体がマクロファージなどFc受容体をもっている細胞と結合すると、サイトカインが過剰に分泌され、高熱や激しい炎症反応を起こすことがあります。最悪の場合、サイトカインストーム(サイトカインの大量産生による障害)を引き起こす可能性も出てきます。(『ウイルス学者の絶望』より引用終わり)」

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免疫(3)自然免疫 化学バリア 唾液、抗菌ペプチド

2023-08-02 10:22:52 | 免疫
自然免疫
2.化学バリア
(1)唾液
 唾液はリゾチーム、ペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどを含み、抗菌機能を有しています。
 リゾチームは真正細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンを加水分解します。かつて塩化リゾチームは風邪薬にも配合されていたようですが、有効性が確認できないとして2016年に販売中止しているそうです。(唾液の成分でもあるリゾチームが風邪薬として堂々と売られていた?)
 ペルオキシダーゼは、過酸化水素を無害な水に分解したりして、酸化ストレスを解消したりしているようです。
 ラクトフェリンは、細菌の必須ミネラルの鉄を奪って抑制したり、細菌の細胞膜・細胞壁を脆弱化したりする機能があるようです。母乳の初乳には、ラクトフェリンが多く含まれ、免疫系が未熟な新生児を守っています。またラクトフェリンはC型肝炎ウイルス(HCV)のエンベロープに結合することで浸入を阻害しています。
 免疫グロブリンは抗体(獲得免疫)です。唾液に含まれるのはIgAのタイプのものです。
 唾を傷口に付けたりするのは、一定の効果はあるようです。猫がよく体中を舐めていますが、抗菌的な作用もあるのでしょうか。なお、傷口を舐めるのは、微生物の感染の可能性があるので避けた方がよいようです。
 汗腺が発達してない動物では、唾液で体温調節を行っているようです。犬が暑い時は涎だらけになっているのも体温調節のためということらしいです。

「唾液(だえき、saliva)は、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液である。水、電解質、粘液、多くの種類の酵素からなる。ヒトでは、正常なら1日に1-1.5リットル程度(安静時唾液で700-800ミリリットル程度)分泌される。成分の99.5%が水分であり、無機質と有機質が残りの約半分ずつを占める。
 デンプンをマルトース(麦芽糖)へと分解するアミラーゼを含む消化液として知られる他、口腔粘膜の保護や洗浄、殺菌、抗菌、排泄などの作用を行う。
また緩衝液としてpHが急激に低下しないように働くことで、う蝕(虫歯)の予防も行っている。
…イヌなどの汗腺の少ない、もしくは他の汗腺を持たない動物(鳥や爬虫類など)では、汗腺を持つ動物が汗で体温調節を行うのと同様に唾液で体温調節を行っている。(汗腺を持つ動物でもこの作用は持つ。)
 牛は1日に約100リットルもの唾液を分泌する。」

「抗菌
リゾチーム、ペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、ラクトフェリンなどを含む唾液は、口内に侵入した細菌の活動を抑えています。自浄作用とともに細菌の繁殖を阻害する重要なはたらきです。」
(免疫グロブリンは抗体(獲得免疫)です)

「リゾチーム(英語名: Lysozyme、別名: ムラミダーゼ)とは、糖質加水分解酵素ファミリー22に分類される酵素であり、真正細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンを加水分解する機能を持つ。具体的には、ペプチドグリカンを構成するN-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンとの間に形成されるβ-(1→4)グリコシド結合を加水分解する。
…食品添加物としては日持ちを向上させるために用いられる。特にグリシンと併用したり有機酸によりpHを調整することで効果が高まることから、卵白リゾチーム-グリシン-有機酸を組み合わせた製剤の形で食品メーカー向けに流通している。 
…塩化リゾチーム(リゾチーム塩酸塩)は、グリコサミノグリカンを分解する作用があるとして日本でも医薬品として主に風邪薬、副鼻腔炎向けなどに広く用いられていたが、有効性が確認できないとして製造販売を行っていた各社は、2016年3月販売中止と回収を発表した。 」

「ペルオキシダーゼ は、ペルオキシド構造を酸化的に切断して2つのヒドロキシル基に分解する酵素である。
…ミトコンドリアの電子伝達系では、スーパーオキシドアニオン(O2-)などの活性酸素種が常に発生している。活性酸素は生体分子を破壊し有害であるため、防御機構が存在する。スーパーオキシドアニオンは、まずスーパーオキシドディスムターゼ(SOD) によって過酸化水素に変換され、ペルオキシダーゼによって無害な水に分解される。
 機構の詳細は分かっていないが、ペルオキシダーゼは植物の感染防御に関与している。
 グルタチオンペルオキシダーゼはセレノシステインを含む酵素である。グルタチオンを電子供与体として用い、過酸化水素だけでなく有機過酸化物にも作用し、酸化ストレスから生体を守っている。」

「ラクトフェリン(別名:ラクトトランスフェリン)は、母乳・涙・汗・唾液などの外分泌液中に含まれる鉄結合性の糖タンパク質である。
…ラクトフェリンは、強力な抗菌活性を持つことが知られている。グラム陽性・グラム陰性に関係なく多くの細菌は、生育に鉄が必要である。トランスフェリンと同様、ラクトフェリンは鉄を奪い去ることで、細菌の増殖を抑制する。
…この鉄依存性のメカニズムとは別に、ラクトフェリンはグラム陰性菌の細胞膜の主要な構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)と結合することで、細胞膜構造を脆弱化し、抗菌活性を示す 。また、ラクトフェリンは緑膿菌によるバイオフィルムの形成を阻害する。ラクトフェリンをペプシンで分解した部分ペプチドであるラクトフェリシンは、細菌の細胞壁に傷害を与えることで、ラクトフェリンよりも10倍以上強力な抗菌活性を示す。 母乳の中でも、とりわけ出産後数日間に分泌される初乳にはラクトフェリンが多く含まれている。授乳により免疫グロブリンやラクトペルオキシダーゼなどと共に、母体からラクトフェリンが新生児に取り込まれる。ラクトフェリンはこれらの因子と共同で、免疫系が未熟な新生児を外敵から防御していると考えられる。
…ラクトフェリンはC型肝炎ウイルス(HCV)のエンベロープに結合することで、標的細胞への浸入を阻害する。」

