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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ホトトギス鳴く、飯綱高原の逆谷地湿原へ (妻女山里山通信)

2013-06-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 長野市北部の飯縄山山麓にある標高930mの逆谷地湿原へ、ボーリング調査のお手伝いに行って来ました。もちろん許可を得てのものです。この湿原は、10万年も前から湿原だったという日本はもちろん世界でも最古級のものだそうです。逆谷地というのは、飯縄山方向へ他の川の傾斜とは逆に流れていることからつけられたようです。周囲を10-30m程度の低い台地で囲まれていて水の流れ出る場所がなく、しかも大量の雨水等が流入するような地形でないことが、湿原を維持してきた要因なんでしょう。

 湿原は、泥炭と呼ばれる植物遺体の上に発達した湿った草原のことです。ですから、乾燥が進めば普通の草原や樹林に変わります。反対に水が多すぎると池や湖になってしまいます。水分条件がちょうどよいぎりぎりの環境が保たれてはじめて成立する、とてもデリケートな自然の姿なのです。それが10万年続いたのですから、これは奇跡的なことといっていいのでしょう。ゴルフ場にならなくて良かった。

 世界中の湿原の多くは氷河期が終わった約 1万年前以降のもの。有名な尾瀬ヶ原は約9000年前、釧路湿原は約3000年前にできたものです。ところが逆谷地湿原は、13m地下まで泥炭を主とした地層がたまっていて、10万年も前から湿原だったことが分かったのです。逆谷地湿原は、約4ヘクタールですから、普通のグラウンドぐらいと面積は小さいけれども、環境の変動を超えて、ずっと生きつづけてきた、きわめて特異で貴重な湿原なのです。

 今回は、ずっと晴天が続いた後だったので、湿原はカラカラに乾いていました。それでも、低い場所のオオミズゴケの下は湿潤。さらに低い場所には、ミツガシワの群落がありました。花期の終わりで、結実したものもありましたが、純白の花が咲いているものもありました。氷河期の生き残りといわれるミツガシワですが、花びらにあるモジャモジャの毛の様な突起が特徴的です。水滴を逃がさないためでしょうか。

 案内板によると、タチアザミ、サワギキョウ、オオニガナも咲く様です。痛いタチアザミは、まだ葉が茂った状態で蕾もまだできていませんでした。ミツガシワの葉の上には、モリアオガエルとミヤマフキバッタの幼生らしきものがいました。ギンイチモンジセセリが五月蝿い位に飛んでいました。
 樹木は、湿原に多いハンノキや乾燥した場所にはレンゲツツジが咲き、周囲にはイヌツゲの薮がありました。湿原西部のイヌツゲの薮の奥に株立ちした高い木があったので行ってみましたが、樹皮と葉を見るとズミのようでした。周囲の林床には、クルマバソウの群生地がありました、周囲の草原には、ヒメハギやニガナが咲いていました。夏の花はこれからですね。逆谷地湿原は、熊の生息域なので熊鈴は必携です。


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