Tik's little window 

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『ワールド・トレーディング・センター』―命の力

2006-10-21 01:48:12 | movie
「ワールド・トレーディング・センター」を、ビデオだと見ない気がして、相方と公開初日、だいぶ古めかしくなったプラザ劇場の、大スクリーンで見てから二週間が過ぎてしまった。あの日を思い出し、感想を少し・・・

 『9・11』をどうのこうのということではなく、あの時起きた事を、できるだけありのままに近く描いていこうとしている感じが伝わってきた。一瞬にして落ちたビルの地下。救助に向かって災害に巻き込まれ埋まってしまった二人の警官が、暗闇の中で励ましあう。役者は、泥や瓦礫に埋まり、顔や手が出ているだけの顔と声のみの演技だが、力強い演技に引き込まれてしまった。一方で、二人の無事を祈る家族の一喜一憂が描かれ、ふと「アボロ11号」を思い出した。
 突然、戦場のような現場に現れる海軍兵士の、抜群の存在感。まるで、変身ヒーローのような登場だが、これは作り話ではなく、ますます印象に残った。彼が見つけなかったら二人は今、存在しなかった?!救われた消防士らは20人だという。それを多いと思うか、少ないと思うかは人それぞれ。生きる為の努力をすることは当たり前だが、あの過酷な状況で、命が絶えなかった奇跡のような現実を前にして、人の生き死には、人間の力を超えたものの支配の下にあると、再確認して劇場を出た。
 見ず知らぬの他人同士が抱き合い、涙する人をいたわる姿に、人種も国も宗教も関係なく、こうして抱き合えたらこんな悲劇が減って行くだろうと考えたとき、アメリカの作品だからどうのこうのという大人ではなく、純粋に、人間達の悲劇と戦う姿をこの映画見て感じてくれるような子供たちに、見て欲しいと思った。
 血みどろシーンは極力なくし、暗い照明でけが人の表情も抑え気味で撮っている中、会話だけで惹きつけて行く、役者の力。エキストラ一人ひとりの演技も確かで、表情だけで悲惨さが伝わってくる。ハリウッドのエキストラの奥深さを感じてしまった。バックに流れる音楽が、心に沁みて行った。
 今も世界のあらゆるところで(アメリカを含め、多くの国の軍隊やテロリストの起こした事件の下)泣き抱き合う人々が沢山いる。そんな場面が少なくなりますように、小さな努力でもしていきたいと思いながら、家路についた。”人はいいもの、いい心を持ったものだ”と思いながら・・・。