(2)抗菌ペプチド
 抗菌ペプチドとは、十から数十個のアミノ酸からなるタンパク質(アミノ酸の数が少ないものをペプチドという)であり、あらゆる生物が持っている生体防御の物質です。
 1987年にアフリカツメガエルの粘膜から発見されてから、今まで約3000種類(動物起源が2248種類、植物起源が344種類,微生物起源が366種類)の抗菌ペプチドが見つかっているようです。
 抗菌ペプチドは主に細胞壁(細菌にはあり、動物にはない(細胞膜しかない))を直接攻撃することで殺菌するようです。抗菌ペプチドは抗生物質のように耐性菌を作り難いので、抗生物質に代わる抗菌薬としても注目されています。
 また抗菌ペプチドは免疫調整剤の機能もあることが分かっているようです。未だにどのような機能があるのかは分からないようです(研究中)のようです。
 なお抗菌薬のうち細菌(バクテリア)が産出する抗菌物資(他の細菌を攻撃する武器)を特に抗生物質といいます。ヒトは細菌同士が戦う武器(抗生物質)を借用して医薬品として利用しています。そのため世界中の土壌に生息してる細菌を探しまくっているようです。
  
「抗菌ペプチドとは、名前から想像できるように「菌に抗(あらが)うペプチド」のことを指します。抗菌ペプチドは、タンパク質の最小単位であるアミノ酸が約十~数十個連なって形成されており、我々ヒトを含めた哺乳類や植物、昆虫などあらゆる多細胞生物に菌と戦うための生体防御の機能として備わっている物質です。ペニシリンに代表される抗生物質が菌のDNA合成を阻害したり、タンパク質の生成を阻害したりするのに対し、抗菌ペプチドは菌の細胞膜を直接攻撃することで殺菌作用を発揮します。その作用は、抗生物質のような耐性菌を生み出しにくいことから、有用性が着目されています。
 ヒトでは、外部と接触する皮膚や口腔、消化器、泌尿器など、ありとあらゆる部位で抗菌ペプチドが産生されており、菌の増殖を抑制することで生体と菌との共生関係の維持に大いに関係しています。抗菌ペプチドの減少や欠如が疾患と関係する事例もあることから、抗菌ペプチドが生体防御にとっていかに重要であるかがわかります。 」

「The Antimicrobial Peptide Database(http://aps.unmc.edu/AP/)には,2018年12月現在で約3,000種類の抗菌ペプチドが登録されている.これらの抗菌ペプチドは,動物起源が2,248種類,植物起源が344種類,微生物起源が366種類(バクテリオシンを含む),およびその他となっている.また,これらの抗菌ペプチドが有する抗酸化,プロテアーゼ阻害,抗炎症,創傷治癒促進(血管新生,細胞遊走,細胞増殖が促進されて傷がはやく治癒すること)などの生理活性も,このデータベースを用いて検索することができる.すなわち,多くの抗菌ペプチドは,複数の生理活性を兼ね備えていることが明らかになっている. 
…1987年にアフリカツメガエルの粘膜からmagainin 2が発見され,1996年にアジアヒキガエルの胃組織からbuforin 2が見いだされた.前者は細胞膜破壊型の作用機序を有する抗菌ペプチドであり,後者は細胞膜通過型の抗菌ペプチドである.その後,多くの生物から抗菌ペプチドが発見され,それらの構造と機能が解析された.抗菌ペプチドは,それらの構造から,主にβ-sheet, α-helical, loop,およびextendedの4種類のタイプに分類され,その多くは分子中に塩基性アミノ酸(アルギニン,リジン)を多く含んでおり,負に帯電した細胞膜と静電的相互作用によって結合する.これらの抗菌ペプチドは,細胞膜の損傷・破壊作用によって殺菌効果を示す場合とタンパク質合成システムや特定の酵素などを阻害することによって殺菌効果を示す場合が報告されているが,特に後者の場合の作用機序は未解明な部分が多い.」 

「かつて、カエルの皮膚の切開手術をしていた科学者がいました。彼は、傷口に特別な処置をしないままカエルを飼育水中に戻しても、元気に生き続けることを経験的に知っていました(筆者も同じ頃、同じことに気付いていました)。ある時、その科学者はこのことを不思議に思い、ひょっとしたらカエルの皮膚には細菌の感染を抑制する物質が存在するのではないかという考えを持ちました(筆者も同じことを思いました)。そして彼は、ゼノパスの皮膚からMagaininという抗菌性を有する物質を、ペプチドとして単離することに成功しました。抗菌活性を有するペプチドが初めて単離された瞬間でした。
…抗菌ペプチドの発見が何ゆえエキサイティングであるかというと、抗菌活性がペプチドの構造に由来するものであり、広い範囲の微生物に作用する点にあります。これが、ピンポイントで効く抗生物質と大きく異なる点です。私たち哺乳動物は異物の侵入に対し働く免疫系がよく発達していますが、カエルではあまり発達していません。まして我々と同じような免疫系をもたない生物もたくさんいます。このような生物では我が身を守る手段として、抗菌ペプチドが重要な役割を果たしています。
 平たくいうと、抗菌ペプチドはカエルの体外に分泌されるとバネのようならせん状構造になり、またプラスの電荷を帯びます。ターゲットである微生物の細胞膜はマイナスに荷電しているので、両者は引き合います。加えて、これらのペプチドやタンパク質中に見られるらせん構造は、細胞膜中の脂質と馴染み、膜を突き抜け易い、という化学的な性質があるので、その結果、抗菌ペプチドが大量に集積した部分では、微生物の細胞膜に穴があく、というわけです。 」

「抗微生物ペプチド(こうびせいぶつペプチド;宿主防御ペプチド[しゅくしゅぼうぎょペプチド]とも呼ばれる)は、進化的に保存された自然免疫反応の1種として機能するペプチドの総称であり、あらゆる種類の生命で認められる。
 原核生物と真核生物の細胞には基本的な違いがあり、それは抗微生物ペプチドの標的の違いを表しているのかもしれない。これらのペプチドは薬効を持ち、広いスペクトルをもつ抗生物質であり、新規治療薬としての可能性を示している。抗微生物ペプチドはグラム陰性およびグラム陽性細菌(通常の抗生物質に耐性のある種を含む)、マイコバクテリウム属 (結核菌を含む)、エンベロープを持つウイルス、真菌、および濃度によっては哺乳類細胞でさえ殺すことが示されている。通常の抗生物質の多くとは異なり、抗微生物ペプチドは 免疫調節薬として機能することで免疫力を高めることができるようにみえる。


「抗微生物タンパク質は,早くから抗菌剤としての利用が見込まれ,その利用に関する研究も進められてきた.ことに薬剤耐性菌対策は喫緊の課題である.WHOによれば,現在薬剤耐性細菌の感染症により年間70万人が死亡しており,今後有効な抗菌剤が開発されなければ2050年には死者が年間1000万人に増加すると予想されている.抗微生物タンパク質は既存の抗生物質とは異なる作用機構をもち,薬剤耐性菌に対しても効果を示すことが多く,抗微生物タンパク質に対する耐性菌は生じにくいと考えられている.また,多くの抗微生物タンパク質がLPS中和によるTNF-α発現の抑制,種々の免疫細胞の走化,活性化,関連遺伝子の活性化などの免疫調整作用をもち,感染抑制や創傷治癒を促進する機能をもつことも大きなメリットと考えられる.また,バイオフィルム形成阻害活性や,一部のがん細胞に対する選択的な効果も見られる.このため,抗微生物タンパク質をリード化合物とした新規薬剤開発に期待が集まっている.オリジナルの抗微生物タンパク質を改変し,抗原性を減らすための低分子化や,活性や安定性を強化するための構造変換が行われ,これまでに多くの抗微生物ペプチドが臨床試験に進んでおり,実用化に向けた研究が続けられている. 」
 
