またまた大阪府警が誤認逮捕ということで、ニュースになった。
食品の万引きで事情聴取していた男のショルダーバッグから、女性下着が出てきて、その男自身も女性下着を着用していたことと、その下着について、男自身が盗んだものと供述したこと、出てきた下着と柄や色が酷似していた下着盗の被害届があったことから、万引きとは別の住居侵入窃盗で逮捕して、勾留したのだという。
それが、調べを進めると、男が下着は万引きしたものだと供述を変え、警察が被害者に確認をとったところ、男の所持していた下着と、被害品とはメーカーが異なることが判明して、誤認逮捕であったことが判明したという。
所轄署は、誤認逮捕であったことを発表し、副署長が「指導教養を徹底するなど再発防止に努めたい」とのコメントを出したとのことである。
マスコミとしては、警察の不祥事だという見立てと、副署長がゴメンナサイをしたことで、それみたことか、またやったぞ、けしからん、ということなのだろうが、これって、不祥事というほどのおかしなことなのだろうか。
万引き男がいる。←事情聴取することは当たり前
所持品検査をする。←窃盗犯の場合当たり前
男が女性下着を所持していた。←盗んだものと疑うこと当たり前
男自身が盗んだものだと言う。←被害届を調べること当たり前
それらしい被害届が出てきた。←いよいよ疑いを深めること当たり前
万引きでは逮捕しづらい(特に初犯なら)←これも当たり前
住居侵入窃盗での逮捕を考える。←当たり前
男の供述と被害状況が今ひとつ合わない(多分)。←いわゆる半ワレで罪証隠滅の恐れありと考えること当たり前
逮捕状の請求←当然
ということになるのではないか。
これは、確かに逮捕された人には気の毒なのだけれども、窃盗は決して軽罪ではない。特に、万引きや下着盗は、常習性・累犯性の高い犯罪類型であるから、万全の捜査をしようとすることも、捜査機関としては当然のことだろう。
では、何が悪かったのか?。
ショルダーバッグから出てきた下着を持って、盗品確認をしてからでなければ逮捕してはいけなかったのか?。ならば、被害者と連絡が取れなければ、いつまでも逮捕できないことになるが、それでいいのか?。
万引で逮捕すべきだったのか。それはひとつの選択肢だろうが、累犯でもない限り起訴猶予になりそうな軽微な窃盗で、下着盗の疑いがあるために、勾留までして取調べをすれば、別件逮捕勾留の非難を受けてしまう。本命に直接切り込んだことを、それほど非難はできないと思われる。
むしろ、逮捕勾留をすること自体、そのような半ワレの事件の捜査をするためのもので、正当な捜査の結果、嫌疑が晴れたということになると思える。
結局、おかしいのは、マスコミが、逮捕されれば、あたかも有罪が確定したかのような報道をすること、常に、そのような誤った姿勢で報道をしていることの方にあるとしかいえないように思える。
今回の発表は、マスコミを意識した、やや過剰とも思える発表であるが、その実、警察内部では、先手を打ってマスコミの非難をかわしたことで、してやったりと考えているのではないかと思えてしまうし、さらに穿ってみれば、どこが悪かったかとか、どう改善すべきかという、肝心の所に突っ込みを入れず、誤認逮捕だ、してやったり、という軽薄な報道で済ませているマスコミを、小馬鹿にしつつ、それを肴にして酒でも飲んでいるのではないかと思えてしまうところである。
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