モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

ウスバシロチョウとアオバセセリが舞う陣場平で里山保全作業と撮影(妻女山里山通信)

2016-05-22 | アウトドア・ネイチャーフォト

 拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』でも紹介している妻女山奥の陣場平の貝母は、松代夢空間主催の「妻女山 花と歴史のハイキング」が行われた4月27日が最後の見頃で、28日の雨と突風で散ってしまいました。現在はご覧の様に枯れ始めています(左)。右下に土が見えますが、ヨシがはびこり貝母にかなり侵入してきたので、妻女山里山デザイン・プロジェクトの面々を集めて5月8日に除去作業を行いました(中)。除去したヨシとその根っこを積み上げると小山ができました(右)。
 その後何度も地下茎の除去作業に撮影がてら行っているのですが。太い根だと10センチもあれば芽が出ることが分かりました。つまりみな掘り出さないとダメなわけです。結局、ザルで20杯分以上を掘り出したでしょうか。このところ、10時頃から昼まで除去作業をし、休憩の後で撮影。2時半には妻女山駐車場で撮影の日々。それを2週間近くやって体力の限界を感じています。ヨシは本当に手強いです。

 枯れてきた貝母ですが、これはたくさん実がついています。球根も相当大きいのでしょう(左)。種が入っているさく果の中心がかなり膨らんできました(中)。弾ける頃に採取してヨシを除去した場所に蒔いてみようと思っています。実に艶があるヤブヘビイチゴの赤い実(右)。ヘビイチゴは艶がありません。どちらも無味無臭で美味しくはありません。もちろん蛇も食べませんが、薬草です。

 花粉まみれになりながらヒレアザミで吸蜜するウスバシロチョウ。氷河期の生き残りといわれます。シェルランプの様な、はたまたステンドグラスの様な透けた翅が美しい。翔び方は不器用で、ヒラヒラ舞うというよりも、パタパタ舞ってスーッと滑空する様な舞い方をします。今年は2週間も早く出現しました。
 よく見ると尾部に交尾を終えた後にオスによってつけられる交尾板(受胎嚢)が見えます。交尾したオスが、メスがもう交尾できないように、分泌物の粘液でできた殻をメスの腹部につけるのです。言わば貞操帯。つまり、このメスは既に交尾が済んでいるということです。

 アマドコロの花が咲き始めました(左)。根は黄精といって強壮剤。毎夜の交合を記していた小林一茶が黄精酒を愛飲していたのは有名です。イボタノキの花も咲き出しました(中)。林道脇に生えることが多いので、除草で刈られてしまうこともあるのですが、シジミチョウの食草なので場合によっては何百という卵が死滅してしまいます。行政は業者に委託する時に、こういうところにも気を配って欲しいものです。ウバユリの葉もかなり大きくなりました(右)。夏に咲く白く長いユリの花は魅惑的です。

 アオバセセリを始めて撮影しました。ハルジオンで忙しなく吸蜜しています。留まっている時間がかなり短いので、撮影には苦労しました。ハルゼミとエゾハルゼミの鳴き声がクレッシェンド、デクレッシェンドで森に響きます。クロメマトイが五月蝿いので、ゴーグルは必須です。カッコウが鳴き始めました。遠くからはアオバズクの恋歌も聞こえます。下界は28度でしたが、山上は爽風もあって26度ぐらいで快適でした。里山に来ませんか。

 山椒の実も例年より早く成り出しました。たくさん摘んで縮緬山椒を作ります。私のレシピは一回しか茹でこぼさないのでかなり強烈です。そのため、ジャコではなく苦味のあるコウナゴを使います。現在はレシピより更に薄味にしています。
 帰りに「妻女山 花と歴史のハイキング」でも皆さんをお連れした猪のヌタ場(泥浴び場)へ(中)。かなり水量は豊富です。昨夜浴びた足跡はありませんでした。やはり案内した斎場山へ(右)。旧妻女山で、ここが地元で謙信の本陣と伝わる場所です。現在の妻女山は、本来は赤坂山といい斎場山の尾根の肩です。

 妻女山展望台から、松代城(海津城)方面と根子岳、四阿山の眺め。長野市の方にも言いましたが、左の案内図が間違いだらけで、どうにもなりません。下の説明や招魂社の説明にも、謙信本陣はここではなく、更に100m高い斎場山であるという説明がないため、たまたま私のガイドを聞いた人や、私のサイトを見てきた人以外は、皆誤解したまま帰ってしまうことになります。これは由々しき問題です。原因は、国土地理院が赤坂山に三角点を置いた時に、妻女山の名称を勝手に下ろしてしまったからなのですが。現妻女山は、すでに知られているので、本来の妻女山を本名の斎場山と呼ぼうと拙書やブログ、ホームページで啓蒙しています。
 疲れきって帰った後はシャワーを浴びてまずビール。その後畑で作っているカモミールでアイスティー。ドクダミも乾燥してドクダミ茶に、ドクダミは十薬といって優れもの。全草をちぎって酢に漬けて茶色くなった液を足に塗ると、水虫が完治します。足の臭いも取れます。ワキ臭や加齢臭にも効果あり。売薬など買う必要がありません。

 妻女山里山デザイン・プロジェクト(妻女山SDP)は、様々な分野の専門家の集まりになりつつあります。長野県政への提言もできる里山をフィールドとするシンクタンク(政策立案・政策提言する研究機関)になれると思っています。目指すところはそこでしょうか。大企業のシンクタンクは、詰まる所自社への利益誘導が目的で、よく発表される経済効果など全く信用に足らないものですが、我々は金を生み出す植林地だけではなく、里山の生物の多様性を担保する広葉樹林や混合林を特に保全、観察の対象としていくつもりです。

「妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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2 コメント

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初めまして (たにむらこうせつ)
2016-05-28 16:51:09
蝶もアップで見るとちょっとグロテスクですね(@@;)
みんなのブログからきました。
詩を書いています・・・よろしくお願いします。
返信する
ようこそ (モリモリキッズ)
2016-05-29 19:15:58
こんなでも見慣れると可愛いもんなんですよ。
ニホンカモシカとか哺乳類は表情も分かるようになります。
返信する

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