「抗生物質(こうせいぶっしつ、英語: antibiotic)は、微生物が産生する、他の微生物や細胞に作用してその発育などを抑制する作用を持つ物質のことである。これまでに200種類以上の抗生物質が細菌感染症の治療と予防に広く使用されている。また、抗生物質の抗菌作用を利用した薬剤の総称として抗生剤と呼ばれることもある。抗生物質は細菌に対して作用する抗菌薬として使用されるのみならず、真菌や寄生虫、腫瘍に対して用いられることもある。
…抗生物質を合成の観点から捉えると、抗生物質は放線菌などの微生物が、生存に必須な一次代謝産物を基に合成する二次代謝産物である。これまでに臨床的に使用されてきた抗生物質の約60%は放線菌に由来し、抗生物質は土壌から抗生物質を産生する放線菌のような微生物を分離することで発見されてきた。ほとんどの抗生物質は化学的に合成することが困難な構造を持つため、その生産は発酵によって成し遂げられる。また、発酵により産生した抗生物質はさらに化学的な修飾を加えることで、半合成の抗生物質として用いられることもある。このように生産された抗生物質はヒトの医療用途で治療・予防に使用されるほか、動物や植物に対して使用されることもある。
…1928年9月3日のフレミングによるペニシリンの発見は一つの失敗を機に成されたものであり、セレンディピティとしても知られる。フレミングは休日を終えて当時の職場であるセント・メアリーズ病院に出勤し、実験台で培養していたペトリ皿のブドウ球菌にカビがコンタミしていることに気づく。この時、フレミングはコンタミしたカビが周囲の細菌の増殖を抑制している様子を観察し、この増殖抑制がアオカビの産生する物質によるものであることと、その物質をペニシリンと名付けたことを論文として投稿した。その後オックスフォード大学のハワード・フローリーとエルンスト・ボリス・チェーンらの研究により大量生産が可能になると、フローリーらはペニシリンの臨床試験を1941年から1942年にかけて実施する。この臨床試験でペニシリンは何ら副作用を示さずに絶大な効果を発揮した。 
…抗生物質の分類は、化学構造からの分類と作用による分類の2つがある。前者は新しい抗生物質の分類ができず、後者では作用機序が厳密に調べられていない抗生物質が分類できないことがある。従って両者を考慮した分類が理想的とされる。
 化学構造からの分類では、β-ラクタム系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ペプチド系、核酸系、ポリエン系などに大別されるが、さらに細かくペニシリン系、セフェム系、モノバクタム系を加える場合もある。
 作用からの分類では、抗細菌性、抗カビ(真菌)性、抗腫瘍性などに分けられる。用途を重視する場合は、医療用、動物用、農業用などで分類される。作用域から、広範囲・狭域で区分される事もある。作用機序から、細胞壁作用性などの呼称もある。
…細菌に対する作用機序による抗菌薬の分類の一例としては、細胞壁合成阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸合成阻害薬の3つに大きく分けるものがある。また、葉酸代謝阻害薬を加えて4つに分類することもある。



 
【1928年にフレミングが青カビの培養液から、その周囲の雑菌の生育を強く阻害する物質を発見してから、1938年にその成分(ペニシリン)が取り出されるのに成功し、1941年にペニシリンの感染症への治療実験が始められ、驚異的な成功が収められました。
 しかし、その後にペニシリンに対する耐性菌が現れ、ヒトが新たにその耐性菌を殺菌する抗生物質を開発(新たに発見)しても、すぐに新たな抗生物質にも耐性菌ができてしまうといういたちごっこが起きています。細菌対ヒトの戦いは続いており、耐性菌の問題は喫緊の課題となっています。】





 








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免疫(2)自然免疫 物理バリア ケラチン、クチクラ、粘膜など

2023-07-30 14:37:05 | 免疫
自然免疫の仕組み
1.物理バリア
(1)角質(硬タンパク質、ケラチン)
 脊椎動物(両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)の外表面は、細胞骨格の材料であるタンパク質のケラチンが蓄積・死滅(角質化)して、強靭な物理的バリアとなっています。鳥の嘴や魚の鱗、牛の角などもこの角質化による硬質ケラチンでできています。
 角質化したケラチン(硬質ケラチン)は、水など多くの中性溶媒に不溶であり、またタンパク質分解酵素の作用も受けにくいようです。その強靭性は、ケラチンのアミノ酸にシスチンの含有量が高いため、そのジスルフィド結合(S-S結合)による網目状の結合によるものです。髪の毛や爪を燃やした時に、腐卵臭がしますが、それはシスチンの成分の硫黄のためのようです。

「角質(かくしつ)とは、硬タンパク質の一種であるケラチンの別称。皮膚バリア機能を担う角質からなる構造は、角層、または角質層、または角質細胞層と呼ばれる。
 ケラチン自体は上皮細胞の中間径フィラメントを構成するタンパク質であるため、動物の外胚葉、内胚葉を問わず上皮細胞に普遍的に見られる。脊椎動物の四足類、つまり両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類では表皮細胞が内部にこれを蓄積して死滅し、角質化という現象を引き起こすことで、強靭な集合体を形成する。これらの動物では皮膚の表皮の角質化が特に著しくなって形成された強固な器官を持つことが多い。たとえば鳥類やカメなどのくちばし、爬虫類や魚類などの表皮由来の鱗、哺乳類の角の中でもウシ科にみられるような洞角の角鞘の部分や、サイの角の全体は角質からなる。
 皮膚の特に表皮は皮膚バリア機能を果たしており、特に表皮がバリアとなり、表皮の最も外側では角質細胞層(角質層、角層とも)を強く構成している。角質層は、レンガに例えられる角質細胞と、セメントに例えられる細胞間脂質でできた壁のようなものでラメラ構造となっており、皮膚バリア機能は角質層の完全性によって保たれている。」

