林道脇の斜面に土栗がありました。普通は、夏から秋によく見られるのですが、こんな風に春まで残っているものもあるのです。別名は、「土柿(ツチガキ)」「地上の星」「湿度計」「晴雨計」など。晴れて乾燥すると球状になり、風に吹かれて地上を転がって移動します。そのため「晴天の旅行者」とも呼ばれます。そして別の場所で湿気を帯びると、再び星形に開くのです。胞子は丸い袋状の中にあり、外皮が丸々と押されて吹き出します。
ツチグリの幼菌は、固い外皮に覆われ土の中に半分以上埋まっています。雨が降って外皮が湿ると破裂して星状に裂けて反り返り立ち上がって地上に出ます。まさにこの時、地上の星となるわけです。そして、晴れて乾燥すると球状になり、風に吹かれて、あるいは斜面を転がって移動するのです。晴天になって乾燥すると外皮が戻り袋を押しつぶします、すると押されて胞子が袋の上にある穴から一斉に青空へ飛び出していくのです。再び雨が降ると外皮は反り返り立ち上がります。袋は元に戻り丸くなります。これを繰り返すわけです。
写真のツチグリがいつ発生したものかは分かりませんが、袋の状態を見ると秋に発生したものではないかと思われます。以外と寿命は長いのではないでしょうか。こんな地上の星が林道脇の斜面にたくさん見られることもあって、それは可愛らしいものです。と同時になんて巧妙な仕組みを持った不思議なきのこなのだろうと思わずにはいられません。
別名の「土柿(ツチガキ)」「地上の星」は見たままですが、「湿度計」「晴雨計」は湿度に敏感に反応するその生態からきているものです。中が白い幼金は食べられます。東南アジアでは缶詰もあり、アジアンエスニックの食材店などで売られています。日本では郷土食として味噌汁の具にしたりして食べられています。味噌汁は飲んだことがあります。味は時になく、特別美味しいというほどのものではありませんが、ホコリタケの幼菌と同様に独特の食感を楽しむものなのでしょう。
ちなみに、バラ科キジムシロ属の多年草にもツチグリという黄色い花を咲かせる植物があります。
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