アシメックが寝床から身を起こすと、もうソミナが着替えの準備をしつつ起きて待っていた。アシメックはその顔に微笑みかけ、まずは糠だんごを食べて腹ごしらえをした。食欲はなかったが、食べておかねば気力が続かない。
食べ終わるのを待ちかねたかのように、ソミナが小さな土器の皿を持ってアシメックの前に来た。そして勝手に、アシメックの顔に化粧をし始めた。アシメックは何も言わずにソミナのやりたいようにやらせた。ソミナはまだ若い。妹だが、親子と言ってもいいくらい年が離れている。だからアシメックはこの妹がかわいくてしょうがないのだ。
ソミナは嬉しそうに、アシメックの身づくろいをした。フウロ鳥の鳥を何本も連ねた冠をアシメックにかぶせ、鹿皮の肩掛けをかけ、魚骨ビーズのきれいな首飾りをもう二つかけた。鹿の歯を細工した腕輪もつけた。
そうすると、立派な男がもっと立派になった。ソミナはまぶしそうに眼をしばたたいた。涙さえ出そうだった。きっとこの男を見るだけで、ヤルスベは恐れるに違いない。
身なりの整ったアシメックが外に出ると、川の方から楽が聞こえた。もう始まっているか。アシメックは急いで川に向かって走った。途中ミコルとあった。彼も肩掛けをかけ、いつもより一つ多く首飾りをかけている。化粧も派手だった。アシメックは歩きながら言った。
「今日の占いはどうだ」
「上々だ。しかしまだ不安材料は消えない」
「不安材料?」
「交渉はうまくいくだろう。そのほかのことで、何かがあるかもしれない」
「そのほかか。何だろうな」
「カシワナカが守ってくれるよ。やろうぜ」
「ああ、わかっているとも」
ミコルはアシメックより十ほど若いが、できるやつだ。こういうとき、いつもアシメックの心を盛り立ててくれる。