「ケラチン(独、英: Keratin)とは、細胞骨格を構成するタンパク質の一つ。細胞骨格には太い方から順に、微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメントと3種類あるが、このうち、上皮細胞の中間径フィラメントを構成するタンパク質がケラチンである。
 毛、爪等のほか、洞角、爬虫類や鳥類の鱗、嘴などといった角質組織において、上皮細胞は硬質ケラチンと呼ばれる特殊なケラチンから成る中間径繊維で満たされて死に、硬化する。硬質ケラチンは水をはじめとして多くの中性溶媒に不溶で、タンパク質分解酵素の作用も受けにくい性質を持っている。これは、ケラチンの特徴であるシスチン含有量の高い(羊毛で約11%)アミノ酸組成に起因している。ペプチド鎖(多数のアミノ酸が鎖状に結合したケラチンの主構造)はシスチンに由来する多くのジスルフィド結合(S-S結合)で網目状に結ばれている。なお、髪の毛や爪を燃やした際、不快な臭いが発生するのはこの硫黄分に起因する。
 粘膜などの角質化しない上皮細胞においてもケラチンは中間径繊維の構成タンパク質として重要な役割を果たしており、上皮組織のシート状構造はケラチン繊維によって機械的強度を保っている。」

「中間径フィラメント(ちゅうかんけいフィラメント、英: intermediate filament)は、細胞骨格を構成するフィラメントの一つであり、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの中間の太さ(約10nm)であることからこの名がついた。引っ張りに強く細胞に構造強度を与える。デスモソームを介して他の細胞との結合を形成し、組織強度を高めている。ほかに核膜の補強として核を囲む糞状の構造(核ラミナ)をなしている。細胞骨格の3つのフィラメントの中で最も丈夫で溶けにくい繊維である。
 中間径フィラメントには、ケラチンフィラメント、ニューロフィラメント、デスミン、ビメンチン、神経膠細線維性酸性蛋白質(GFAP)などがあり、細胞の種類によって、どの中間径フィラメントを持つかが決まっている(=細胞特異性がある)。」

(2)クチクラ、キチン
 植物の葉や甲虫の外骨格、卵の殻の表面(ザラザラした部分)、哺乳類の毛の表面などには、クチクラという「ワックス」や「クチン(ポリエステルのような高分子)」、「キチン質(多糖類)」で構成された膜があり、物理的バリアになっています。
 なおスーパーで売っている卵はお湯で殺菌洗浄しているので、クチクラ層が剥がれてツルツルになっています。
 キチン質(多糖類)は、節足動物や甲殻類の外骨格(外皮)・軟体動物の殻皮を覆うクチクラや、真菌類(カビ・キノコなど)の細胞壁などの主成分です。

「クチクラ(ラテン語: Cuticula)は、表皮を構成する細胞がその外側に分泌することで生じる、丈夫な膜である。さまざまな生物において、体表を保護する役割を果たしている。人間を含む哺乳類の毛の表面にも存在する。英語でキューティクル(Cuticle)、日本語で角皮ともいう。
 昆虫(特に甲虫)をはじめとする節足動物の場合、クチクラは外骨格を構成するうえ、軟体動物の殻や卵の表面を覆うザラザラした生体物質である。甲殻類ではキチン質という多糖類が主成分で蝋なども含有されている。
植物においては、表皮の外側を覆う透明な膜で、蝋を主成分とする。特に乾燥地や海岸の植物の葉ではよく発達する。また、いわゆる照葉樹林というのは、それを構成する樹木の葉でクチクラ層が発達し、表面が照って見えることに由来する。」

「クチン (Cutin) は、植物の地上部分の表面全てを覆う蝋であるクチクラを構成する主な2種類のポリマーのうちの1つである。もう1つはクタンであり、より化石としての保存性が良い。クチンはオメガヒドロキシ酸とその誘導体から構成され、それらはエステル結合で中間サイズのポリエステルポリマーを形成している。 」

「ワックスエステル(Wax ester)とは、蝋(ワックス)の化学的な表記。
炭素数10から12以上の長鎖脂肪酸と、同じく8以上の脂肪族アルコールがエステル結合した、長い鎖状の分子構造を持つ。
 栄養学的な脂肪、つまり長鎖脂肪酸が3価アルコールのグリセリンにエステル結合したトリアシルグリセロールと異なり、ヒトは消化できず油脂瀉下を引き起こすことがある一方、皮脂腺で作られる脂質の主成分でもある。」

「キチン (chitin) は直鎖型の含窒素多糖高分子で、ムコ多糖の一種。ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミンのこと。語源は古代ギリシアの衣服であったキトン(chiton)に由来し、「包むもの」を意味する。
 節足動物や甲殻類の外骨格すなわち外皮、軟体動物の殻皮の表面といった多くの無脊椎動物の体表を覆うクチクラや、カビ・キノコなど真菌類の細胞壁などの主成分である。
 このように天然物であるキチンはN-アセチルグルコサミンだけでなく、グルコサミンをも構成成分とする多糖であり、N-アセチルグルコサミンとグルコサミンの比はおよそ9:1といわれている。キチンは天然物であるが故に、その比は由来によって大きく異なるものと考えられるが、N-アセチルグルコサミンだけで構成されるキチンは存在しないと考えられる。」

「N-アセチルグルコサミン(N-アセチル-D-グルコサミン、GlcNAc、NAG)は、グルコースの2位ヒドロキシル基がアセチルアミノ基に置換された単糖である。化学的にはグルコサミンの2位アミノ基をアセチル化することで容易に調製できる。いくつかの生化学的機構にとって重要な物質である。
 GlcNAcは細菌の細胞壁の生体高分子の一部を構成している。そこではGlcNAcとN-アセチルムラミン酸 (MurNAc) が交互ユニットを形成しており、MurNAcの乳酸残基にテトラペプチドが結合している。この層をなしている構造はペプチドグリカンと呼ばれている。
 GlcNAcは、昆虫、甲殻類、線虫など脱皮動物の外被の基質を構成しているキチン質のモノマーでもある。 」

「グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)は、長鎖の通常枝分れがみられない多糖。動物の結合組織を中心にあらゆる組織に普遍的に存在する。狭義のムコ多糖。GAGと略される。 」


