世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

黒いケープ

2014-05-14 06:13:16 | 虹のコレクション・本館
No,138
オーブリー・ビアズリー、「黒いケープ」、19世紀イギリス、アール・ヌーヴォー、イラストレーション。

かのじょの切り絵による線刻派表現には、ビアズリーのこの絵が影響している。かのじょは中学の頃、一時期ビアズリーに凝っていたのだ。

細い線と墨で塗られた面だけで構成された絵だ。微妙な陰影などは一切排除する。
これが実に美しいと、かのじょは感じたのである。

墨が流れてくるようなスカートの線が美しい。彼女はこれに感銘を受け、自分でも表現を試みてみたのである。

ビアズリーのようにセンス良くは描けなかったが、もうひとつ好きだったボッティチェリなどの影響で、きりりとした線を使いながらも、少女らしいあたたかな線画をかのじょは繰り返し描いた。

芸術の発展は何から生まれてくるかわからないということだ。いつまでも、古典から学んだデッサン技術などにこだわっていると、大事な未来を見失うかもしれないよ。

レオナルドのように、人体を解剖してその構造を学び、正確に現実を映し出すということも大事だが、それにとらわれ過ぎると、表現の可能性がせばまってくる。

芸術の表現はいつも、魂がもっと自由に泳げる世界を探しているのだ。美しい空を探してみたまえ。

おもしろいものは、意外なところから生まれるかもしれないよ。



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