とりあえず法律・・・・かな?

役に立たない法律のお話をしましょう

法律を守らせること

2005-07-25 02:16:43 | Weblog
 思いついたことを適当に書こうと思って始めたブログだったけれども,続けるのはけっこう難しい。書き始めても,ちょっと調べものが要るかと思うと,それなりに時間を食ってしまう。

 先週から,アスベストについてもう少し調べようと思っていたけれども,ネットでは十分な資料がなくて,こちらはあえなく頓挫してしまった。

 まあ,それはともかくとして。土曜日の新聞には,JR宝塚線の重大事故の運転士が,同じようにミスをした同僚運転士が降格配転されたことから,自分も運転業務から外されるのではないかという重圧を受けて平常心を失い,運転ミスを重ねたのではないか,という記事が出ている。いってみれば,運転現場の規律維持のため,一種の恐怖政治を行っていたことが,かえって重大なミスを誘発したということであろう。

 この話自体は,法律とは余り関係がないが,なぜか,ここからの連想で,法律を守らせることも,これと同じことか,などと思ってしまった。

 世の中で守られていない法律のトップクラスのひとつが(あるいは正真正銘のトップか?),道路交通法だと思われる。ネットの上には,どうやって取締りを逃れるかなどという話がごまんとある。ゴールド免許を持っていて,「俺は無事故無検挙だ」と自慢するやつもいる。

 警察も取締りを強化しようとすると,人手は足りない上に,警察に対する反感が高まるので,微妙に手加減しなければならないし,かといって,たまには取締りをしないと事故が起こったときにマスコミや地域社会から非難を食らうことになってしまう。これからは,駐車違反の取締りは人手不足解消とか何とかで,民間委託になって,これまで10分程度は観察していたのを止めて,いきなりステッカーを取り付けるという方法になるのだそうだが,こういうのって,かえってトラブルを巻き起こさないかという心配もある。

 このように,法律を守らせるための手っ取り早く,かつ一般的に使える方法は,罰則の適用なのだけれども,「法律が守られる」という結果を実現するためには,到底それでは済まないということになる。

 そこで,近いところでは,ゴールド免許とか更新期間の延長といった制度を取り入れてみたり,更新講習に差をつける(一時は無違反の運転免許保有者は講習なしということすらあった。)といった優遇策を試みたりしている。確かに褒めてもらえるのは嬉しいが,3年とか5年に1回では,ちょっと効果はどうかな,というところだろう。

 さらに,「遵法精神の涵養は幼少時から」(すごい言葉だ)として,幼稚園・小学校・中学校での交通安全教室というような方法もある。これなんかは,本当はいい方法なのだが,大きくなるにつれて,回りの大人が,法律を破ることは楽しい,などということを教え込んでしまうので,効果はいまいちというところだろうか。ただ,違反者をつかまえたときに,「小学校でも習ったろうが」というくらいの抑制効果はあるとはいえるだろう。

 ここの何年か(もっと長いかもしれない)面白いと思ったのは,駐車違反を減らすために,地域に好況駐車場を整備するようにという働きかけをしているということ。このあたりは,パーキングメーター設置などの延長上にある政策といえようが,違反をする誘因をなくすという意味では,よい政策だと思った。

 これと同じ線で,ある程度の集客のある設備(商業施設とかパチンコ店など)には,一定の駐車場の設置を義務づけるという方法もあるようである。しかし,パチンコ店であれば,まだ警察の守備範囲(ただしセクションは違うらしい)だが,商業施設となると,警察の首尾範囲外になる。伝統的な縦割り行政では解決のできないことになって,警察以外の行政機関との連携が必要になる。私としては,これが警察の権限拡大に使われる(官僚はいつもそういう発想をしがちである。)のでは本末転倒だが,行政目的の達成に効果があるのであれば,もっともっと活用されてよい方法だと思う。

 まあ,道路交通法だけが守らせなければならない法律ではないわけで,他の法律もきちんと守ってもらうというのが本来であろう。ただ,マスコミ論調などを見ていると,何かあると,取締りが緩いのが悪い,厳しくやれ,という方向に行きがちである。しかし,取締り,罰則の適用というのは,説くに行政関係の法律ということになろうが,法律を守らせるための方策という意味では,なかなかコストが引き合わないし,現実にもすぐ対応するというのは難しいところがある。その他の,ソフトからハードまでのいろいろな方法を工夫して,法律を守ることが「快適である」と思うように仕向けていかないと,なかなか法律を守るということにはならないというのが現実である。


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