 
「植物葉の再外層は角皮(クチクラ)とよばれ、クチンやワックスなどの疎水性物質で覆われています…病原菌が懸濁された水滴は付着しにくいのです。」

京都大学 植物の葉のクチクラの構造を分子レベルで解明
「陸生植物の葉や茎の表皮は,クチクラ(cuticle)と呼ばれる脂質膜で覆われています。クチクラは, 植物を雨や乾燥,紫外線,病原菌や害虫から守る役割を果たすことで知られています。さらにクチクラは,植物が成長する際には組織同士が結合してしまうことを防ぐ潤滑剤としても働き,植物が生き ていくうえで欠かせない多機能な薄膜です。 これまでの研究によって,クチクラは「炭化水素のワックス」や「クチン」と呼ばれるポリエステ ルのような高分子,「多糖類」などで構成されていることが知られています。一方,クチクラはこれら 有機物が均一に混ざったものではなく,葉の表面からの深さによって構成物質が異なります。クチクラの内部( 表皮の細胞壁近く)は「クチクラレイヤー(cuticle layer)」と呼ばれ,多糖類に富むことが 知られています 図 1 左)。クチクラの外部 (表面近傍)は「クチクラプロパー(cuticle proper)」と呼ばれ,主にワックスとクチンで構成され,多糖類は存在しないと考えられてきました。クチクラプ ロパーよりさらに上部「 葉の最表面)には「クチクラ外ワックス(epicuticular wax)」と呼ばれるワックスの層があります。 クチクラの構造については未だ不明な点も多く,特に「「クチクラの外部に多糖類が存在するかどうか?」は論争が続いてきました。またクチクラに限らず,電池や医療材料などに用いられている有機 薄膜がもつ機能の起源は,薄膜内での分子の並び方( 分子配列)や,分子の向き(分子配向)に由来します。

本研究成果は,2019 年 4 月 24 日「 水)公開の Plant and CellPhysiology 誌に掲載されまし た。  

…偏光変調赤外反射吸収分光法を用いて,ヤセイカンランの葉のクチクラの赤外スペクトルを測定し たところ,キシランやキシログルカンといった多糖類(ヘミセルロース)に由来するピークが検出さ れました 。この結果は,これまで「クチクラの外部には多糖類は存在しない」という従来のクチクラの構造モデルの常識を覆すものです。さらに全反射減衰赤外分光法の結果から,クチクラ内部には別の種類の多糖類(ペクチン)が豊富に存在することが明らかとなり,「ヤセイカンランのクチクラ外部と内部とでは,存在する多糖類の種類が異なる」ことがわかりました 。 また、偏光変調赤外反射吸収分光法によって得られたスペクトルのピーク位置( 波数)やピークの 向き(上向き/下向き)を詳細に解析することで,クチクラ外ワックスの炭素鎖は規則正しい配列をしており( 結晶)、葉の表面に対して垂直に配向している(炭素鎖は葉の表面で立っている)など,クチクラの分子の配列・配向を分子の官能基レベルで世界で初めて明らかにしました (図 3,4)。
(引用終わり)」

(3)粘膜(気道や腸管など)目の表面を覆う涙など
 気道や腸管などの上皮層の粘膜や目の表面の涙も物理的バリアです。
 粘膜から分泌される粘液の成分は、一般的にムチンと言われる「糖タンパク質」と、糖類、無機塩類などからなります。分子量の大きなタンパク質を含む粘液では高分子ゲルの性質もあり、粘性が高いだけでなく弾性も持ち併せています。
 涙の成分はほとんどが水分で、残りはタンパク質(アルブミンやグロブリン、リゾチームなど)、リン酸塩などです。涙はまばたきによって目の表面に広げられ、目の表面を保護し、抗原物質や異物を洗い流したり、雑菌を抑制する働きがあります。また涙は抗菌成分のリゾチームにより化学バリアにもなっています。

「粘膜(ねんまく、mucous membrane)は、上皮細胞に覆われた外胚葉由来の上皮層である。吸収と分泌に関わる。さまざまな体腔に配置し、外部環境や内部臓器に面している。鼻孔、唇、耳、生殖器、肛門などあちこちで肌とつながる。
 粘膜や腺から分泌された濃い粘性の流体が粘液である。粘膜は体内において見られた場所を指し、全ての粘膜が粘液を分泌するわけではない。その表面がいつも粘液性の分泌物で濡れている柔性膜を称するときに限り、「粘膜」という呼称を用いる。位置的には中空性臓器の内腔表面に多い。粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板より構成される。」

「粘液(ねんえき、英語: mucus)とは、生物が産生し体内外に分泌する粘性の高い液体である。
 粘液を産生する細胞は粘液細胞、粘液を分泌する腺は粘液腺と呼ばれ、ほとんどあらゆる多細胞生物に存在する。単細胞生物でも粘液を分泌するものは多い。さらに細菌の莢膜物質を粘液と考える場合もある。
 粘液の成分は生物によって、また粘液細胞の種類によってさまざまであるが、一般的にはムチンと総称される糖タンパク質と、糖類、無機塩類などからなる。分子量の大きなタンパク質などを含む粘液は高分子ゲルとしての要素を備え、粘性が高いだけでなく弾性(ヌルヌル、あるいはネバネバした感じ)をも持ち併せる。
 脊椎動物の場合、消化管の内壁などに常時粘液に被われた表面があり、それらを粘膜と呼んでいる。」

「ムチンは動物由来の高分子糖タンパク質で,消化管・気道の粘膜上皮や唾液腺などで産生される粘液の主成分である。ムチンは分泌型と膜結合型に分類され,物理的バリアとしての粘膜保護や潤滑作用に加え,膜結合型では細胞質内への情報伝達機能にも関与している。ムチンのコアタンパク質をコードする遺伝子はMUCと表記され,現在ヒトでは20数種が見出されている。ムチンのコアタンパク質は,プロリン(>5%),スレオニン/セリン(>25%)に富んだタンデム反復構造を特徴とし,セリンあるいはスレオニンの水酸基にN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を起点としてガラクトース,N-アセチルグルコサミン(GlcNAc),フコース,シアル酸などから構成されるO-結合型糖鎖が高密度に付加されている。糖鎖末端には硫酸基が付加される場合もある。ムチン糖鎖は化学的性質から,糖鎖末端にシアル酸や硫酸化糖を配し負の電荷を有する酸性ムチンとフコースを配した中性ムチンに分類される。いずれにせよ,糖鎖は多いものではムチン分子量の80%に達しムチンの親水性を高めている。 
 ヒト消化管には約15種類のムチンが発現しており,これらのうち,分泌型ムチンはMUC2(小腸,大腸),MUC5AC(胃,大腸),MUC5B(唾液),MUC6(胃,大腸),MUC7(唾液)の5種で,いずれも杯細胞から放出され,MUC7を除き粘膜表面で粘液層を形成する。一方,膜結合型ムチンは消化管上皮細胞の頂端側に発現し,グリコカリックス(糖衣)を形成している。腸の主要ムチンであるMUC2は,杯細胞の小胞体で二量体(C末端のジスルフイド結合)を形成し,ゴルジ装置で糖鎖が付加された後,N末端のシステイン残基のジスルフイド結合により三量体を形成する。これらはムチン顆粒として細胞内に蓄えられ,開口分泌によって細胞外に放出される。MUC2は単量体でも約2.5 MDaの質量を持つ巨大分子で,細胞外では水和により100-1000倍の体積に膨潤して粘液層を形成する。この粘液層は,極度な物理的刺激や食事に伴う消化酵素・胆汁酸による化学的損傷から腸上皮を保護すると同時に,細菌・外来抗原に対する宿主防衛の最前線でもあり,物理的バリアのみならず,イムノグロブリンAやパネート細胞(小腸のみ)から放出される抗菌ペプチドの貯留槽となり,免疫的および化学的バリアとしても機能している。 」

