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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

突然の冬の逆襲。冬芽(ふゆめ・とうが)図鑑。早春賦。信濃の春の息吹(妻女山里山通信)

2020-03-15 | アウトドア・ネイチャーフォト

 14日土曜日の天気は突然の厳しい寒の戻りでした。この冬初めてかなという激しい降雪。しかし、地温が高いので積雪はありません。翌日は晴天で春の暖かさが戻ってきました。
 撮影に山に行けないので、今回は以前このあたりの里山で撮影した冬芽を載せたいと思います。これだけの冬芽を載せているブログはなかなかないと思います。どんな花が咲き、実がなるかは画像検索してください。

●ダンコウバイ(壇香梅)クスノキ科クロモジ属。別名は、ウコンバナ(鬱金花)、シロヂシャ。同じクスノキ科シロモジ属のアブラチャンよりやや花が大きく花柄がありません。葉が出るとダンコウバイは、ハート形に浅く切れ込みが入った形で(入らないのもあり)、アブラチャンは、楕円形です。枝を折るとダンコウバイは肉桂、アブラチャンはメントールの香りがします。雌雄異株。妻女山で春真っ先に咲く花です。
●ゴマキ (胡麻木:Caprifoliaceae) スイカズラ科ガマズミ属。枝葉にゴマのような香りがあり、5月頃に淡黄色の密集した小花をつけます。 秋には沢山の小さな赤い実をつけます。 これは鏡台山で撮影。

●マルバアオダモ(丸葉青だも:Fraxinus sieboldiana)モクセイ科トネリコ属。北信濃の里山で普通に見られる落葉高木。アオダモ(青だも:Fraxinus lanuginosa f. serrata)には明瞭な鋸歯があるのに対し、葉の縁に鋸歯ががないのでマルバといいますが、別名のホソバアオダモの方が分かりやすいかもしれません。別名は、他にもトサトネリコ、コガネアオダモ、コガネヤチダモなどがあります。なんかバンザイしてる小動物みたいで可愛い。
●レンゲツツジ(蓮華躑躅:Rhododendron molle subsp. japonicum)ツツジ科ツツジ属。信州の6月の高原を彩る落葉低木で、各地に有名な群生地があります。有毒なので家畜や野生動物は食べません。拙書でも紹介の湯の丸山には大群生地があります。

●リョウブ(令法)リョウブ科 リョウブ属。初夏から夏にかけて白い小花を穂状(10?20cm)に咲かせます。若芽は、リョウブ飯といって食用になる山菜です。樹皮ははがれやすく独特の模様をしているので分かりやすい。太さ10センチ以下のリョウブは、しばしばニホンジカやニホンカモシカの角研ぎに利用されます。リョウブは、深く根をはる直根がありません。そのため根が浅く倒れやすい。そのかわりでしょうか、根元に不定芽が準備されていて、急速に発芽し再生します。このような防火帯の刈払い地に二次林ができやすいのはそのためです。
●タラノキ・ウコギ科。山菜の王様。まれに枝毎切っていく人がいますが、言語道断です。乱獲のせいで、林道脇などではまともに育っているタラノキを見ることは希です。不用意に畑や庭に植えると大繁殖して大変なことになります。

●ウリハダカエデ(瓜膚楓)カエデ科。名前の由来は樹皮が真桑瓜の実の模様に似ていることから。一度見たら忘れない樹木です。花後に翼果をつけます。冬芽が赤いのは、紫外線から守るためアントシアニンが多いからです。紛らわしいものにウリカエデがあります。黄色いのは、蝶の卵でしょう。専門家なら種も特定できるでしょう。アゲハチョウでしょうか。

●ガマズミ(莢迷)スイカズラ科ガマズミ属。別名:ヨソズメ、ヨツズミ。ガマズミ酒は、滋養強壮、抗酸化作用、利尿作用あり。ルビー色で本当に美しく美味。
●ザイフリボク(采振木:Amelanchier asiatica) バラ科ザイフリボク属。木の白い花序を采配にみたてた名前。別名は、シデザクラ(四手桜)。樹高5~15mの落葉広葉樹。5月頃に花弁5枚の白く細い花弁の小さな花が10個ほど枝先につき、花後は黒紫色の球形の果実がつきます。果実は小さなブルーベリーに似ていて、果実酒にするとブランデーのような風味になるとか。森将軍塚古墳で撮影。

●コブシ(辛夷、拳、学名:Magnolia kobus)は、モクレン科モクレン属。原っぱの縁に、コブシの大木があり咲き誇っていました。コブシは、花の下に小さな葉があり、タムシバと区別がつきます。それで、タムシバの方が純白が映えるのですが、やや緑が入ったコブシも、これはこれで美しいものです。
●コナラの蘖(ひこばえ)の冬芽(左)。白いものはシジミチョウの卵でしょうか。

●マユミ(真弓)の冬芽。
●ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)スイカズラ科スイカズラ属。ウグイスが実をついばむ姿が神楽を舞うように見えることからの命名。すごい観察力と想像力ですね。赤い実は食用になります。

 私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトが保護活動をしている妻女山奥の陣馬平の貝母の群生地の、これは昨年の満開の様子です。奈良時代に薬草として入ってきたといわれる薬草(毒草)ですが、これだけの群生地は、日本でここだけだと思います。今年も松代夢空間のハイキングで、4月19日にご案内する予定です。お申し込みは松代夢空間へ。今年の見頃は、4月10〜20日頃と予想しています。

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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