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心地よい映画ー『敬愛なるベートーベン』

2007-01-18 17:34:53 | movie
 好きなハリウッドスターはいっぱい。ポール・ニューマン、スティーブ・マックィーン、ロバート・レッドフォードなど懐かしい主役スター。
 
 そして、主演もバイプレーヤとしても、パワーと魅力あふれるジーン・ハックマンは、「ポセイドンアドベンチャー」からずっと、目が離せずにいる。
 
 最近、どうも胸騒ぐおじ様スターが又一人現れた。”エド・ハリス”特に印象に残っているのは「アポロ11号」「トゥルーマンショー」。今回、ずっと気になっていた『敬愛なるベートーベン』をついに見に行ってきました。

 第9を含め流れる音楽サントラは言うまでも無く素晴らしいが美しく流れるようなカメラ(撮影監督アシュレイ・ロウ)、美しい台詞(脚本スティーヴン・J・リヴェル 、クリストファー・ウィルキンソン、字幕翻訳・古田由紀子 )が、あるときは激しく、ある時は切なく、見終わった後は心安らかな気分に、自分を酔わせてくれた。
 
 お目当ての俳優、エドのロン毛にドキッ!ベートーベンと言うと目に浮かぶあの髪形が、ぴたりはまっていた。それにしても、スマートな紳士をぶっ飛ばす、あの二段腹はいったいどうしたのか?凄い!!ハリウッドスターの根性は、多くのスターが証明しているが、恐れ入った。

 熱を帯びた作曲する姿、自信満々の傲慢な態度が、一変、おびえる老人に変わる。そして、神の声ー『音楽』について話す時の瞳、唯一の理解者、かけがえの無い大切な女性・アンナ・ホルツを見つめる眼差し、すべてを堪能。

 才能に恵まれつつ、理解される努力をして来なかった故の理解者、愛される人のいない孤独と、聴力をじわじわ奪われる恐れに押し潰されそうになる、老人の姿。心の中に、天使と悪魔にめまぐるしく入れ変わる。そんなエド、ベートーベンに心を鷲摑みにされてしまった


 第9のシーンでは、アンナになったような気分で、見つめ合い、音楽に酔っていた。(涙)見つめあい指揮をした第九の表情と共に、身体を洗って貰う時のなんともいえぬ表情、水音だけで言葉は無くても、喜び・幸せに満ちたシーンが忘れられない。

 アンナの尊敬しながらも、傾倒しすぎない強さ、威圧されても、信念を持って自分の思い考えを伝える、心の強さに憧れながら見ていた。

 男女の仲に『親愛』という恋愛と違う感情の容があると信じる自分。アンナのベートーベンへの思いは、まさにそれ。でも一生かかっても、師と仰ぎつつ心通わせ思いを理解し会える相手にめぐり合うことが出来る人は、そうはいないだろう。

 何度も傷付けられながら、それでも、許し理解しようとした、アンナの心の大きさをもってして成し得るた関係であることは間違い無い。そうさせたベートーベンと言う人間の魅力、素晴らしさが、偉大だったとも言えるが、理解しあうことの難しさ、その向こうにある、理解されることの幸せが『神の声ー音楽』を伝える第九のシーンと共に伝わってきた。

 女性監督・アニエスカ・ホランドらしい上品な作り、あの心地よく熱い感触を味わいに、もう一度、映画館(新宿武蔵野館)に行きたくなった。