「涙は、涙腺内の毛細血管から得た血液から血球を除き、液体成分のみを取り出したものである。通常の分泌量は1日平均2-3cc。涙の98%は水分で、タンパク質(アルブミンやグロブリン、後述のリゾチームなど)、リン酸塩なども含有する。一般的に弱いアルカリ性の液体である。
 分泌された涙液は目の表面を通過したあと涙点に入り、涙小管・涙嚢・鼻を経て、喉から再吸収される。ヒトの場合、量が多いと頬などに溢れ出て「涙を流す」「泣いている」と呼ばれる状態になる。
 涙はまばたきによって目の表面に広げられ、目の表面を保護するとともに抗原物質や異物を洗い流したり、雑菌を抑制する働きがある。
 涙の持っている抗菌成分はリゾチームという。このリゾチームは、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)を分解する作用を持つ。 」







































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米国民主党の地殻変動?民主・共和党の民族派の合体?パンデミックはやはり軍事的オペレーションか?

2023-07-27 14:59:18 | 第二次アメリカ独立革命
1.米国民主党の地殻変動
 反DS・反ネオコンのロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は米国民主党の大統領候補になっていて、民主党内で現在20%程度の支持を得ているようです。RFKジュニア氏の一族であるケネディ一家では、暗殺や不審な事故が後を絶たず、DS・ネオコン側からは最大級の警戒をされているようです。RFKジュニア氏も本当に命懸けでDS・ネオコンに反抗されています。(ケネディ一族の中にはあまりの悲惨さにDS側に転向している方もいるようです。キャロラインケネディさんはオバマ・バイデンさんと仲が良い(つまりあちら側)ということのようです(林千勝氏の話))。
 RFKジュニア氏のウィキペディアの解説は、陰謀論者だと決めつけた酷く貶した内容のものになっています。私はこれほど悪意に満ちたウィキペディア の解説記事を見たことがありません。
「ロバート・フランシス・ケネディ・ジュニア(1954年1月17日生まれ)は、イニシャルRFKジュニアとしても知られ、アメリカの環境弁護士、政治家、作家です。彼は反ワクチンの誤った情報や公衆衛生関連の陰謀論を宣伝することで知られています。彼は2024 年の大統領選挙における民主党の指名候補者です。
 2005 年以来、彼はワクチンと自閉症の関連性について科学的に信用できない主張を推進し、反ワクチン擁護団体であるChildren's Health Defenseの創設者兼会長でもあります。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、ケネディは米国における新型コロナウイルス感染症ワクチンの誤った情報の主要な推進者として浮上している。ケネディの公衆衛生に対する批判や著作の多くは、アンソニー・ファウチ、ビル・ゲイツ、ジョー・バイデンなどの著名な人物をターゲットにしている。彼は『The Real Anthony Fauci』などの著書を執筆しています。2021年に、そして2022年にリベラル派への手紙。
ケネディは、米国司法長官兼上院議員ロバート F. ケネディの息子であり、米国大統領ジョン F. ケネディの甥です。」

 民主党内での大統領候補者としての支持率が20%ほどある(大手メディアの報道なので、実際はそれ以上か?)にも関わらず、RFKジュニア氏はウィキペディアはじめ大手マスメディアや民主党内でも「陰謀論者の親玉」として徹底的に貶されています。しかし逆に言うと、DS・ネオコン側の「痛いところを一番突いている」ので、徹底的に批判しているのだと思います。

 現在、多くの米国民主党議員が民主党から離脱し始めているようです。
その理由としては以下のようなことがあると思います。
(1)バイデン親子の止めどもない疑惑(それを隠蔽するFBIや司法省など含め)が、米国下院議会の公聴会で行政高官などの内部告白者が証言していることにより、暴露されている(公になっている)。
(2)民主党の行き過ぎた(異常な(イカれた))移民政策やLGBT教育の強行(強制)により社会混乱が続いている。リベラルを旨とする民主党員でも、それはもう許容範囲を超えたものだ。
(3)民主党指導部が異論をまったく寄せ付けない全体主義的な体制(共産主義化)になっており、もはや民主党内では自由な議論がまったくできない。

「チャック・グラスリー上院議員は、ジョー・バイデンがBurismaのCEOミコラ・ズロチェフスキーと1000万ドルの贈収賄計画に関与していたことを示すFBIの文書を公開した。
 ルディ・ジュリアーニは、バイデン・犯罪・ファミリーに対して収集された証拠は「私がこれまで見た中で最強の事件」であり、1980年代にニューヨークで彼のチームがマフィアのファイブ・ファミリーを取り押さえた証拠よりも大きいと『ウォー・ルーム』の視聴者に語った。」
 一部の民主党員は「もはや現執行部は誰かに乗っ取られていて専制政治(共産国家)のようなことを行っている」と思う人が多くなっているのだと思います。
 RFKジュニア氏も米国下院議会の証言で、民主党は「乗っ取らっれている、取り戻さないといけない」とはっきり言われています。また同氏は議会証言に際して、100名あまりの民主党議員が同氏の証言に対して不適切(陰謀論だし反対)だとする文書に署名していることを取り上げて、これこそ言論統制(検閲)の最たるものだと吐き捨てるように言われていました。
 下院議会の同氏の証言に対して、民主党議員からは痛烈な批判(罵声?)が繰り返されていました。例えば、あなたは陰謀論者で、パンデミックやワクチン接種をホロコースト呼ばわりしているし、その他の論調でも、一定の民族(恐らく「神の民」を指す)やアジアの民(恐らく中共)を差別しているという批判論が機関銃のように叫ばれていました。私は、まるで現行米国民主党をコントロールしているのが「神の民」と「中共」だと言っているように聞こえてなりません。そしてもう民主党議員が定型的な批判論を操り人形のように言わされているように感じました。

2.民主党と共和党の民族派の合体
 RFKジュニア氏及び同氏の支持者の民主党員と共和党民族派は、反DS・反ネオコン(戦争屋)という点では共同戦線を張れると思います。そして今後さらに民主党民族派の比率が高まれば、共和党民族派と合わせて、米国民の大半が反DS・反ネオコンになり、民族派が主導権を握れるかもしれません。その時には「米国第二次独立革命」のような様相になっていると思います。
 もう米国では、大手メディアの信用も地に落ちて、行政機関・大手企業への信頼も皆無に帰しています。
 もし次回の大統領選挙で再び不正選挙が行われたなら、林千勝先生がおっしゃられるように、物理的な内戦(兵器を用いての戦争)が勃発してもおかしくないと思います。DS・ネオコン側も「やるか、やられるか」で、何を仕掛けてくるかは分かりません。今年後半と来年は本当に正念場になると思われます。


(DS・ネオコンの掃討作戦か?)

