墨流しは日本古来の描画の技法で、水に墨汁を流して文様を作り、それを紙に写し取るというものですが、その文様に似た翅を持つチョウがスミナガシです。オオムラサキと同じタテハチョウ科ですが、食草がオオムラサキがエノキなのに対し、スミナガシはアワブキという樹木の葉で、主に沢筋に見られます。
その色合いは和風で美しく、表の国蝶がオオムラサキならば、裏の国蝶はスミナガシだといわれるほどです。
そのスミナガシの翅の色ですが、よく見ると非常にたくさんの色味が見えてきます。以前和色で列挙したものを再掲してみます。
青系から緑系に列挙します。
★紺桔梗(こんききょう)・瑠璃色(るりいろ)・群青色(ぐんじょういろ)・黒橡(くろつるばみ:つるばみはクヌギの古名)・空色(そらいろ)・花浅葱(はなあさぎ)・藍媚茶(あいこびちゃ)・海松色(みるいろ:みるは海藻のミル)・苔色(こけいろ)・白。
体を覆う長い毛は鼠色ですが、鳩羽鼠(はとばねずみ)を中心に、藍鼠なども感じます。
そして朱色の口吻は、光の具合で朱鷺色(鴾色・ときいろ)だったり、猩々緋色(しょうじょうひいろ)だったりします。光の加減ではもっと他の色が見えたりもします。実に美しい色合いです。
今は色名をサーモンピンクとかコバルトブルーとか、洋色名でいうことがほとんどで、上記の色名を読んでも色味が浮かんで来ない人がほとんどではないでしょうか。別に民族主義者ではありませんが、欧米化!の影響で、日本人が持っていた色彩の深く繊細な感性が、言葉とともに失われたのは残念なことです。たとえば灰色に関しては、日本人は世界一多様な色名を持っています。こちらの「和色大辞典」を見ると、末尾に「ねず」という色名の多さに驚かれるでしょう。
インド・カシミール地方の絨毯を織る女性達は赤だけで100種類以上識別できると聞いた事があります。色に対する感性は、文化そのものなんですね。海外旅行でスーパーの家庭用品の売り場に行くと、それがよく分かります。ブラジルは圧倒的に原色が多いし、北欧へ行くと、やや灰色がかったパステルカラーが多いことに気づきます。また、中国の赤は、金赤というよりやや墨が入った深紅です。
日本からヒマラヤまでを含む東南アジアに分布するチョウなので、必ずしも日本のものだけというわけではないのですが、藍染めにも通じる極めて東アジア的な色彩のチョウだといえます。余談ですが、その国で採れる果実は、その国の女性に似ていると私は思うのですが、どうでしょう。日本の女性なら、蜜柑か林檎。ブラジルならマンゴかパパイヤ。タイやベトナムの女性はドリアンかなあ。臭いけれど大好きです。いや、女性ではなくて果実の話ですが・・。
BGMは、GarageBandで作ったオリジナルのピアノ曲。なんとなく70'sのクリスタルなECMサウンドをイメージしてみたのですが・・。次回は、樹液バーに訪れるスミナガシのライバル達。
■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 1of2【スミナガシ】
Suminagashi[Dichorragia nesimachus],Asian constable butterfly,the most japanese colors,is a species of butterflies in the family Nymphalidae.Wingspan : 32mm-44mm.
I took these photos in July and August of 2011 at Mt.Saijo in Nagano Japan.
For more, please visit http://www41.tok2.com/home/capino/mori/index.html
★ネイチャーフォトのスライドショーやムービーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌や森のあんずのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】ニホンカモシカに遭遇したトレッキングも数多くあります。Youtubeのトレッキング&ネイチャーページもご覧ください。
その色合いは和風で美しく、表の国蝶がオオムラサキならば、裏の国蝶はスミナガシだといわれるほどです。
そのスミナガシの翅の色ですが、よく見ると非常にたくさんの色味が見えてきます。以前和色で列挙したものを再掲してみます。
青系から緑系に列挙します。
★紺桔梗(こんききょう)・瑠璃色(るりいろ)・群青色(ぐんじょういろ)・黒橡(くろつるばみ:つるばみはクヌギの古名)・空色(そらいろ)・花浅葱(はなあさぎ)・藍媚茶(あいこびちゃ)・海松色(みるいろ:みるは海藻のミル)・苔色(こけいろ)・白。
体を覆う長い毛は鼠色ですが、鳩羽鼠(はとばねずみ)を中心に、藍鼠なども感じます。
そして朱色の口吻は、光の具合で朱鷺色(鴾色・ときいろ)だったり、猩々緋色(しょうじょうひいろ)だったりします。光の加減ではもっと他の色が見えたりもします。実に美しい色合いです。
今は色名をサーモンピンクとかコバルトブルーとか、洋色名でいうことがほとんどで、上記の色名を読んでも色味が浮かんで来ない人がほとんどではないでしょうか。別に民族主義者ではありませんが、欧米化!の影響で、日本人が持っていた色彩の深く繊細な感性が、言葉とともに失われたのは残念なことです。たとえば灰色に関しては、日本人は世界一多様な色名を持っています。こちらの「和色大辞典」を見ると、末尾に「ねず」という色名の多さに驚かれるでしょう。
インド・カシミール地方の絨毯を織る女性達は赤だけで100種類以上識別できると聞いた事があります。色に対する感性は、文化そのものなんですね。海外旅行でスーパーの家庭用品の売り場に行くと、それがよく分かります。ブラジルは圧倒的に原色が多いし、北欧へ行くと、やや灰色がかったパステルカラーが多いことに気づきます。また、中国の赤は、金赤というよりやや墨が入った深紅です。
日本からヒマラヤまでを含む東南アジアに分布するチョウなので、必ずしも日本のものだけというわけではないのですが、藍染めにも通じる極めて東アジア的な色彩のチョウだといえます。余談ですが、その国で採れる果実は、その国の女性に似ていると私は思うのですが、どうでしょう。日本の女性なら、蜜柑か林檎。ブラジルならマンゴかパパイヤ。タイやベトナムの女性はドリアンかなあ。臭いけれど大好きです。いや、女性ではなくて果実の話ですが・・。
BGMは、GarageBandで作ったオリジナルのピアノ曲。なんとなく70'sのクリスタルなECMサウンドをイメージしてみたのですが・・。次回は、樹液バーに訪れるスミナガシのライバル達。
■Suminagashi butterflies in Japan 2011 Part 1of2【スミナガシ】
Suminagashi[Dichorragia nesimachus],Asian constable butterfly,the most japanese colors,is a species of butterflies in the family Nymphalidae.Wingspan : 32mm-44mm.
I took these photos in July and August of 2011 at Mt.Saijo in Nagano Japan.
For more, please visit http://www41.tok2.com/home/capino/mori/index.html
★ネイチャーフォトのスライドショーやムービーは、【Youtube-saijouzan】をご覧ください。粘菌や森のあんずのスライドショー、トレッキングのスライドショーがご覧頂けます。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。蝶の写真はこちらにたくさんあります。
★【MORI MORI KIDS(低山トレッキング・フォトレポート)】ニホンカモシカに遭遇したトレッキングも数多くあります。Youtubeのトレッキング&ネイチャーページもご覧ください。