とりあえず法律・・・・かな?

役に立たない法律のお話をしましょう

医療過誤の話  実証されない治療法の選択

2005-07-26 02:14:55 | Weblog
 Cunさんからコメントを頂きながら,自分の意見をまとめきれなくて,そのままになってしまい,大変失礼をしております。きちんと議論をするためには,それなりに裁判例を集めてきて,この事件はこうこうという話をしなければならないので,それは,ここでは遠慮させていただきたいというのが正直なところです。

 さて,またまた新聞記事をネタにする話になるのだが,今朝(25日)の新聞には,がんの治療の最前線での話として,こんな話が掲載されていた。

 すなわち,がんの治療法には,(1)「いくつもの臨床実験で効果の確認できた治療法」と(2)「ダメと分かった治療法」があり,(1)をするのは当然であり,(2)をしないのも当然であるが,実は,その間に問題がある。(1)だけが医療と思っている人(そういう人が医者にもいるとのこと)は,(1)がだめなら,治療法はないという結論になるが,そうではない,知恵を使えば,(1)と(2)の間の治療法で効果を上げることができる,という趣旨の話である。

 こういう話を読むと,なるほど,がん治療もあきらめてはいけないと思う反面で,どうしても,こういうことだとまたトラブルが起こるなぁとも思ってしまう。効果の実証された治療法が効を奏しない場合に,効果の実証されない治療法を試みた,その結果,知恵が及ばず,効果がなかったばかりでなく,症状が悪化した,という場合には,やはりトラブルになるだろう。

 その時に,医師の側としては,十分に説明は尽くして,患者側の納得を得た上で行ったことだ,という説明になるだろうが,多くの場合には,そのような説明が,スッと通るということにはならないように思える。一般に,リターンは受け入れやすく,リスクは受け入れがたい。特に日本ではそのような傾向が強いように感じられる。リスクの説明はいくらやっても,なかなか耳には入らない。しかし,リターンの説明は,話す側の思惑よりもはるかに大きく聞く側に受け取られるようである。

 まして,このときに「知恵を出した」医者が,後で,どうしてその時その治療法を選択したのか,と問われて,十分他人の納得を得る説明をすることもまた難しいように思う。経験の豊富な専門家の「知恵」(別の言い方をすれば「職人技」というようなものか?)は,なかなか言葉にして説明のできるものではないと思う。

 こうなると,説明を尽くしたかどうかでも負け,治療法選択の説明でも負けるということになりかねない。

 Cunさんのいう《「医療は法律でどこまで割り切れるか」という問題》は,こういうところにもあるのか,と思う。何か上手い枠組みを作っておかないと,何の根拠もなく無効な治療法を選択し,その挙げ句,患者が苦しんだ,という文脈が,いとも簡単に作られていくような気がする。

 それにしても昼間は暑い・・・

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2 コメント

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そうだったのですか (Cun)
2005-07-28 22:22:43
おじゃまします。



コメントがないのはそういう理由だったのですか。

了解しました。



とすると、プロの法律家ですね。

ならば私の勤務先の理事長に対し6/27A債権者は「破産申し立て」B債権者は「民事再生の異議申し立て」をして、判例のない初めてのケースなので7/12「破産宣告決定」がなされるはずが今だ地裁で審議中です。



BLOGにも(若干ニュアンスを変えて)書いています。全国紙にも載りました。ご興味がおありならCNQC6@hotmali.comまで簡単な自己紹介もつけて(ペンネームでもOKです)連絡ください。(@はあえて大文字です)















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追記 (Cun)
2005-07-28 22:25:20
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