3.パンデミック・新型コロナワクチンはやはり軍事オペレーションか 司令塔はNSA?生物数理論理戦争?

 RFKジュニア氏は環境弁護士として、公害(化学物質汚染)の知識が豊富なようです。また政治的なカラクリをケネディ一族なので熟知しておられるので、同氏の見解は的を射たものだと思われます。

(1)パンデミック・新型コロナワクチンは軍事オペレーション
 生物化学兵器の研究は、ペーパークリップ作戦によりナチスの生物化学兵器の科学者を確保してから本格的に始まったようです。また日本版ペーパークリップ作戦と言われる旧731部隊やその関係者の協力(人体実験などの罪を免責させてその研究成果を提供させる)を得て進められたようです。旧帝大の研究者や軍の病院関係者も相当関わっていたようです。
 CIAなどは何度も生物兵器(ウイルスなど)を用いた軍事オペレーションを計画して演習を行っていたようです。その中には扇動工作として、報道を統制して人々を思想を誘導するプログラムなどもあったようです。(トラステッド・ニュース・イニシアチブなど
 新型ウイルスやそのワクチンの製造等のオペレーションはNSAが主導して行っていたようです。このことは、生物遺伝子及びタンパク質などの生体化学物質の「暗号記号」はほとんど全て解読されてデーターベース化されていて、その様々な記号同士の動態のシュミレーションが行われ、新たな「生物兵器」を論理編集していることを示しているだと思います。要するに生物の遺伝子などの暗号記号は、完全に数理論理的制御の段階に入っているのだと思われます。

(2)なぜこの軍事オペレーションが行われたのか
 これは私の単なる想像ですが、やはり前回大統領選挙の不正選挙工作活動に焦点が合わされていたと思います。
 トランプが大統領のままだと、以下のような勢力が困ります。
 (a)「神の民」
 米国と言う最大の宿主を失くことは絶対に避けなくてはならない。特に寡占大企業連合(その株を巨大投資会社(ブラックロックなど)を通して「神の民」が握っている)の政治・経済的な策略や報道洗脳を通した富の独占システムに横やりを入れられるは認められない。議会・行政・司法の操り人形体制を覆され、米国民族派がでしゃばってくるのは絶対許さない。
(b) 「ネオコン」(企業共産主義者、戦争屋)
 戦争ほど儲かる商売はないのに、「戦争しない」とはどういうことだ。我々は戦争に関わる兵器・様々な予算などや、地域の民族派指導者を潰して利権を得たりして笑いが止まらい程儲けているんだ。この商売を邪魔する奴は許さない。戦争が資本主義を有機化して企業共産社会となるのだ。
(c)「中共」
 やっと米国民主党などとパイプを作り(ハニトラや買収して)、こっちのコントロールが効くようになってきたのに、いまさら排除されてたまるか。米国敗戦革命作戦(大量の移民による混乱など)は進められているんだ、「神の民」と組んで米国民族派を一掃して完全支配(世界を二分)するまでもう少しだ。


 このため上記の勢力は、前回大統領選挙の前にパンデミックを起こし、不正の温床の郵便投票を推し進め、力ずくで選挙を盗んだのだ思います。その後、ロックダウンや新型コロナワクチンの強制により、米国民族派を沈黙させるつもりだったのではないでしょうか。
 CIAやNSAなどの諜報機関、行政(司法・健康・治安維持など)や軍の幹部、大手大企業、マスコミなどは、DSやネオコンの支配層から命令受けてこの軍事オペレーションを行ったのではないでしょうか。恐らく巨大な利権構造が作られているのでしょう。


「トラステッド・ニュース・イニシアチブは、イギリスの国営放送局であるBBCとそのグローバルメディアやビッグテックのパートナーによって2019年に設立されました。 
 TNIは 2020年のアメリカ大統領選挙への外国の干渉を防ぐことで、自由と民主主義を促進することが第一の任務だと主張していました。
しかし、それだけではありませんでした。TNIはビッグファーマの支援者が、   最初からワクチンのアジェンダを念頭に置いていたのです。
 TNIは2019年に、アルゴリズムによる介入を必要とする反ワクチン派がインターネット上で支持を集めているという警告を発しました。つまり、非常に賢いコンピュータープログラムが攻撃を識別し、反ワクチンのコンテンツを無力化するということです。
  実験的なワクチンを正常化する反復的なプロ・ワクチン・メッセージを画面に氾濫させます。 
 ワクチンを受けていない人を悪者にして、分裂を生み、一般の人がワクチンを遵守するように仕向けます。
 TNIはまた、いわゆるファクトチェッカーに金を払い、公式見解を覆すような偽のファクトチェックや科学者やジャーナリストへの攻撃記事を書かせています。
 何百人もの第一線の医療従事者、科学者、研究者が、公式見解に反する発言をしたために、TNIによってソーシャルメディアから消えてしまいました。
…また、TNIネットワークは、COVIDワクチンが安全で効果的であるという誤ったシナリオを広めるために、COVIDワクチンによって障害を負った何千人もの人々の話を無視しています。 」

「結論
 これらのCOVIDのいわゆる「ワクチン」は、実際に武器であり、彼らは害を及ぼすことを意図しています。少なくとも2012年以来、米国防総省は何十億もの注射を展開するインフラを確立しており、それはパンデミックの宣言とともにスイッチが入りました。
 契約では、ファイザーは米国防総省の製薬会社をサプライヤーとして使用し、自分たちの名前をつけるだけで、一切の責任を負わないことを保証するように命じられていました。
 ファイザー社には100億ドルの注文をこなすだけの能力はありませんでした。彼らは臨床試験やプロトコルを設計することもなく、独自のベンダーを選択することもなかった。米国防総省がすべてを指示したのです。(引用終わり)」

