世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

玉座のナポレオン

2014-05-17 06:10:02 | 虹のコレクション・本館
No,141
ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル、「玉座のナポレオン」、19世紀フランス、新古典主義。

いやあ、これは馬鹿の見本だ。よく、新興宗教の教祖がこういうことをするから、よく見るといい。知っている人は知っている。けっこうこういうのが好きなやつがいるだろう。

フランス革命は、ナポレオンで愚に帰した。大勢で王と王妃を殺して王制を倒した民衆も、結局はひとりの支配者にやりこなしてもらわなければ何もできない。何の責任も取らない。そういうことになったのだが。

実にこれは、偽物の男だ。顔も運も、すべて他人からの盗みなんだよ。

本来、ナポレオン・ボナパルトみたいなやつをやるはずだった魂から、まるごとだれかがその人生を盗んだのだ。だからこういうことになった。結局ナポレオンは、正体がばれて何もかもを失い、孤独に死んだ。

こういう男が、フランスを振りまわしたんだよ。馬鹿が一国の政治を狂わす見本だ。わかるね。こういうことは珍しくない。というより、こういうことばっかりだよ。

派手で見栄えのいい人生を欲しがる馬鹿が、シーザーのようになりたくて、誰かの人生を盗んだのだ。

本物の男がこの人生をやったら、フランスはまだましなことになったろう。

そういうことだ。人間の男はこれを見て、馬鹿の見る夢の結末を思い知るといい。



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