1.武漢研究所の研究は、米国の機能獲得実験研究が委託されていた
この武漢研究所での機能獲得実験(ウイルスをある動物種から違う動物種に感染させるためや感染力をたかめるための機能の追加(遺伝子挿入などの遺伝子組み換え実験)の研究)は、米国の軍事研究(生物兵器開発)の一部(2のようにNIHやNIAIDなどに移管していたもの)を移転(委託)したもので、資金も軍関係の予算で行われていた。
2.生物兵器開発は密かにNIHやNIAIDで行われていた
米国防省は生物兵器開発に関しては、表立ってできないので(ニクソン大統領時代に生物兵器研究は危険なため禁止された)、NIHやNIAIDに研究を移管(隠れ蓑に)していた。これの管理者のファウチの給料は優遇され大統領より高額になった。
3.米国愛国者法により抜け道ができた
「9.11事件」による米国愛国者法により、生物兵器の開発研究ができるように抜け道ができた。
4.オバマ時代に米国では生物兵器研究は再び禁止された
それでもあまりにも危険なため、オバマ大統領が生物兵器研究を禁止したところ、それらの研究は外国の施設に移管されるようになった。そのため1のように委託先として中国の研究所などと密接な関係を持つことになった。
5.中国では危険な機能獲得実験を強力に推し進める
中国の研究所では、あまりにも危険な機能獲得実験が強力に押し進められるようになった。米ノースカロライナ大学 のバリック教授が武漢研究所の石正麗研究員などと情報交換していた。
6.ランセットの起源調査メンバーは自然発生説に偏向した
医学雑誌ランセットで、新型コロナウイルスの調査のために委員会が作られ、委員長にジェフリー・サックス教授が任命された。、ジェフリー・サックス教授は、新型コロナウイルスの起源についてのワーキンググループの責任者に中国との関係も深いニューヨークの非営利団体エコヘルス・アライアンスの代表のピーター・ダスザックを任命して調査させていた。しかしそのワーキンググループの調査は不自然に「自然発生説」に 偏ったものになっていった。中立であるべき調査がなぜ捻じ曲げられたのか、サックス教授が調べたところ、ダズダックが軍事関係の生物兵器に絡んでいたことを知り、責任者を更迭したところ、他のワーキンググループ(ダズダックが選んでいた)のメンバー全員もそれに絡んでいたことが分かった。そのためこのワーキンググループは解散させられた。
軍はDARPA などを通じて武漢研究所に資金提供していたので、そこで生物兵器の研究(機能獲得実験など)が行われていたことが分かると都合が悪いので隠蔽しようとしていたのではないか。
7.有名医学雑誌に意図的に自然発生説が掲載された
コロナウイルス発生時の初期に有名医学雑誌に、このウイルスは自然発生説だという論文がいくつか出たが、それをサックス教授が精読したところ、まるで論理的でない結論になっており、いわゆる「ゴミ論文」だった。世界の研究者はこの「ゴミ論文」をさかんに引用していたのには驚いた。
8.諜報機関も含む国家による「科学」の捻じ曲げ
サックス教授はこの不条理についていろいろと調べていくうちに、このコロナウイルスの研究には軍の他に諜報機関も関係しており、科学の真実を隠蔽して偽情報(「ゴミ論文」のような)を垂れ流すことが横行していることに気が付いた。まさか「科学」がこれほどまでに国家によって捻じ曲げられているとは思わなかった。
9.機能獲得実験とSARS-CoV-2
【重要】ジェフリー・サックス教授とロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の対談動画 ~武漢流出説の全貌の要旨から引用
「…「DEFUSE」という研究提案書です。タザックのエコヘルス・アライアンス、ラルフ・バリック率いるノースカロライナ大学研究室、そして武漢ウイルス研究所の3者の共同研究です。この3者は、これまで報告されていないSARS様ウイルスの株を180以上保有していて、それを使って動物間をまたがって感染する可能性を実験すると書いてあります。私の身の毛がよだったのは、次のページを読んだ時です。これまで報告されていないウイルス株の情報が多数掲載されているのですが、「これらのウイルスに『タンパク質分解切断部位』があるかどうかを調べ、不一致がある場合にはそれを挿入する」と書いてあったのです! 赤信号が点灯です。なぜなら、それが実質的にSARS-CoV-2だからです (引用終わり)」
10.フリンの挿入・シームレスライゲーションの痕跡
 SARS-CoV-2には他のコロナウイルスにはない、フリン(たんぱく質分解切断部位)が挿入されていたとのことです。これはウイルスが細胞内に侵入しやすくするために役立つようです。これは専門家が見れば、人工的に挿入されたものだと思うはずだとのこと。
 またSARS-CoV-2には、「シームレスライゲーション」という人工的に挿入した痕跡を消す技術も用いられていて、これもバリック教授が石正麗研究員などと情報交換していた。」

「相対的剰余価値増大のために、社会では物凄い付加価値競争が始まり、各企業では競って効率的な生産・流通・サービス組織を構築しよとしました。そうしないと生き残れないようになりました。そしてこの激しい競争によって、企業は超効率的な一握の巨大企業に集約されるようになり、社会全般が有機的(効率的)に密接に組織化(有機的構造の高度化)されるようになり、社会(この有機体に入っている団体・人)は一体化されるようになります。この一体化がマルクスの唱えた共産社会だと思います。
 この有機的構造の高度化の担い手は、世界的な「超大企業」であり、もはや多国籍企業で「国家」の縛りを受けなくなります。逆に「超大企業」の連合体が「国家」の上に君臨するようになります。そしてこの「超大企業」の連合者にとっては、いかに価値を増大させるかが究極の使命になっており、非効率的な前近代化的なモノ(習俗・伝統・宗教(科学教以外)・固定観念、例えば日本的経営制度(株の持ち合い、終身雇用等))などは破壊しようと画策すると思います。
 残念ながら、この科学技術を基にした競争社会に適応できないものは、その一体化(有機的構造の高度化)から外れてしまいます。マルクスの共産社会は、プラトンの唱えた理想社会に似通っていると思います。プラトンは「間引き」で対応しろとの峻厳な判断でしたが、現在では何らかの福祉政策の問題になっていると思います。そのうちどういうことになるのでしょうか?」


 
【アポロ計画の幹部はフォン・ブラウンはじめほとんどがナチスの元科学者でした。ナチス科学者の人体実験や強制労働の規模は想像を絶するほどです。企業は無報酬で福祉の経費などかからない労働者を求め続けました(使い捨てにしていました)。科学の前にでは、時として人はあまりにも無力です。】


 【恐らく世界最大の数理論理(暗号記号)の研究所であり、盗聴などの実行部隊も持っています。「暗号は力なり」という強い信念により作られた組織です。研究成果はすべて秘密で、ノーベル賞級の研究成果も絶対発表されることはありません。生物遺伝子の暗号記号もすべて解読して、それを応用して様々な試作品を作っていてもおかしくありません。】

 
 【旧帝大の研究所も生物兵器研究に深くかかわっていたようです。東大の伝染病研究所は一部を残し、国立予防研究所(予研)に改変され、その所長には旧731部隊の関係者も多かったそうです。その後1997年に国立感染症研究所に改称されます。お里が知れてしまうような気がします。】

 【残念ながら、資本主義の有機化は戦争の兵器生産などを介して進化してきたと思います。科学技術も新規兵器に関する研究開発により異次元的に進歩すると思います。兵器の進化は単なる人間(兵士や民間人)をあまりにも無力にすることもあると思います。】

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